やさしい個人旅行講座



【 2010年 アイスランド火山問題 】



アイスランド火山噴火 最初
2010年3月21日
エイヤフィヤットラヨークトル火山の最初の噴火

ナショナルジオグラフィックより


2010年3月21日未明
アイスランドの南に位置する
エイヤフィヤットラヨークトル火山が噴火した!!


それまで、私の乏しいイメージの“アイスランド”は
下の写真のように氷河と海に囲まれた
我が国日本のような静かな小さな島国・・・だった・・・


アイスランド
フィヨルドと火山の国 アイスランド


ところが、2010年4月15日から約1週間

世界中の経済を震撼とさせた航空業界を一瞬にてして麻痺させる、
そんな大それたことをしでかす国とは露とも思うことなく・・・
実は活きた火山の上に出来た
“静か”どころか、
煮えたぎるマグマの上に出来た島だった、なんて・・・

今回の出来事は決して終わったわけではなく、
むしろこんな「自然災害」が起きたら・・どうしましょう!??
旅行業務取扱管理者資格試験
(現総合旅行業務取扱管理者試験)に
出てきた航空約款にあったっけ・・・??

そんな古い知識や
実際に航空会社各社がそれぞれに発表した結果をまとめてみました

ほんの少しの『備えあれば憂いなし』

少しでもご参考になれば幸いです









〜 問題の勃発 〜


アイスランドは人口29万5000人、
首都は冬季オリンピックも開催されたことのあるレイクキャビック

欧州最大の氷河を持ち、
またその下はマグマ活動の激しい火山島の上に作られた
この小さな国は英国の北に位置する
アイスランド共和国

アイスランド共和国の旗


国土の1割以上がその巨大な氷河に覆われてはいますが、
南西部はメキシコ湾流と暖かい南西の風により気候は穏やかで
この地区にはこの国の住民の殆どが住まい、
また、氷河の多い西海岸よりには多くのフィヨルドも見られ
クヴァルフィヨルズル(「クジラの湾」の意)は、
その中でも最も長いフィヨルドのうちの一つでもあります

そんな火山の様子やフィヨルド氷河のクルーズなど
これからの季節には世界中からの観光客も徐々に増えてくる・・・
そんなシーズンのスタートでもありました


火山噴火を見る観光客
アイスランドのエイヤフィヤットラヨークトル(Eyjafjallajokull)氷河にある火山で
噴き上がる溶岩を眺める人々 (2010年3月24日撮影)

ナショナルジオグラフィックより


元々この国は北米プレートとユーラシアプレートが
せめぎ合うリフトゾーン(割れ目)が東西に走っており、
このような地理条件を持つ国はほかにないそうです

リフトゾーンを埋めるように地球内部から上昇してきたマグマが、
現在判っている範囲では約5年周期で火山噴火を引き起こしているという結果
果たしてその“5年周期”が今年だったのか??!





実は冒頭の写真から判ったことは
すでに問題勃発の約3週間前

じわじわと火山の噴火口からは
その地獄の炎のようなマグマが小さなながらも吹き出ていたこと
日を追うごとにその亀裂が大きくなり、
当然噴火の炎も徐々に大きくなっていきました


そして、とうとう4月14日
更に長さ約800メートルの亀裂から噴き上がった溶岩は、
30階建てビル相当の高さまで達しました

アイスランドの火山噴火
2010年4月14日撮影
アンスランド火山噴火の様子 ナショナルジオグラフィックより



その時の噴火火山灰は飛行中の航空機エンジンに致命傷を負わせる、とのこと
(ここで何故そうなるか・・は割愛いたします・・)
真っ先に空港閉鎖をしたのは英国全土の飛行場でした

