Sportsの窓

EPISODE 8


〜 2008年度 六カ国対抗戦 〜

“ワールドカップ後 初めての北半球決戦”

 【2】


2008年sixnations



現在南半球でも北半球でもそれぞれのクラブチーム同士の
熱い戦いが毎週行われています

南半球では季節がこれから秋、冬とラグビーシーズンに入り、
スーパー14からトライネーションへ

北半球欧州では
EDFエナジーカップ、ハイネケンカップ、ギネス・プレミアシップ、・・と
ファイナルに近づき、本当に試合数も佳境に来ています!

私達ラグビーファンには週末はどこかしらで試合があるので
楽しみが長く続くわけですが・・・
(但し、北半球在住者による)
よく選手達の体もモチベーションも、もつな〜と感心してしまいます

しかし、そんな環境から
この試合数の多いクラブチームで選手達は切磋琢磨し、
その中から先発されて
それぞれの国の代表になるわけですから
やはりテストマッチはお互いに“代表”としても
選手達が国を賭けての凌ぎあいになるわけです

「昨日の敵は今日の友」


そんな彼等を自国の代表として
応援する側も1年に1度の盛り上がる最高潮の六カ国での対抗戦

私なぞは仕事を引退してご隠居になれたら
この期間は英国に留まりたいとすら願い、
日々仕事に勤しんでいる・・という・・・

シェーン・ウィリアムスのようにコマ送りで日々走り回る私

そんな今年の大会を少しでも長く楽しもうと
まったくの自己満足のページではありますが、
どうぞ・・お付き合いのほど・・・宜しくお願い致します











さて、大会も丁度真ん中
中盤に入りそれぞれの国が
己の今年の順位に敏感に感じ取る時期になりました

この第3節で折り返し、どの方向へ向かうのか・・・

まだまだ優勝を勝ち取るチャンスはある、と
全ての選手や自国の選手を信じ応援する人々の思いが押し寄せてくるような・・
そんな中盤から最終戦まで
一気に毎週末をわくわくさせてくれた
この第3節からの結果です






【第3節】


2月23日
15:00


ウェールズ 対 イタリア
47 - 8
(Half Time 13 - 8)


<Millennium Stadium>



イタリアのトライ 3番マーティン・ジョバンニ
イタリアでの唯一のトライ 3番コステロジョバンニ
公式サイトより



もうやりたい放題の地元での声援も受けてのウェールズ
点差も観て通りの大差になってしまいました

前半4分、10分と続けてウェールズ本日の10番
ジョーンズがペナルチィーゴールを決め、
さあ、リスタート、という直後のフォワード押してのイタリア初トライは
1面真っ赤なミレニアム・スタジアムの中で
青い気炎を吐いていたイタリア応援団が
最もこの試合で活気ついた時でした

しかし、その15分後に15番バーンのトライを皮切りに
後半開始直後のシャンクリンのトライ、
ちょろQウィリアムスが2本、
バーンが再び2本目のトライを上げるなど合計5つのトライに
またまたハーフ団が代わり
ペナルティゴールなどで大量47点を奪い取りました

これだけ大量得点差だとやはりフォワード、バックス共に
ウェールズの方が勝っていたことの結果になりましたが
特にラインアウトが殆ど噛みあっていず
そこからバックスへ展開されて・・という羽目に・・

正直この試合でレッド・ドラゴンの調子を更に増長
乗せてしまったようにも思えました





2月23日
17:00


アイルランド  スコットランド
34 - 14
(Half Time 14 - 6)


<Croke Park>


スコットランド戦でのオド
スコットランド戦で絶妙なパスを送るオドリスコル
公式サイトより



ここまでトライのないスコットランドと前戦で苦しんだアイルランド
しかし、この両者は何故か毎年接戦を繰り広げています
(それは両者長い間ほぼ同じ代表メンバーで戦ってきた、という
似たようなチーム環境もあるのでは・・と思います)

昨年もわずか1点差でアイルランドが逃げ切り、
WC後のテストマッチではスコットランドが軍配を上げ・・・という
シーソーゲームのような状態です

しかし、スコットランドは今ひとつぱっとしない今年の大会成績に
この試合でスコットランドヘッド・コーチのへディンさんは
パターソンを10番に・・・ダン・パークスは控えに回してのスタート
前戦で故障した主将ホワイトの代わりに
9番のブレアーを主将に、と布陣を変えてきました

