やさしい個人旅行講座




【手配の現場から】






現在の平日出稼ぎ仕事は
旅行代理店のパッケージツアー
欧州地区航空手配を担当しています

この仕事はこの旅行代理店が主催している
全国の旅行会社の店頭に出ている
欧州地区パンフレットのパッケージツアーに伴う
航空ルートの航空座席予約手配になります

ですから、日々片手にあるのは
“弊社作成ツアー欧州地区(中近東含)パンフレット”

それは関連会社のみへ発行している通販会社へのツアーも、
会社のサイトに載せているインタネット限定ツアーも
全国の成田発以外の海外旅行パッケージツアーも
我がチームで統括して航空座席手配をしています
(以前はその担当地域が“ワイハ”でした)



現在は日本から欧州へ飛び立っている航空会社で
弊社が利用しているのは
AY/SK/JL/NH/VS/OS/MS/KL/AF/BA/LH/TK/LX/AZ
全部で14社

そして、今月から新潟発着便ツアーで新たにKEが加わりました

*上記のアルファベット2文字は各航空会社のツーコードになります
旅行代理店関係ご勤務以外で上記2コード全てお解りの方は
かなりの旅行通でいらっしゃることと思います
 私自身もこの2コード憶えるの、大変でした・・

私達は企画担当者が作成したツアー行程に合わせて
航空会社へスケジュールに沿ったルートの航空座席確保から
最後は参加されるお客様へお渡しする航空券発行までが
私達“エアーチーム”の大まかな日々の仕事になります




最初は各航空会社へ座席の仕入れから・・

例えばパンフレットに良く表示されている
「航空会社指定便」とか「JLでご出発」などの表示があれば
当然の事ながらその航空会社の座席確保をしますし、
用意した座席よりもお客様が集まっていただければ
更にその座席を増席するために航空会社の予約端末機で
その座席を確保していきます

ツアーにご参加していただくには
先ずはこの“航空座席”ありき・・・です



パッケージツアーは通常2名様から催行する出発日もありますが、
殆どは15名様以上からの催行決定です

もし、その人数にお客様がお集まりにならなければ
ツアーのそのご出発日は催行せず
残念ながら“ツアーキャンセル”となります



そうすると予め確保していた座席を
航空会社へ反対に“ごめんなさい”をしてお返しします


その座席の仕入れ、次ぎがその航空会社で用意された
予約記録(これを“PNR”と言います)に
ご参加のお客様のお名前を入力していきます

そうすると初めてツアーにご参加されるお客様一人ひとりの
航空会社座席予約が成立します



大体通常はご出発一ヶ月前くらいにお名前入力がされるので
それまでは航空座席の数は確保できていますが、
それ以前にツアーにお申し込みされていらっしゃっても
まだそれぞれお客様の航空座席確保は
お名前を入力されない限り保証はされていません
(これは、個人旅行でのご参加とまったく違いますし、
またパッケージツアーの形態によりますので
欧州などの団体行動ツアーのみになります
おなじパッケージツアーでもワイハやアジアの国々の2名様や
1名様でもツアーが催行する地区とも違ってきます)


混み合っている時期や
お座席が少ない機材での予約に関しては
早急に搭乗される方々の数決定を航空会社は欲します



何故ならば・・
最初の仕入れ部分で仮に30席をA社へ配席していましたが、
20名様しかお客様が集まっていません

にB社は40席分のお客様が集まっているにも関わらず
最初に仕入れた数が30席分しか配席数がなく、
10席不足しています


A社としては売れていない10席分を何とか売りたいのですが・・・
お客様の名前が入力されないと
航空会社に対して10席確保している数が浮いてしまいます

そのために旅行代理店は航空会社に対して
あたかもお客様がいらっしゃるかの如く
ダミーネーム(所謂架空の名前)を入力します

一般にはこの行為は「禁止」されている行為です




しかし、航空会社が決めた期限までは
お客様のお名前を入力した後も
別のお客様のお名前を入力し直しても良い、という期日があります
それは、一旦お名前を入力した後にそのお客様がキャンセルになって、
別のお客様がお申し込みになった場合は
先のお名前を入力し直して、その席を使用することができます