1部スコットランドの空港が使用を認められた時もありましたが、
その後はすぐに他の英国内の空港と同じ処置が執られました

その後はほぼ欧州全土の飛行場が閉鎖になり、
各航空会社への飛行禁止処置がとられ、
その中でも長い期間空港が閉鎖されたのは
地理的にこのアイスランドに近く、
尚且つ風の影響で最も多くの火山灰の影響が大きいとされた、
英国全土の飛行場でした

ロンドン ヒースロー空港


これは度々ニュースでもご紹介された
あの思い出したくもない2001年9.11以来の航空機運行停止、とも言われ、
実際はそれ以上の期間
航空網は麻痺していたわけですが・・・





〜 直行ロンドン行き各航空会社の措置 〜


折りしも日本は1年の内で最も長い祭日を抱えた
ゴールデンウィークを控えた4月中旬

この時期は旅に出る時期としては最もお薦め、
春先に於いて航空料金がお安い時

当然お仕事で海外に出る方々も多く、
今回はそのGWを外れたとは言え、航空料金のこともあり
決して渡航者人数が少ない、とは言えない・・・・私も仕事がなければ・・・と
常に虎視眈々と狙う時期でもあります

そんな今回の時期に偶然この「事故」により
飛行禁止!というお触れが出た際の
ロンドン行き航空会社の対応をおおまかな点のみですが
下記にまとめてみました


※4月15日から22日くらいまで発表になったものです(5月1日現)
その後に再び変更になることもございます

航 空 会 社 名           対  応 
ブリチィッシュ・エアウェズ
 
(BA)
 運行できなかった期間の航空券をお持ちの方々は 
  手数料なしで全額払い戻し可能です
 航空機が利用できなかった場合の処置として
  バス・ コーチ・フェリーをご利用の方にはその料金を
  お支払いします
 運行できず取り消されたチケットの有効期限内であれば、
  再度の予約をし直すことが可能です
  (格安航空券については各座席クラスによって、
  その有効期限が違います。BAさんへお問い合わせが必要です


ヴァージン・アトランチィック航空
 
(VS)
 運行できなかった期間の航空券をお持ちの方々は 
  手数料なしで全額払い戻し可能です
 4/15〜21日出発までの航空券をお持ちの方は、
   22日以降運行再開された航空便の空席リストに登録ができます
 取り消された地チケットの有効期限内、又は最大3ヶ月以内での
   変更予約が可能です

全日本空輸
 
(NH)
 4/16以前に購入された航空券に限り、
  運行できなかった期間の航空券をお持ちの方々は
  ANA SKY WEBでの予約を除いて、手数料なしで全額払い戻し
  可能です
  (但し、その対象は4/16〜27発の航空券に限ります)

日本航空
 
(JL)
 4/15〜23日発の航空券のみ対象で、運行できなかった期間の
  航空券をお持ちの方々は手数料なしで全額払い戻し可能です
 出発後(帰国便)については、5月9日までの発便への
   手数料なしの変更が可能です


今回の出来事で金額的な被害を蒙ったのは
何と言っても航空会社
その被害は900億円以上、という途轍もない数字



また、当然と言えば当然なのですが、
出発も帰国もどうにもできなくなった搭乗者




そして、出発よりも帰国の途に着けない・・ということは
誰もしもが不安に思うこと

特に
BAさん
“お急ぎのご出発でなければ、
帰国する方々へのお席として譲ってほしい”と
出発に当たるフライトの席を取り消し、
その分の席を帰国に当たる人々へ、と出発搭乗者へ呼びかけていたこと
(他社さんでも行っていたら、調査不足故お許しください)

これは凄いな〜・・・
そうは思っても中々言えないかもしれないし、
それを書面に打ち出す勇気も凄い

確かに運行しだしてからのフライトについては
どうしても席数に限りがあるので、
フライトが飛ばず待機していた人々の席はどうしてもあとになってしまう

しかし、そうではなく
“心配しどおしで足止めをくらった人々を先に帰してあげたい”




