Sportsの窓

EPISODE 8


〜 2007年度 第6回ワールドカップ 〜

決勝戦終了直後


終わっちゃった・・・何か寂しいね〜

これが10月21日午前6時20分
こんな気持ちが先ず先にきてしまいました・・・


エリス・ウェッブ カップ
エリスカップ BBCニュースより




9月7日にパリで開幕した第6回ラグビーワールドカップは
昨日10月21日パリ郊外のスタッド・ド・フランスにて
南アフリカの2回目の優勝で幕を閉じました



ノーサイド 南アの主将 サミット
優勝の瞬間 ノーサイド 南ア主将 サミット BBCニュースより



南アフリカは95年自国での開催時の優勝から早や12年
間に2回大会を挟んでの優勝でした


カップを挙げる南ア
カップを高々と挙げる南アの主将 スミット BBCニュースより



その間短かったようでも、前回優勝時エリスカップを手渡した
マンデラ首相が御年90歳を超えられ、
今回の渡仏が叶わなかった・・・と聞くと
“長かったんだな〜”とも思いました



敗れてしまったイングランドは至上初の連覇が俄然期待されての
この決勝戦進出



イングランドヘッドコーチ ブライアン・アシュトンさん
今年1月に就任イングランドヘッドコーチ ブライアン・アシュトン 決勝戦前の練習
後ろは主将 ヴィッカリー
BBCニュースより




しかし、この大会においてはこの日までの道程を振り返れば
よくもここまで残ってくれた・・・と
このチームを愛する私達はそのことだけでも涙ものの今大会
1日でも長く彼等を観ていたかった

それくらいイングランドチームには
毎回ハラハラさせられしどおしだったけれど
1戦1戦ごとにミスが少なくなり
ファワード陣の本来持ちうる、いぶし銀ような彼等の底力が
1試合毎にひしひしと伝わってきたようにも感じました



イングランドフォワード陣のディフェンス
イングランドフォワードのディフェンス 決勝戦 BBCニュースより



我が国のラグビー解説者の方々は
この決勝カードには事ある毎に
“意外な組み合わせ”と連発されていたので
正直日頃北半球チームを応援する私にとっては
この対戦こそ、願ったり、祈ったりの結果でもありました

決勝戦はトライこそ無かったものの
それでも、観応え充分の力強い戦いになったと・・・





イングランドファワード陣攻める
突っ込むイングランドベテランフォワード陣 BBCニュースよ


確かにラグビーにおいては
“トライ”は観ていて楽しいけれど
実はその得点へ結びつく過程へも
両チームのフォワード陣などによる踏ん張りによるわけだから
それをお互いに取れなかった、ということは
ディフェンス攻防戦も物凄く見ごたえのあった、ということではないだろうか・・・

今回最終戦のイングランドも南アフリカも最小限度のペナルティーでの得点数
その最終的なトライへ結びつけることができなかった
その前の過程がとても面白かった試合に
私には思えたのだけど・・・

でも、結果的に優勝した南アより
イングランドの方がちょっぴりそのペナルティーを犯してしまった分
敗れることに結びついてしまった・・・
そんな結果がこの48試合目だったと思いました

それが1つのラインアウトのミスだったり、
ラックで手を使ってしまったり、
スクラムで落としてしまったり・・・

ほんの小さなちょっとしたことが
大きな結果に結びついてしまった、という試合をした両者チームは
やっぱり4年に1度の最高の舞台での
最終戦に出てくるに相応しい試合をしてくれた、とつくづく思いました


敗れたイングランドチーム
敗れてがっくりのイングランドチーム











思い起こせばプロ化に転向しようとしていた95年大会は
まだ北半球の国々は南半球よりその動きが遅れ、
その時点から明らかに南半球優勢説がささやかれ始めました


この大会のイングランドは自国の持つ“フォワード強気”のスタイルで
それを最後まで貫くことが出来ず
半ば中途半端な悔しい敗北に終わりました

その後は幾多の試行錯誤がありましたが、
結局は自身のスタイルを確立させた
前回大会で圧倒的なフォワードの強さと
ジョニ、という即得点に繋がるキッカーとの連携で
見事な優勝劇を魅せてくれました



03年ドロップゴール
03年決勝延長戦 ドロップゴール BBCニュースより


今大会での最後の試合、決勝戦では1つのトライもなく
(幻のトライは本当に惜しかったですが・・・)
点数も今までこの大会で得点してきた南アフリカの試合の中でも
少ない点数で勝利した1戦だったのですが
お互いのフォワードの戦いは
正に決勝戦に相応しいごつごつのぶつかり合いになったと思います


