うさぎの国を旅しました

〜 北ウェールズへGo! 〜
【2】
北ウエールズの小さな海沿いの街カナーフォンへ
宿も決まり、おなかも満足になった次ぎに出かけたのは
やっぱりこの街のシンボルでもある
カナーフォン城(Caernafon Castle)を訪ねることにしました
この朝カーディフから列車に乗って
宿探して、パブでランチして、ゆったりとして、
宿へチェックインして、荷を解いて、翌日の登山鉄道に乗るため
再びツーリストインフォメーションで教えてもらったら
すっかりと午後も半ば過ぎ
やはりこの街に滞在するのだから
お城は外から見ているだけではなく入ってみるべき・・・とばかりに
このすっくと立ち並んだこの街の象徴へ
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ツーリストインフォメーションの向かいに聳え立つお城へ今回はGO!
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【カナーフォン城】
Caernafon Castle
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| 開城時間 | : | 4月1日〜10月31日 毎日 09:00〜17:00まで 11月1日〜3月31日 月〜土 09:30〜16:00まで 日 11:00〜16:00まで *最終入場は閉館の30分前まで |
| 閉館日 | : | 12月24日、25日、26日、1月1日 |
| 入場料 | : | 大人 £5.10 子供 £4.70 ファミリーチケットあり |
| Tel | : | 01286-677671 |
この国の中で世界遺産登録されているお城の中でも
ウェールズの人々にとっては最も苦々しい歴史を持つお城
そして、このお城を語るにはウェールズの人々のみならず
北のスコットランドの人々にとっても最も憎い共通の敵
13世紀にまで遡る「エドワード1世」を抜きにしては
まったくもって“わさび抜きのお子様お鮨”
・・・のようなものになってしまいます
このカナーフォン城のみならず
ウェールズ各地に築城されたこの時代のお城は
ロンドン1,2を争う観光名所?ウェストミンスター寺院を現在の形にした
ヘンリー3世の跡継ぎ
エドワード1世の手によるもの
現在の世界遺産登録に幾つかのお城が指定されています
その彼の手による築城数は
如何にしてこの時代のウェールズ各大小王国の国王や数多くの領主達が
イングランドに対して強い抵抗を示していたことにも繋がるのでしょう・・・
その時代を知るには永遠の愛読書の一つでもある
カドフェル修道士シリーズや
お国は違えどスコットランドの民衆リーダーの1人
(実は明らかな素性は不明だが名前からはウェールズ人とも言われている)
映画でも話題になったウィリアム・ウォレスを描いた
「ブレイブハート」からも伺い知ることができます
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エドワード1世はこの北ウェールズの中に「アイアン・リング」と呼ぶ
スノードニア山を輪のように囲む8つのお城を造り上げていたわけですが
その一つでもあるこのお城
1238年に築城が始まったこのカナーフォン城は
イングランド国王がウェールズを統治するための
その最大の拠点という意味でも・・・
またこの時代政略結婚でありながら仲むつまじかったとされる
戦場に明け暮れながらもその行軍に同行させていた
エリアー王妃の生んだ跡継ぎである
エドワード2世の戴冠式を行った場所であることから
現代にまで続くイングランド皇太子の戴冠式を行う城としても
実はウェールズの国の人々には
逆の思いのお城なんだろうな〜と思わずにはいられない
ある意味「屈辱の城」としてもしばしば例えられる
このカナーフォン城
アイリッシュ海に続くメナイ海峡とセイオント河の河口がぶつかる
風光明媚な街と海からの侵略を睨むようにして
威風堂々と強固な雰囲気を漂わせながら
カナーフォンの小さな城壁に囲まれた街の中心
キャッスル・スクエアから幾つかの塔が要塞の如く聳え立つ様子が
今にして中世の面影を色濃く残しています

カナーフォン城の正面入り口のChamberlain Tower
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そんなウェールズの人々(加えてスコットランドの方々にも)にとって
にっくき象徴であるわけですが
実際はこの国の頑固な気質にしっかりと合っているな〜なんて
他国から来たのんびり旅行者の私は
ともすればそのまま中世の時代へタイムスリップしたかのようなお城の中は
“一体どうなっているの?”と興味津々になってしまうわけです![]()
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パブですっかりと寛いでしまった午後ではそう時間もなく
かなり大きなお城であることは間違いがないので
慌ててツーリストインフォメーション前のお城の正面玄関
“King's Gate”に設けられた
チケット売場兼入り口で閉館時間を確認しながら
先ずは入城です

King's Gateを抜けて入ると左手方向のUpper wardとその先Queen's Gate
平日夕方とあって近くの小学生の小さな見学グループや
ちらほらと見える大人の数人の観光客しかいない・・
まばらな城内
ゲートを越えると広々とした空間に左手側はUpper Ward、
右手側はLower Wardと青い芝生に通路が目に鮮やかにその直線を刻み
好きな方向から8つの塔をそれぞれに見ることができます