今回のことは各航空会社の対応、ポリシーが
それぞれにはっきりと感じられた一瞬だったようにも思いました







〜 出発時に災害勃発 〜



もし、当日出発するために空港へ行ったら
“本日のフライトは全て運行中止です”
そんな被害に合ってしまったら・・・






各空港チェックインカウンターで搭乗予定便航空会社の
今後の対応を判るまで把握しておく必要があります

個人旅行の場合は
添乗員さんも旅行代理店のスタッフも空港にはいません
(大手の旅行代理店さん購入チケットであれば空港カウンターがあるかもしれませんが)

購入したら、できるだけご自身で
先ずは
ご自分の航空券についての航空会社対応について把握が必要です




現在はEチケットと行って
航空券は航空券に在らず・・・
全て予約記録に基づく書面に綴られた確認書のようなもの

そこに明記された予約記録が1番大事なものです

その予約記録を元に航空会社カウンター、
電話での確認・・全てにおいてお問い合わせに必要です
その予約番号は数字とアルファベットを組み合わせた6桁になります

Eチケット
チケット番号 最初の三桁125はBAのコード番号
その後の10桁がこの航空券の発券番号になります
1A/に続く「Z7Y9VC」がこの航空券の予約番号です


もう一つ大事なのは
現在個人旅行の場合は「格安航空券」ご利用が殆どだと思いますが、
ご自身の利用する座席のクラスです

BA
憧れのBAキャビン BAサイトより


それぞれ購入方法により
この格安航空券は席のクラスが多種多様にあります

ちなみに私が良く利用するBAサイトからの直接購入は
エコノミー席でありながら“O”クラスです

また、旅行代理店で利用されるパッケージ旅行にでは
そのクラスは“S”だったり、“M”だったり・・・

OもSもMクラスなど全て
よくエコノミー席で呼ばれる“Y”クラスですが、
購入の仕方や購入期日、旅のスタイルなどにより
それぞれの各航空会社が
同じYクラスの中で沢山の種類に分けて販売しています


空港の航空会社チェックインカウンターでは
このお席の種類によっては対応が違うこともあります

しかし、今回の火山問題については
全てのクラスにおいて平等に扱っていました


ですから、万一航空のチェックインカウンターでご自身の予約番号、予約クラスについて
どのような対処になるかをご理解する必要があります


その際はどうぞ、係員の居るチェックインカウンター、
又は地上職員へ確認してみてくださいませ


セルフサービスチェックインマシーン
数年前からお目見えしたセルフサービスチェックインマシーン
但し、こちらで座席を指定した後は係員の居る
チェックインカウンターへ向かう



そして、出発できなくなった詳細が確認できたら、
現地へその日に予約をしているお宿などへ予定変更のご連絡をして下さい


理由さえ解れば宿へのお取り消し料などについての申し立てが
可能になることもあります

但し、通常は如何なる理由においても
予約時にクレジットカード番号をお知らせして予約したお宿については
規定通りのお取り消し料が発生することと思います
(それはお宿サイドの問題で宿泊不可能になった訳ではないので・・・)

その旨何卒ご了承くださいませ





〜 帰国時に災害勃発 〜


帰国予定便が飛ばなくなってしまったら・・・





実は思わず“ラッキー”と言いそうですが、
(常々そうならないか・・?と願ってはいるのですが・・・)
今回のように約1週間も現地で足止め・・というのは
実際は起こってみると不安になるもの