スタート直後から前に出るスコットランドは
敵陣22mラインを超えて攻めても
その先は緑の鉄壁なまでのディフェンスに阻まれ
どうしてもその壁を超えられない

逆に数少ないチャンスをものに
早い展開で前半だけでトライ3つも奪い取るアイルランド

パターソンが何とかアイルランドの反則から
ペナルティーキックで追っても
ベテラン ウォレスの次ぎはまだ一桁台キャップ保持者のケラニー、
そして、またまたベテラン ホランに続いて
若手のボウイーが2本のトライとあってのアイルランドに
成す術もなく点差は開いてしまいました

それでも何とか密集から飛び出た
今年は黄色いスパイクで一躍目立つ
12番ウェブスターの後半55分トライが今大会の初トライのスコットランド

やっと出たこのトライで彼等はちょっぴり崖っぷちから
1歩後退できた、というまだまだ不安な状態、という感じでした
もう次ぎはない・・というスコットランドは
次回カルカッタカップを賭けて“宿敵”イングランド戦になります




2月23日
21:00


イングランド
  おフランス
24 - 13
(Half Time 13 - 7)


<Stade de France>


試合終了間際トライを決めたウィグルワース
キャップ4つ目で試合終了トライを決めた9番ウィグルワース 
公式サイトより



場所はおフランスのお膝元

昨年のWC決勝トーナメントにおいて地元開催の大会に
決して負けられない試合と相手だったにも関わらず
苦渋の涙を呑んだことは
負けるのが大嫌いなこの国の人々にとっては
まだまだ記憶に新しい・・・
歴史上でも最も相容れない“宿敵”イングランド

対するイングランドはこの大会で優勝するためには
決して落とせない1戦であることはもちろんのこと
2000年以来この大会で
ここスタッド デ フランスでの試合に勝てていないこと
大黒柱のジョニの得点記録もかかり
ドーヴァーを越えて地元おフランスに負けない応援団が詰めかけ
試合前から「Sing low sweet chariot」の大合唱が鳴り響く・・・
異様な雰囲気の超満員スタジアム

波乱が起きないわけはありません

キックオフ開始早々5分でイングランド14番サッキーのいきなりのトライ
当然コンヴァージョンもジョニがきっちりと決めて好スタートをきります

対しておフランスは前半26分
主将5番ナレットがジョニの真っ向止めるディフェンスを受けながらも
意地の執念すら感じられるトライを決めていきます

おフランスのお家芸でもある
展開ラグビーをさせないタックル応酬のイングランド
おフランスフォワードもナレットを中心に
イングランド重量フォワードに決して負けてはいなかったけれど
少々受身になってしまい
何故かおフランスはいつもの精彩を欠いたように見えたのは
私だけではないはず・・・

ジョニも11番力強いセンターヴァイコロアの敵陣22mラインまでの突進で
久しぶりに見せてくれたドロップゴールにより
一瞬スタジアムが静かになり
その後の怒涛の歓声でおフランスチームに暗雲立ち込めたように感じたのも
私だけでないはず・・・

後半77分に交代で出てきた9番ヤシュビリのペナルティーゴールを最後に
試合終了間際79分にイングランドの新鋭9番ウィグルワースのトライで
成す術なく・・・
8年目にして敵陣で勝利したイングランドと得点記録を破ったジョニ、
またしても涙を呑んだ地元おフランスは
パリの街中で真夜中過ぎまで悔し涙に気炎を上げたことでしょう・・・






【第4節】


3月08日
13:15


ウェールズ 対 アイルランド
16 - 12
(Half Time 6 - 3)


<Croke Park>


わずかに届かなかった14番ホーガンの飛び込み
アイルランド大型ウィング14番のシェーン・ホーガンの飛び込みを必死に食い止めた
ウェールズのバックス陣 わずかにラインに届かず・・・
公式サイトより



結果的な点数はわずかに4点

しかし・・その内容な敵陣アイルランド人の聖地とも言えるスタジアム
クローク・パークでの戦いは
レッド・ドラゴンが縦横無尽にそのグラウンドを駆け抜けたように見えました