旅行代理店としては
確保されている座席数を自分のツアー売り切りたい!
常に1席でも多くのお客様に参加していただきたい、と願って
大目に座席確保を見込んでいます

ですから、その名前の再入力ができる期日までは
お客様のお名前が変更できるので
何度か入れ替えをして、座席を売り切ります


そして、その名前変更ができる期日は各航空会社によって違います

混み合っている時期では
決められた本来の期日を大幅に変更してくることも多々あります

それは、航空会社としてはA社で余った分の座席10席を
10席をどうしても欲しいB社へ渡せば、
座席を余すことなく全て売り切ることが可能です

航空会社は1席でも多く売り、
空席は1席たりとも作りたくありません

ですから、ある決められた時期からは
一切の一文字ですらお客様のお名前が違ったら、
訂正できなくなる時期があります

もし、漢字のお名前の読み方を間違えた場合でも、
よくあるご結婚後の新姓への変更でも、
航空会社は訂正を認めてくれず
どんな時も旅券と航空券のお名前が一致していないと搭乗させてくれません


    あちゃー

そうなると、間違ったお名前での航空座席はキャンセルになり、
また初めから座席を予約しなおさなくてはなりません


  

航空券を発券する前には
目を皿にようにしてお名前訂正がないか、どうか・・・
私達の最後の最も重要な最終チェックがそこにあります


と、まあ主なお仕事はそのような業務が俗に言う
“オペレーション”


日々の仕事の中から頓に多くなってきた
お客様からのご希望で“医薬品”、
又は“持病をお持ちの方”の機内リクエストを幾つかご紹介いたします


ほんの1部ではありますが・・・






【機内持ち込み医療器具】


様々なご年齢層のお客様、
様々な持病をお持ちのお客様も
等しく旅を楽しんでいただけるように
各航空会社では可能な限りの範囲でサービスを提供しています
しかし、それには当事者でいらっしゃる皆様のご協力があってこそ・・

そのためにはお客様一人ひとりの状態をお伺いした上で
お客様ご自身に気持ち良くご旅行していただくため
事前の届出をお願いしています

その届出について
お客様と航空会社との間を橋渡しするのが
旅行代理店である私達オペレーション担当者の大事な仕事の1部です

航空会社はそれぞれ自社の規定に基づき
事前に提出していただくお客様の情報を元に
搭乗時、又は機内で安心していただけるように・・・
そのために私達は早めにその情報を受け
航空会社へリクエストを致します


ここではロンドン直行便である4社について


      
JL(日本航空) NH(全日空空輸) BA(ブリティッシュ・エアウェズ) VS(ヴァージン・アトランチィック)

現在(2009年5月)の解る範囲でご紹介いたします


変更になる航空会社も多いです


現在最も多くリクエストをいただくのは
糖尿病(又は血糖値が高め)を患っていらっしゃるお客様の
機内お食事前にご利用される医療器具についてです

個人差によりお持ちになる器具や容量は様々ですが、
一般的にはインシュリン注射器、針、インシュリンの溶液になります
加えて、血糖値測定器をご持参される方もいらっしゃいます


  


JL

インシュリン注射器タイプ届出不要・薬の容量届出不要・針の本数届出不要

NH

インシュリン注射器タイプ届出不要・薬の容量届出不要・針の本数届出不要

BA

インシュリン注射器タイプ届出要・薬の容量届出要・針の本数届出要
VS インシュリン注射器タイプ届出要・薬の容量届出要・針の本数届出要 ※
※尚且つVSは全て本社(ロンドン)への届出が必要なので日本の予約では承認はおりません

但し、4社共に共通しているのは
血糖値測定器につきましては
機械のタイプや製造元会社、伝動力は何を使用かの届出が必要になります

と、言うのは飛行時に航空機の計器に影響が出てくる電導利用は
航空機事故に繋がる可能性がある場合もあります



えらいこっちゃー


また、もう一つ4社共通にご案内していることが
航空会社搭乗についてではなく
セキュリティーチェック時に
万一お持ちになる器具や薬などを尋ねられた場合に
英語で説明しなくてはならないこともあるので
その為ご自身で通常お持ちの“糖尿病者手帳”をご持参されることをお薦めしています
この手帳には英文でご持参の器具やお薬の説明が記されています

もし、この手帳をお持ちでいらっしゃらない場合は
その説明があった時のために“英文で書かれた処方箋”をご持参されても宜しいでしょう


この英文で書かれた処方箋は様々な持病で機内にお持ちになる
お薬について共通して言えることです



少量のお薬ならばセキュリティーチェック時には
質問を受けることは稀ですが、
お乗り次ぎや預け荷物の紛失をご心配されて
機内に滞在中全てのお薬を大量にご持参されたい方には
万一尋ねられた時にはその1枚を見せればお咎めなしで通過できます

但し、この処方箋は所属する病院にも寄りますが、
有料になることが多いこととお時間が掛かることもあります



  ご注意を!


