やさしい個人旅行講座


〜 夜行寝台車のご利用について 〜



夜の列車



私にとっての旅の足はほとんど、
ほぼ100%と言っても過言でないくらい
公共交通手段を使っています

鉄道、長距離バス、路線バスがそれに該当します

特に鉄道については初めての旅から各国でお世話になっており
特に欧州大陸での移動は
ほぼ8割方列車での移動に利用してきました

ユーレイルパスは航空券同様なくてはならないものですし、
また各国それぞれの鉄道パスも同様必ず用意が必要になっています

バスについては自分の生活の中で
鉄道と同じように移動手段ではありますが
日本では何の気なしに利用しているにも関わらず
何故か鉄道に比べてバス(長距離も含め)利用の初回は
ちょっぴり“勇気”を必要としました

それは、やはり鉄道には『駅』という馴染みの場所があり、
初めての利用でも回りに尋ねる人々も多く、
また万一間違えたとしても“やり直し”が可能かも・・・という安心感なども
私の場合はあったからだと思います

バスだと何となく“どこへ連れて行かれるか解らない・・”という
緊張感が走るのです・・

ロンドンの2階建て路線バス


降りる場所が
どのくらいの距離と時間が掛かるのかが解らないため・・ということや
特にカントリーサイドの路線バスでは
周りを見渡してみると観光客らしい人は居らず
その土地に住む人々だったりすると
ついつい緊張したり、間違ってしまったらどうしよー・・
帰りのバスはもうないんじゃあないか・・
見知らぬ場所と
言葉が通じない(緊張すればするほど英語が出なくなる)のに
どうしよーーとパニクルことしばしばなので
そう考えるとやはり小心者の私は
バスが何年も利用できませんでした

その点列車は予め自分の下車する駅に何時頃に到着するのかが読めるので
その時間まではのんびりできるから
私のように落ち着きのない旅行者に列車向きかもしれません




そんな気持ちをつい最近まで持っていたのに
何故か最初の第1回目の海外旅行&個人旅行では
大陸での夜行列車、寝台も6人部屋というクシェットで
友人と2人ミュンヘンからパリまで移動したのは
今思うと“若かったなー”と・・・

しかし、その次の最初の一人旅から
英国内では長い距離移動には当然夜行列車さっ!とばかりに乗り込んで以来、
この国では逆にその路線さえあれば
『寝台だーーーっ』というくらい気に入ってしまいました


夜行列車
英国のスリーピングカーってこんなイメージ

確かに女性の1人旅での(私も毎回そうですが・・)
夜行列車ご利用については安全性の問題も個々にあられると思いますので
強くお薦めすることはできませんが
もし、ご興味のある方は少しでも「こんなものか・・・」と
垣間見ることが出来れば幸いです




 





さて、私自身が初めて夜行列車に乗ったのは
北国ネッシーを見にスコットランドはインヴァネスまでの列車でした

ネッシー

ネッシーって絶対に居ると思う
・・


2月の寒い晩での出発でしたが、
まだ綺麗になる前のking's Cross駅だったか、
当時はやはりまだ改築前のEuston駅だったか・・・

どちらの駅かは定かではなかったけれど
列車の中の暖かさに妙に安心できて嬉しかったこと、
如何にも夜汽車の出発に相応しい左右に揺れた列車の動きが心地よく
動き出して間もなく(列車の場合はどのようなお名前なのか解りませんが・・・)
アテンダントさんが一部屋一部屋様子を見に来てくれながら
“明日の朝のお茶は何時にしますか?”との問いと
列車の到着時間後30分くらいはコンパートメントに居ても良いことなど、
部屋の設備の説明などを解るように説明してくれたこと・・・

大事なことの一つにこのコンパートメントは必ず鍵をかけることを何度も教えてくれた上に
2段ベッドを1人で使う、という贅沢に酔いしれたことを鮮明に憶えています


*ピーク時では2等の2段ベッドでは1人旅の場合
見知らぬ人とシェアする場合もあります
予約時の際に念のためベッドの上段、下段の希望も伝えた方が宜しいかと思います

(それでも今まで運が良かったのか、
1人旅でも見知らぬ人とシェアすることはありませんでしたが・・)


夜の列車
れは夜行列車のイメージです・・ゆっくり走るのです・・・・


発車して途中何度か窓のヒサシを上げて外を眺めると
最終線と思われる在来線よりも遙かにゆっくりと進んでいることに
改めて“旅”だな〜とホッとできるから不思議なものです
(如何に昔から1人での旅では日々走り回っていたかが窺い知れますね・・