トライは両チームを通じてわずかに
ウェールズの小兵ちょろQのまたしても
シェーン・ウィリアムズの一つのみ

最初の20分間はアイルランドもキックを多様し
前で進めようとしましたが
赤いジャージに阻まれて最後まで駆け抜けることができませんでした

対するウェールズはイエローカード・シンビンを2人も出し
(9番フィリップの無意味な膝落としと7番ウィリアムスのラインアウトでの反則)
それでも最初のシンビン中はスクラムハーフを欠く、という10分間に
アイルランドはその間得点することができず
逆に焦りでペナルティーゴールを許してしまう・・・

逆にウェールズはフォワードから見事なパスがバックス陣へ渡れば
そこからの展開が綺麗にオープンサイドへ

そして、ラインギリギリへキックを蹴る10番ジョーンズから
最後は点数を取るべくシェーン・ウィリアムスへ渡れば
定石通りのウェールズの点数の取り方へと
パターン通りに積み重ねるウェールズ

それでも、結果一つのトライは
アイルランドの底力のディフェンス力によるものでしょう

後半66分でウェールズ10番ジョーンズに目が慣れてきた頃
もう1人のゲームメーカー・ホックに交代するという戦略は
今年のウェールズにとってはかなりの高ポイント
試合終了間際でペナルティーゴールにて
更に3点を追加してわずか1点差を
1つのトライ以外に勝つ見込みのない状態へ・・・

時間的にわずか4点差でノーサイド

この笛が鳴った瞬間
今年のトリプルクラウンは久方ぶりのウェールズ
2年連続のアイルランドから
その輝く杯を奪い取ったのでした


敵陣で奪い取った今年のトリプルクラウン
2008年トリプルクラウンを奪い取ったウェールズ
公式サイトより



尚、この試合で残り6分の時間帯に主将オドは膝を痛め退場
残り1試合宿敵イングランド戦欠場となった元をここで作ってしまいました


そして、アイルランドはこの大会で初のノートライ
10番オガーラの右足のみの得点に終わりました




3月08日
15:15


スコットランド 対  イングランド
15 - 9
(Half Time 9 - 3)


<Murrayfield>


マレーフィールドにかかる虹
マレーフィールドに掛かる虹 公式サイトより


暗雲たれこめる北の街 スコットランドはエディンバラの街の中心から約20分
昔ながらの造りのマレーフィールド・スタジアムは
何となく他の国のスタジアムに比べると
少々“アマチュア時代”のスタイルを残した・・
ほっとする風情のスタジアムです

やはりここでも“宿敵”イングランドを向かい打つ
地元スコットランドとイングランドの一戦は
一つのカップ カルカッタ・カップを奪い合う一試合でもあります

昨年はイングランドに軍配が上がり
さて、今年はどちらのスタジアムに1年間保管されるのか・・?

土砂降りの雨からのスタートですでに開始数分で
イングランド選手のジャージの色が泥の色
滑るグラウンド状態で両者尾恥条件の中でどちらにカップが渡るのか・・?
この試合の主審は南アのおなじみのカプランさん
ジョニの左足からのキックオフです

もう後がないスコットランドはこの日試合に出る15人以外の控えの選手7名のうち
バックスは僅かに2名
残り5名全員フォワード選手を入れました

がしがしと来るイングランドフォワードに対抗するには
数で勝負!とばかりな
スコットランド必死のこの1戦に賭ける意気込みが
選手ばかりでなく、スタジアム中から溢れていました

この日も10番はパターソン

試合直後から土砂降りになったり、グラウンド半分が晴れたり・・と
天候もまったく予測のつかないくるくると変わる冬の嵐

フォワードでがつんと行って、
その後はパスでの展開・・と行きたいイングランドはどうにもリズムが作れず
前に出るスコットランドに翻弄されていきます

先制点は地元スコットランドのペナルチィーゴールからのパターソンの右足から
その後前半終了間際、後半始まっての直後と3つ立て続けに
彼からキックで着々と得点を結び付けていきます

後半も半ばになるとトライのない両者のせめぎ合いに
スタジアム中からスコットランドへの声援が次第に増していきます

スコットランドはその声援を受けて
イングランドへ果敢なタックルを繰り返し、
後半65分前後から両者控えの選手全員にほぼ交代する、という・・
結局トライは一つもなく
イングランドのフォワードを甘く見ることなく
イングランドよりも少しでもボールをキープし
そこに焦点を当てたスコットランドが
紙一重的に勝ちを取っていったことに他ならない
1試合だったように思いました