お城を上からみた時の全体地図
上はお城の全体の地図でこれを見ると解るように
この城は外から見ると幾つかの塔で要塞のようにも見えますが・・・
実際はUpper WardとLower Wardという
昔々の中世にはこの広場で王の演説があり、
現在では皇太子の戴冠式が行われている2つの大きな空間
広場が大きく取られています
色違いの上の★たちは外から見たお城とされている
7つの塔と二つのゲート
時計周りにこの塔は下のような名がそれぞれあります
| ★ | 入り口でもあるキングス・ゲート | 堂々としたお城の正面玄関 現在は入場場所 |
| ★ | グラナリー・タワー | この塔には親族達のための寝室を備えていました |
| ★ | ノース・イースト・タワー | この塔の1階は皇太子の戴冠式のために使われました |
| ★ | クィーンズ・ゲート | 大きな河口に向かっているこの城のもう一つのゲート |
| ★ | シスターン・タワー | 小さめなこの塔は兵士達の六角形の寝室でした |
| ★ | ブラック・タワー | ノルマン人の進入に備え、兵士が駐屯していた塔 |
| ★ | チェンバレン・タワー | 王の重臣達の寝室でした |
| ★ | クィーンズ・タワー | 大きな寝室を備えた塔 |
| ★ | イーグル・タワー | 王の軍隊、主に海軍が駐屯していた塔 |
| ★ | ウェル・タワー | この塔下から入り口へ向かう塀沿いは城のキッチン 食事はこの塔内で行われた、とされています |
| ● | グレートホール | ここで日々王は日々の食事をし、軍策を練ったとされています |
それぞれの塔の間は人々が行き来できるように
おそらくは外敵からの進入を見張ることも然ることながら
このように2階部分が全ての塔間を渡れるように
城壁も高く張り巡らされています

塔間の1番高い城壁通路
見学者は一つの塔に入って、上の階まで上れば
このようにぐるっと塔間を行き来することも可能ですし、
またこの通路は1階、地下とも繋がっている塔間もあります
現在はその塔の中ではそれぞれの歴史にまつわる
エキシビションが行われていて、
8つの塔の中で最も大きなイーグル・タワーでは
この城の歴史を物語るスライド上映がされています

イーグルタワーのスライド上映の入り口
約20分ほどのスライドですが、
この城のみならずウェールズとイングランドの歴史を
最も手っ取り早く理解するには
とても解りやすいものでした![]()
![]() 現在は英国図書館に収められている エドワード1世とエドワード2世の “プリンス・オブ・ウエールズ”戴冠式の様子 |
![]() エドワード1世の命により せっせと城を建設する兵士達のようす 現在は大英博物館所蔵 |
上の2枚もスライド上映の中に出てきた
当時の様子を描いたもの
13世紀のこの時代の城は中を見ていても
とにかく「質実剛健」
ただただ終わることのない戦闘に備えて
頑丈で且つ外部の侵入を閉ざすような造りに思えました
![]() 屋根のないシスティン塔の内部から しかし、両サイドの塔へは繋がっている |
![]() お隣のブラック塔 見張り台のように河口を睨むように立っている |
![]() 一際目立つ大きなイーグル塔 ウェールズの旗を称える この塔はメナイ海峡とセイオント河口の両サイドを 見張ることができるこの城の最前線 |
![]() 四角いシルエットの浮かぶ 左:ウェル塔と並んでキッチン 夕暮れ迫るお城の様子 |
すっかりと人気のなくなった夕暮れのLower wardを1人歩いていたら
何となく中世の王への歓声や歴代の戴冠式の人々のざわめきが
石の塔から響いてくるような・・・
そんな錯覚を感じながら歩を進めながら
King's Gateの入り口近くまで辿りつくと
スタッフのおじさんに“そろそろ閉館だよ”
気がつくと本当に最後の入城者だったらしく
“また明日!”

King's Gateのお城の入り口
人の気配もすっかりとなくなったお城に居ることが
ちょっと怖くなった私は
このおっちゃんの笑顔についつい
“また明日!”

そうして、この中世のお城からすっかり抜け出て
海に近いこの街のフィッシュ&チップスはきっとうまいぞ〜と
すでに閉じられたGateから現代へと切り替わり
久しぶりのテイクアウトの中華料理店へと急いだのでした![]()

閉じられたお城の入り口 King's gate
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そして、お宿の雨上がりの中庭を部屋から見下ろしながら
ほくほくのお夕食
本日はフィッシュ&チップスと大好きなコーンと蟹のスープ&ビール![]()
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窓に沿って備え付けられた大きな木のテーブルから
左はその窓から見えるお宿のホストレディと黒い大きなわんこ
くもの巣状の洗濯干しが見えます
左はこの街の中心を囲む城壁の見張り台でしょうか・・?
そうして、初めての北のウェールズでの夜はいつものように
居心地良いお宿のベッドでぬくぬくして
明日の英気を養うのでした・・・