〜 寝台券について 〜


英国の鉄道料金は現在日本のJR料金よりも割高だと思います

しかし、それも通常“正規”な料金、ということで
日本のJR各社さんでも最近は様々なサービスが展開されてきましたが、
鉄道発祥国・英国では
また我が国とは違ったサービスを早くも導入していました

1番判りやすいのは国内航空各会社で行われている
 『早割』

早目の購入か、
又は乗車する人が比較的少ないと思われる時間帯での列車

そして、最も我が国JRと違うところは
地方での分割会社ではなく、
同じ路線を違う会社の電車が運行していること

ですから、10分後は同じ路線でも違う会社が運行しているので
その会社毎に料金をある程度設定しています

その鉄道会社の違いは
これまたある程度の地方によって分かれていますが
極端なところ・・・同じ路線、同じ距離(同じ目的駅)でも
鉄道会社が違うと料金も違います

そして、何よりも座席や車両内部、サービスも各社様々

時間よりも
サービスの良いその会社の電車に乗車したい、という乗客が
ご自身の好みの車両を選ぶことも可能です


ウェスタンレイル社
ウェールズ国境沿いの駅を走るウェスタンレイル社の車両
レッドドラゴンの柄がかっこいい!


このようなシステムになってから
いつか各社乗り比べをしてみよう!と思いつつ
実際乗車してしまうと・・ぼけ〜っと車窓の羊を眺めつつ
あっと言う間に目的駅、ということが毎回の私には
やっぱり“乗り比べ” という発見には遠い道のりに思えます
・・

お話しを元に戻すと・・・

魅力ある“早割”を他国に居る私には通常ネットでの清算も可能ですが、
いつもギリギリになってからでないと
予定が固まらない私にとっては・・・j殆ど無理な野望・・・

必然的に毎回やっぱりお世話になるのが
“他国旅行者の特権”
鉄道パス=ブリットレイルパスのお世話になっております


ブリットレイルパス
ブリットレイルパス


遠くへ行けば行くほどお得というこのパスは
早割の出来ない私にとっては
かなり超超お得なパスです

しかも、旅行社を通すよりは(と、言っても私自身部署が違うので
自分の会社より時たまこちらでお世話になってしまいますが)
夜遅くでもネットでの購入可能な
英国観光庁のサイトから手配することしばしばです

VisitBritainDirect 交通パス&交通機関


そして、後はこのパスさえ現地で利用できるようにしたら、
必要な乗車券などはこちらでカバーできるとして、
あとは寝台ベッドの予約のみになります

こちらは目的地へ向かうターミナル駅、又は大きな鉄道駅の窓口で予約をします

ロンドンではヴィクトリア駅、パディントン駅、ユーストン駅、リヴァプール・ストリート駅、
キングスクロス&パンクラス駅などの駅が
それに該当します

私は今まで2等寝台車しか利用したことがないのですが、
冬場は当日でも充分部屋もありましたが、
イベントのある時や夏場のシーズン時には
やはり事前の予約は必要かと思います


寝台車の予約チケット
寝台車の予約チケット
号車やコンパートメント番号、料金などが記載されています



そして、やはり現在の物価の高さや
その上昇の早さは目を見張るものがあるこの国では
毎回乗車するたびにこの寝台料金が上がっていますが・・

3年前に利用した際には
ロンドン・パディントン駅から南西のトゥルローと言う街までは
2等の2段ベッドのコンパートメントが1人£31.00でした
(乗車料金除く寝台券のみ)
約15年前は£25.00だったと記憶していますので、
徐々にではありますが世間並みに上昇しています

しかし、一晩のお宿の料金と時間短縮、という
時間の限られた旅においての大きなこの2つの利点を考えると
私自身は“寝台車愛好家”と言っても過言ではないと自負しております



結果いつも偶然空いている晩なのか、
2段ベッドの部屋をのんびりと誰に気遣うことなく
やっぱり好きな上段ベッドへ悠々と潜り込み
明日の朝のお茶と到着する街にわくわくするのでした・・








〜 寝台列車へGo! 〜


さて、寝台券が手に入ったら
あとは乗り込むだけです

この時にちょっと女性の一人旅だと心配なのが
駅でその列車にまだ乗車できない時



夜行列車ですから、出発は当然遅い時間
大体22時以降と思った方が宜しいかと思います

元々日本よりは縦長でない島国の英国では
鉄道距離は圧倒的に私達の国の方が長い!