前3敗のスコットランドはこの1つの勝利で
この大会は異議なし!というでも言うような
ヘッドコーチのへディンさんと選手達に“あっぱれ!”と思ったのは
この試合観ている人たちの多くが感じたことでしょう・・

この試合をイングランドはまさかに落としましたが、
3つのペナルティーキックにより
ジョニはウェールズの偉大なキッカー
ニール・ジェンキンズの持つ記録1,093点を超えました





3月09日
16:00


おフランス 対  イタリア
25 - 13
(Half Time 13 - 6)


<Stade de France>


イタリア3番マーティン・コステロジョバンニのトライ
イタリア3番マーチィン・コステロジョヴァンニのトライ
公式サイトより



フランスはこの1戦でまだまだこの大会での優勝に望みをつなぎました

前回のイングランド戦での不完全燃焼を
このイタリア戦ですっかりと溜まったストレスを解消したかの如く
フォワードできっちりとボール支配をして
バックスへ展開、
きちんとトライを取るべき人たちが取っている
そんな試合でした

しかし、イタリアも決して楽に勝たせてもらえる相手ではなく
フォワードもおフランスと互角に戦っています

ただ、ボールを持つ時間がおフランスの方が長く
イタリアも主将9番のパリセを中心に
キックアンドゴーを繰り出し
フォワードも前に出ようとしますが、
どうしてもおフランスのフォワードに阻まれ
バックスへボールが出るとお得意の“シャンパンラグビー”が・・・

この大会で2つ目のトライを決めた
3番コステロジョヴァンニの突進は
おフランスディフェンスを砕くようなフォワード執念のトライ
イタリアチーム選手はここおフランスのクラブチームで活躍している選手も多く
改めて“チームメイト”の力強さも実感したことでしょう


今年の大会ももう残すところあと1試合
まだ勝ち試合のないイタリアですが、
このチームは観る度にどきどきします

他5カ国に比べると
どうしても力の差が見えてしまうことが多かったのに
観る度に何かをしてくれそうで面白い!

大黒柱の大ベテラン、トロンコンを欠いての初めての大会
主将パリセのリードの元1試合毎にまとまりつつある、
この陽気な色のユニフォームで
グラウンドを駆け回るこのチームが私は好きです

さあ、最終節残すところ各国あと1試合

ウェールズのグランドスラムなるか、
イングランドを破ったスコットランドが最後も勝利をもぎ取るか、
昨年WC以来何となくはっきりしないアイルランドが最後を飾るか・・
はたまたいつの間にか優勝しているおフランスにカップが渡るか・・・

これで終わってしまう悲しさと期待で一杯の最終節です












【またまた言い訳】


本来ならばこの【2】で終わるはずだったのですが、
どうにも長いページになってしまい
先日友人からも
“もうすぐ老眼になる身なんだから
文章ばかり続けないで〜”

ついつい長いページは読みづらいでしょう・・・
と、続きになりました

今月に入り各国の首脳陣も驚くほど変わり
すでに2011年へ向けて
意識はそれまっしぐら

でも、その前に南半球戦だよな〜とばかりに
話題も無理やりそこへ持っていっている様子

その前に初夏のオールブラック戦
国内のフプレミアシップ戦とまだまだ楽しみが盛りだくさん

そんなことも見据えて
あと1ページだけお付き合い下さい

続きは近日中にアップしますー


怪我退場のオドリスコル
ウェールズ戦で怪我退場した
アイルランド主将オドリスコル


本当にジョニと云い、オドと云い・・・
どうしても彼等は怪我が多いのでしょう・・
まあ、見ていると本当に怖い者なしで突っ込んでいきますし、
またよく当たられていますもの・・

ちったぁおとなしくしていてほしい、と思うけれど
それは無理なのでしょうーねー





どうぞ、ラグビー観戦にご興味がおありになる皆様からのご意見・ご質問をお待ちしております




注)これはあくまでも私個人の感想になります
皆様それぞれのご感想やご意見をお持ちでいらっしゃることと思います
皆様のご意見などお待ちしています









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 ・2007年 The World Cup in France EPISODE6 Road of the World cup 2007 【1】
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