また、機内でのお食事にはどの航空会社でも
「糖尿病食/DBML」のご用意があります

ご搭乗時3日前(72時間前ーBA/VS)から
前日(24時間前-JL/NH)には必ず航空会社へのリクエストが必要です


VSの朝食
VSの朝食機内食







【アレルギー食】


やっと近頃になり様々な花粉症による
アレルギーが治まってきた頃ではないでしょうか・・?
それでも、様々な植物によるアレルギーはお持ちの方々には
季節に関係なく次々と起こるとも伺いますのでご苦労が常におありだと思います

最近お客様のリクエストで多くお見受けするのが
“甲殻類のアレルギー”

俗に言う海老・蟹などです


  

機内のエコノミークラスのお食事にはあまり登場しないのですが・・
しかし、どの航空会社もこの「アレルギー」という単語にとても敏感です

と、いうのも機内で万一アレルギー反応で最悪のケースになる恐れもあるので
可能な限りの情報は予め届出をしておいた方が良い

お客様の情報です


なるたけお早めの情報を・・


今までに多く伺うアレルギーの種類は・・・下記の5種類でしょうか・・・?
1) 卵・乳製品アレルギー
2) ピーナッツアレルギー
3) そばアレルギー
4) 肉アレルギー
5) 甲殻類アレルギー

もちろん、それ以外にも沢山ありますが、
4社の航空会社ではそれぞれにアレルギー食に対して
5品目〜25品目までの範囲で対応しています


特に4社共通して対応可能な機内食をご用意しているのが
1) 卵・乳製品
2) ピーナッツ

上記については、お薦めしているのが
その品目を含まない「ビーガン・ベジタリアン・ミール/VGML」です

これは卵・乳製品・ピーナッツを含まない野菜食です

JL/NHはそれに加えて「生野菜/RVML」のご用意もあります



機内食バージョンのRVMLはまだ未経験なので“生野菜”イメージ


さて、最近増えてきた、という5番の「甲殻類」についての対応は
今のところ25品目アレルギー食のご用意ができるのはNHのみです

その25品目の中にこの甲殻類も含まれるため

もちろん、他の食品も召し上がれることとは思いますが、
アレルギー反応のみを取り除いてのお食事は不可能なので
全体に幅広でのご案内として
「25品目」の中に含まれるのでこちらをお薦めしています

あとは私達日本人とおフランスに多く見受けられる
3)の「そば」
*おフランスはそば粉を使ったガレット、というクレープが名産です

この“そばアレルギー食”がありそうで、ないのが現状です



    ありそうなのにーー


良くそばが出てくるのは
日本から出発するロンドン行きのフライトには
人気のメニューなので登場確率は非常に高いです


VSの機内食(ロンドン〜成田便)
ロンドンから成田へ向かう和食機内食


各航空会社担当者からは
この“そば”については退けていただいてください、か・・・
又は“ベジタリアンミール/VLMLー卵・乳製品可”を
リクエストされてみては・・との案内をいただきます


  
バター&卵

*ベジタリアンミールは現在3種類あります

VLML 卵・乳製品可
VGML 卵・乳製品不可
RVML 生野菜食※
※BA/VSはこちらの用意はありません
ベジタリアンミールは2種類になります




いずれにしても、
もし、おそばアレルギーをお持ちで
ご心配の方は先ずは事前のお申し出をお願いいたします




お気軽にご相談ください






日々航空オペレーションに携わっていると
様々なお客様の御要望を承ります

可能なリクエスト、
そうでないリクエストと・・
振り返ると各航空会社の特徴を書き込んだ私の大事なマニュアルは
気がつくと・・とても分厚いものになっていました


     片手で持つには辛いくらい・・

今ではチーム内でもその分厚い航空会社マニュアルは
貴重な資料にもなっているようです

そして、たったお一人のそのご要望が
曳いてはご旅行全体に影響の出てくることでもあること・・・
失敗や手配漏れが許されないものであることを
常に私達は忘れないように・・・

“個人情報”という大事な事柄が重視されてはいますが、
そのような情報は決してお客様一人ひとりの安全のためのものです

旅行代理店スタッフはいただいた大事な情報を他に漏らすことなく
日々厳重注意をしています

どうぞ、皆様の旅が安全で楽しいものでありますように

今回の新型インフルエンザについての案内も同様です
今後も各旅行代理店の現場は様々な情報でご案内していくでしょう




日々精進です!








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