特に休暇の場合は予定通りに帰国できないわけですから、
決まった休暇期間以上の“お休み”は
お仕事や生活に支障をきたすもの




1日、2日ならまだしもそれ以上となると
ご家族の心配や職場の皆様・・などなど・・と心穏やかには過ごせません

先ずは留守を守ってくださる方々へのご連絡とこちらのご連絡先を取ること

そして、予定以外の滞在をお過ごしになる場所(お宿)の確保です





今回は成田空港で海外からいらっしゃった方々が
空港での夜明かしをされていらっしゃったニュースが流れました

先ずはどのくらい長くなるのか?が解らない場合は
滞在先を確保して
それから日本のご家族、ご連絡先にお伝えすることをお薦めします





そして、帰国に際して航空便の情報を得るには

1)  もし、航空券を旅行代理店で購入した場合は
 その現地支店へ問い合わせてみる
 又は直接航空会社カウンターへ足を運んでみる

2)  利用航空会社のロンドン支店へ連絡して確認する

 
3)  もし、PCをご持参していた場合は航空サイトへ繋いで情報を収集する
 又はネットカフェなどでインターネットから利用航空会社サイトで確認

4)  日本の家族、友人などへ連絡をして日本での各航空会社へ問い合わせてもらう


2010年1月に大雪の影響で帰国便が危ぶまれた時
滞在先のお宿のお嬢さんに航空会社サイトへ飛行状態を確認してもらいました

実際は日本のように電話は余り繋がることがありません

サイト情報だと比較的早く発表になります

または時差の問題もありますが、
日本に居る家族などに連絡をして
日本の各航空会社へ確認してもらう、ということも宜しいかと思います











〜 ご出発前の準備 〜


どんな場面でどのような事が起きるか、は解らない昨今、
以前は旅に出たら早々連絡がついてしまうものを
(PCだったり、携帯電話だったり、宿は現地にて決める!など・・)
持参するなんて考えも及ばない!と・・

空港から飛び発ったら日本からは連絡不能だよ〜ん、
という状態が長年続いていました


親不孝な私・・



しかし、現在はロンドンのみならず
公衆電話の壊れ度が以前より増してきたこと・・

日本で利用している携帯電話がそのまま利用できること・・・

仕事で不在中も探されることも増えてきたこと・・などなど・・・から
数年前より携帯電話のみは持参するようになりました

今回の緊急の場合もやはり家族や仕事先へ連絡を入れるにあたって
携帯電話は必需品かな〜ということに強く思いました

個人的には今後の旅については
出発前に用意をした方が良いのかも・・と思ったことをまとめてみました
すでに準備されていらっしゃる方々も多いことと思いますが、
少しでもご参考になれば幸いです




1)  航空券予約は必ず詳細を確認しておく
 そして、日本での留守宅にもその予約記録の控え(コピー)、滞在先の連絡、連絡方法を
 渡しておく

2)  ロンドンにある現地問い合わせ場所の確認をしておく
 (例えば旅行代理店の支店連絡先電話番号、購入した航空会社の電話番号など)

3)  日本との交信可能な携帯電話、もしくはPC(メールができるもの)を持参する
 又は日本の家族などから滞在先へ連絡可能か、どうかを予め確認しておく

4)  万一に際にお金が必要になる場合もあります
 滞在先での滞在が延長になった場合や予約した航空券以外で帰国しなくては
 ならない場合など・・・
 そんな時の緊急用にどのようにしたら良いかを考えておく
 (例えばインターナショナル・クレジットカードのご用意、インターナショナル銀行口座開設、
  緊急用のT/Cのご持参などなど・・)

まだまだご注意いただくことが思い浮かぶことと思いますが、
ついつい出発前は不在中の仕事、雑務に追われて
結局はバタバタと出発してしまいがちです

『備えあれば、憂いなし』

今後の様子を見つつ、
出発前にはせめて上記のことだけでも確認して旅立ちたいものです


チェックインボード








 【おまけ】


万一ロンドンでご帰国できなくなった場合のご滞在先が
ミセス・ハリガン宅アン宅であったら
彼女達は出来る限りのヘルプをしてくださることと思います

また、日本へのご家族のご連絡についても
こちらでフォローできることがあったら
ご遠慮なくお申し出下さいませ

但し、時差や平日の昼間はご連絡が取れにくくなりますので
その旨ご了承くださいませ



ミセス・ハリガン宅
ミセス・ハリガン宅のお気に入りの場所
アン宅
アンの家の居心地の良い居間











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