Art しましょう



〜 美術館へ行こう 〜



Act.4


秋が深まり仕事の勢いもちょっぴり収まりかかると
以前から溜めていた本を貪るように読みたくなったり、
落ち着いて静かな場所で好きなジャンルの絵を見たくなったりします

しかし、ご承知の通り中々そうした時間は実際には取ることが難しく
(どこへ出ても人も多く、あわただしいから・・)
やっぱり日常の喧騒を離れて
日ごろしたかったことをしに旅に出ることもあります

特に以前一時期飛行機の中がとても嫌いだったりしましたが、
この業界に入ってからは
目的地へ着くまでの数時間は仕事から切り離れ、
完全に“さあー休みだーーーっっ!”と頭をその方向へ向けるために
その数時間に費やすこととなっています

のんびりと本を読んだり、ビール片手に映画を観たり、居眠りしたり、と
これまでにないくらい頭の中はもうすっかりと休暇モード

そんな時間を過ごしてロンドン・ヒースロー空港に着くと
“着いたっ!”と、もう頭がフル回転!!

荷物を置いたら何しよう!
あそこも行きたい!あのショップって何時まで開いてたっけ?!
ミセス・ハリガン、アン、マーガレットは元気かな?
地下鉄はいくらになったかなーー?
・・・なんて、これは日常“仕事”回転と速さは変わりません・・・

でも、絵が観たいな〜と思ったら、
それが実現できるのが“休暇”



実際、絵のこととなりますと
余りモダンとか現代芸術は判らないので
学生時代からなじみの印象派は毛穴まで全開して安心して観られます
「ほ〜・・・」と頭の中が温泉に入ったみたいにゆるんでしまうのですね・・私には・・・

だから、ちょっと足を延ばしても
静かでのんびりとした空間を持つギャラリーは正に◎

普段はなかなか足の延ばせない場所にあっても
今日は1日絵を観るだ!と決めたら
そのこと自体が「ホリデー」

今回はロンドン南部に位置する
英国絵画満載の静かな高級住宅地ダリッジ村の
ダリッジ・ピクチャー・ギャラリーをご紹介いたします


ダリッジ・ピクチャー・ギャラリーの案内

元英国首相サッチャーさんが住むという、
ちょっぴりスノッブな郊外のダリッジ村へ行ってきました












ロンドンの美術館

Dulwich picture gallery

ダリッジ ピクチャー ギャラリー
Dulwich Picture Gallery

このギャラリーを知ったきっかけは
ロンドンのブルーバッチを持つガイドさん達が年に一回
様々なロンドンの名所を無料で紹介してくれるツアーの中に
このギャラリーのツアーがありました

あいにくとその日は渡英することが叶わず
この余り馴染みの薄いギャラリーの名だけが
長い間頭に残っていました

しかし、場所を探ってもロンドンの中心地にその場所はなく、
またその位置もアンがよく言っていた
“テームズ河の川向こう”=彼女はその場所は余り治安のよくない場所、として
私が行くことを止める感じがするので
一人では足を延ばさないようにしている・・・私の中でのルール


しかし、その時はロンドンのお宿でご紹介をしている
スーの家に滞在した時に
地図で見ると比較的近い場所にあったことや
実は彼女の家での滞在は
このギャラリーへ行く一つの目的も兼ねていたことなどもあり
長年温めていた場所へ行ってみたのでした






スーの明るいダイニングルームで
“ダリッジ・ギャラリーへ行ってみたいのだけど、
ここからどの方法で行けるかしら?”と尋ねると
“あら〜バスで行くのが楽だけれど
乗り換えもあるから・・・”と
ちょっぴりスーの言葉に一抹の不安はあったものの
教えていただいた大きなバスステーションから最初のバスに乗り込んだのでした




しかし・・・確かに今思うとバスの乗り換えがあったにも関わらず
村の入り口までそのバス通りがあったので
徒歩距離が少なくてすんだこと
料金も1回のバス料金で進めたのでお得だったのだろう・・・
・・・にも関わらず・・・


今思い返しても、どんな経路で乗り継いで行ったのか・・・?難しかったです


しかし、通常はロンドンの中心地から向かうこととなりますので
そちらからのご案内を致します


行き方 鉄道利用 : ヴィクトリア駅よりHerne hill駅経由
         
Medway towns、Maidstone、Ashford行きに乗車
         West Dulwich(ウェストダリッジ)駅下車徒歩15〜20分

         Dulwich picture gallery


バス    : 地下鉄ヴィクトリア線の終点Brixton駅からP4番バスで
         Dulwich Village下車約徒歩5分


住所  Gallery Road,London SE21 7AD

Tel (020) 8693-5254

Open 火〜金曜日: 10:00〜17:00  土・日曜日・月曜公休日 : 11:00〜21:00まで
Close  : 月曜日(公休日を除く)、1月1日、復活祭前の金曜日、12月24日〜26日

入場料 大人  : £5.00 特別展含む£9.00
シニア : £4.00 特別展含む£8.00
18歳以下は無料






鉄道駅からもバス停からもちょっぴり徒歩が必要になります
是非お天気の良い日を選んでいらっしゃることをお薦めします

そうして、村に到着するとこのギャラリーの案内は比較的見つかりやすいので
難しくなく到着することと思います



ギャラリーの入り口
ダリッジ・ピクチャー・ギャラリーの入り口

ギャラリー・ロードとカレッジ・ロードのY路路にはさまれるようにして建つ
このギャラリーはロンドン最古の公立美術館

17世紀初頭に創設された美術学校のダリッジ・カレッジの付属ギャラリーになります
その建物は1817年に英国でも名高い建築家ジョン・ソーンが設計、
興味深い建築としても価値があり、
古くは夏目漱石が留学中に訪れた経緯も残されているそうです