それでも、敢えて“夜行”にするために
遅い出発と途中停車&のろのろ運転で対処しています

“途中停車&のろのろ運転”は眠ってしまっているので
そう問題にはならないけれど・・・
“問題”は遅い時刻の出発

夏場は夜22時近くまで陽があるのし、
人手も駅構内でも多いので比較的心強いものですが、
冬場はショップの閉店時間も早いので
結局は駅のベンチで同じ同胞と一緒に待つ、ということも多々あると思います

陽の短い季節の旅が多い私は
なるたけ駅構内でまだ空いているパブやファーストフード店を見つけるか、
それがない場合はベンチで待つしかないのですが
その時は必ず駅中央の電車の入線やタイムテーブルになっている
電光掲示板前のベンチで待ちます

その場所は比較的同じように待つ人が多く、
又、その電光掲示板に目的の電車が入線したら、
即乗り込むことができるからです



電車の中の方が安全な場所、という気持ちがありますからね・・

列車に乗り込むと各部屋にアテンダントのお姉さんが
早速明日の到着時間の確認とお茶の時間を伺いに来てくれました



寝台夜行列車の車掌さん
寝台車の廊下で予約と合っているか、どうかの確認と

明日のお茶の時間を伺ってくれます

この晩の2等寝台ベッドの様子はこんな感じ
2月でしたので暖かい色調の毛布と清潔な真っ白のシーツと枕カバー


ベッドの頭の部分 ベッドの足の方
すでに整えられたベッドには清潔な枕カバーと枕の上に乗せられたアメニティセットと機関紙

そして、真っ白な枕にちょこんと置かれた小さな紺色の四角いものは
可愛らしいアメニティキットです


小さな巾着には石鹸・コーム・歯ブラシ&歯磨き粉・タオル・濡れナプキン2枚と髭剃り石鹸


さらに 頭上の物入れにはミネラルウォーター(左)とプラスティックのコップに
右は緊急用に窓を叩き割るハンマーも・・・


頭上のお水
ミネラルウォーターと緊急用窓割りハンマー


変わらず私の1番のお気に入りの“洗面台”
コンパクトで上が蓋で閉まるので、使わない時はその蓋を閉めてしまえば
棚のようにも利用できます

蓋の閉まった洗面台
蓋の閉まった状態の洗面台 日よりを下げた状態です
洗面台 蓋を開けた正面 蓋を開けた洗面台 斜めから
左は蓋を開けた洗面台 左には物を置くスペースもあり、
右は斜めから見たところで真っ白な備え付けのフェイスタオル(2人分)と鏡


蓋を閉めてしまえば左側のスペースも充分あるので
すぐ使いたい荷を置くことも出来るし、
その後ろは窓になっているので日よけを上げれば
車窓を楽しむことも出来ます


下は約15年前に利用した別の寝台コンパートメントの洗面台の様子です

2等コンパートメント
2段ベッドの1階から折りたたみ洗面台の蓋を開けたところ 
ちょっとごちゃごちゃに使っていましたね〜
(南西のセント・アイブスを目指したペンザンス行きの夜行列車)


洗面台の横スペースはこんな風に足元にありますが、とっても便利

そして、コートなどが掛けられるクロゼットもあります

扉を開いた状態のクローゼット
コンパートメントのドアのすぐのところにある
縦長のクローゼットを開けた状態 
左上に下げられたハンガーとは別にあり扉に鏡がついています


こんな風に2等でも機能的な設備が施されているので
私はこの狭い空間が逆に一人旅に何よりも安心感が得られるのです
・・・




そして、何と言っても!このお国柄!ならでは!の
寝台車を利用する1番のお気に入りは朝のお茶




昨晩のアテンダントのおねいさんが
希望した時間ぴったりにコンパートメントのドアをノックしてくれます

それは目覚まし代わりにもなるし、
朝食にもなるし・・・私にとっては何よりも贅沢な時間であり、
寝台車に乗る醍醐味でもあります


朝のお茶
列車の朝のお茶
ポットティーとウォーカーズのジンジャービスケットが付いています


ベッドの壁側に引き戸があり、
そこがテーブルになりベッドの上でこのようにトレイを置くことができます

目的地が終点ならば停車してからもゆったりと楽しめますが
途中下車での場合は
目的到着駅の到着時間前に余裕を持ってお願いすることを忘れないで下さいね





南西終着駅ペンザンス
何度か寝台列車を利用した南西部終着駅のペンザンス
早朝に到着した朝の光の中で右、寝台車がホームに入線到着









欧州での春、夏シーズンは陽が最も長く
女性の一人旅でもこの時期は
寝台列車での移動は比較的お薦めできるかと思い
今回はこのページを作ってみました

鉄道発祥国の英国での鉄道旅は私の大好きな移動手段でもあります

但し、当然夜、時には深夜でのターミナル駅までの移動や
鉄道入線までの待ち時間での安全は
ご自身で作るものでもありますので
充分御気をつけてご利用いただくことをお願い致します

どうぞ、安全で楽しい旅を!



夏の列車


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