幻のトライ
物議を醸し出しそうな・・・幻のトライ
イングランド クェート BBCニュースより



スクラム、ラインアウト、モール、ラックと
一つも見逃せない展開は
力と力の真っ向勝負
ラグビーって本当にこんなに面白いゲームなんだ!と
改めて思い知らされました


イングランド第1列
イングランド第1列


ですから、そのスタイルをこの大会で一環して通し
徐々に強くなったイングランドは
私にとっては最も観る毎に面白いチームでもあったわけです

ただ、このチームにはトライゲッターともいうべき選手が少なく
まだまだ前回出場のベテラン選手に頼らざるを得ない・・

代表復帰組のロビンソンも怪我に悩まされながらの出場、
ボール展開がうまい35歳の超ベテラン マイク・キャット、
若手の13番マシュー・テイトやトビー・フラッドではまだまだ線が細くて
ここ!という時には安心して見ていられなかった・・・
こんな時このチームに頼もしい13番
オドリスコルのような選手やカーリングのような選手が居れば・・と
夢のようなことも浮かんでしまいました

それでも随所にテイトやフロッド坊や達の次ぎに繋がる展望が見えるので
これからクラブチームの最高峰を競うハイネケンカップや
来年の六カ国対抗戦での活躍が楽しみです



抜けたマシュー・テイト
イングランドバックス陣での唯一抜け出たマシュー・テイト
BBCニュースより





あとはもう一つ
今大会はボールについていろいろと物議が醸し出され
ジョニのキックの成功率が余り良くなく
本来の彼の力が出なかったことも
イングランドを勝利へ導けなかったようにも思えますが、
それでも、SOというポジションの役割については
やっぱり第一人者

チームの試合運びの要になっていたり、
それを導くための絶妙なパスアウト、
多才なキックについては
改めて彼の存在がこのチームにとっては

無くてはならない存在であることが解りました


痛めた右足を引きずるジョニ
痛めた右足を引きずるジョニ BBCニュースより

おそらくは誰もがここまで来ると故障なしではいられないとは思うけれど
あの優勝候補の2チームを破っての試合では
外から見ている以上に彼は足を痛めていたのだろう・・と思いました

それは彼自身がペナルティーを犯したのを目にした時
今までそんな場面を観ることはなかったようにも記憶していたから・・・


指示を出しながら
己自身で誰よりも早くタックルへ向かいながら
その都度下になり、倒れ、
そして、また指示を出すために懸命に早く起き上がる

その繰り返しをもう何度も何度も目にし
その体を張ったタックルはほとんどが味方にとっては
力強い次への攻撃や防御に繋がるもの




ジョニをなぐさめるアシュトンコーチ BBCニュースより


だから、誰よりも悔しかったのか、悔いが残ったのか・・?
準優勝のメダルを1回も首にかけることなく
目を伏せてグランドをあとにした彼の様子が妙に目に残りました











終わってみれば最後岩淵さんも解説していらっしゃったように
“フォワードの強いチームが残りましたね”

確かに南アも凄かったし、イングランドも然り、
3位になったアルゼンチンもフォワードが強かった

そして、もう一つは私にとっては今大会いろんなタイプのSOが揃っていて
そのことも愉しませてくれた印象がありました


ジョニはもちろんのこと、
アルゼンチンのヘルナンデス、おフランスのミシャラク、ボクシス、
NZのカーター、南アのブッチ・ジェームズ
ベテランから若手まで1試合毎に強くなっていく様子も
本当に観ていて楽しかった


ドロップゴールを狙うジョニ
ドロップゴールを狙うジョニ BBCニュースより


まだ今日大会は終わったばかり
そんな時に一気に思いついたまま綴ってしまった1ページです

ほやほやの第6回目終了にこれからあの試合が良かったな、
あの選手は次ぎの試合ではどうだろうか・・・と、
きっと思い出して愉しむこともこれからできるのかもしれない・・・

でも、今は本当に終わってしまったことに
とても寂しく思います










どうぞ、ラグビー観戦にご興味がおありになる皆様からのご意見・ご質問をお待ちしております





注)これはあくまでも私個人の感想になります
皆様それぞれのご感想やご意見をお持ちでいらっしゃることと思います
皆様のご意見などお待ちしています











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