先ずはここギャラリー・ロードに面した入場門から長い通路を進み
焼き物の展示があるホールから始まります



ギャラリーのエントランス
ギャラリーの入り口


思わずおいくらですか・・?と尋ねたくなるような
見目豊かなハンサム・ボーイのスタッフに入場料を払って
私は今回は常設展のみじっくりと観てきました

案内通り順路を進むとこのギャラリーの採光の取り方に
ああ・・・これが後世に残る建築をした人の設計なのだな・・・と
思わずにはいられない趣向に
そして、静かな空間にここまで来て良かった・・・と・・・


ここからギャラリー展示室へ
見学順路はここから始まります
天井から差し込む自然の採光

ここから見学順路が始まりますが、
天井の明り取り1つづつの部屋割りになり、
左手側にはそれぞれ小さな小部屋があり、
合計12室の構成になっています

両サイドの壁にはそれぞれの時代や作者の絵が並び
中央にはガラスケースの中に
焼き物の工芸品が展示されています

天然の採光 ギャラリーの模型

左はドーム型の天井と展示室と右は中央に置かれたこのギャラリーの模型



それぞれの小部屋にはフランダース、
イタリア、オランダと工芸品や静物画などの展示がされています


18世紀の絵画と工芸品の部屋
18世紀の小作品と工芸品の部屋

ゲインズボロウの貴婦人画
1771年ゲインズボロウの「Liney sisters」

17世紀のイタリア絵画
大きな部屋の17世紀イタリア絵画の部屋
17世紀から18世紀のフランス絵画
17〜18世紀のフランス絵画の部屋

1600年代から1700年代にかけてのイタリア絵画が多く、
また、オランダからのヴァン・ダイクやルーベンス、
スペインからの17世紀の巨匠ムリーリョ、
フランス絵画の古典主義の大家プサンの1番大きな絵画も所有しています

本家の英国を代表するターナーはもちろんのこと
18世紀ロココ時代を代表する画家ゲインズボロウの貴婦人画や家族の肖像画など
部屋を進める毎にそのような大作に出会えることが
驚きと共にこの静けさの中でゆっくりと鑑賞出来ることが
このギャラリーでの最大の楽しみかもしれません


そして、このギャラリー所蔵のご自慢はいくつかあるにしても
15世紀初頭ダ・ヴィンチの後活躍する
ピサロ・デ・コジモの若い男性の肖像画も見逃せません






ひっそりとしたこのギャラリーには小さなショップが併設され
そこではお決まりの気に入った絵画のカードを手に入れると
更に先に進めることに気がつきました

もともとこのギャラリーは美術学校の付属であり、
ここに住む方々のための公立ギャラリー

絵画を学びたい人や陶芸に興味を持った人々のために
市民教室が開催され、そのお教室がありました
そして、その先には陽だまりの中に

ガラス張りのティールーム

ダリッジ・ギャラリーのティー・ルーム
ギャラリーのティー・ルーム

お昼時でもあり、かなり混み合っていました
正直こんなに人が集まっている場所は展示ルームにはありませんでした

このティールームは外からは見えない広い中庭になっていました
ゆっくりと絵画を鑑賞し、お茶をいただき、
こんな中庭をのんびりできたら・・・
本当にここがロンドンのギャラリーであることが不思議です


中庭から見たギャラリー ギャラリーの斜め裏側
ギャラリーを裏から見たところ ベンチで寛ぐ人もいました 
中庭は大きくギャラリー・ロードとカレッジ・ロードの間がこの場所に当たります








この中庭を突っ切ってしまうと鉄道駅へ向かうことになりますが、
ティー・ルームが一杯だったこともあり、
村へ戻ってランチを取ることにしました

丁度このギャラリーに入る通りはY字路ですが、
その文字の1本に当たる通りは
村のメインストリート、ダリッジ・ヴィレッジ・ストリートになります



ダリッジ・ヴィレッジ
ダリッジ・ヴィレッジのメインストリート


この通り沿いにはこじんまりとした住宅や
パブ、ビストロが並んでいます



メインストリートに建つ住宅    通り沿いのパブ
メインストリートにはこのような瀟洒な住宅や歴史のありそうなパブが軒を連ねています


私も通り沿いにテラスを出す賑やかな店内の声が聞こえる
ビストロのテラス席に落ち着きました


手書きメニュー ランチセット サラダつきシュリンプロール

テラスに本日のお薦めランチメニューの手書きボード
その中から選んだサラダ付きシュリンプロールとグラス白ワイン



村は静かでこのお昼時にはお隣のパブも
このビストロも人が一杯でしたが、
穏やかな時間の流れていくことが実感できる
こうした場所はロンドンの中では
観光客が訪れる場所ではないのだと感じました

しかし、限られた時間の中で1日はロンドンの喧騒から離れて
絵を観たい・・と思ったときに
この郊外の小さなギャラリーを思い出して下されば嬉しいです









村のパブの看板
“クラウンとグレイハウンド”


村のパブの看板

パブの看板にはそれぞれの意味があります
この“王冠”は王家、貴族に由来する意味ですが、
それに優雅な趣の猟犬グレイハウンドがそのクラウンを示しています

二つの名詞が重なった名のパブは
それぞれの意味あるものを重ねてきたけれど
昔々からの言い伝えの果て
聞き違った名詞が組み合わさったとも言われています

村の通りにある大きなこのパブの看板は何を意味するものでしょう・・・

こんなこともぼんやりと考えながら
何時かはその意味も知りたいな〜と思いながら
この村を後にしました






*こちらのページでご紹介差し上げているご案内に関して
万一誤った箇所がございましたら
どうぞ、その旨ご指摘いただけますようお願い申し上げます






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