◆◆ 博物館へ行こう ◆◆◆






Act.2


梅雨に入るとやっぱり心待ちしてしまうのが
“梅雨明け”




そして、その梅雨明け後の楽しみはなんと言っても
“夏休み”




幾つになっても嬉しい響きの夏休みに
陽の長い英国への旅をご計画していらっしゃる方々も多いことと思います

もうその長いお休みにつきものの
「宿題」をしなくても良い年頃になって長く久しい・・・有難いことに!

それでも、子供の頃の習慣、というか・・
刷り込まれた記憶、というか・・
夏休みにちょっぴり課外学習、しようかな・・と頭を過ぎるのも
昔のゆとり世代のずっと昔世代“ごり押し”教育が
頭のどこかに残っているのかもしれません

今回はそんな夏休みの宿題&課外学習を楽しく体験できる
子供が大好きな(もちろん!大人の方々も)
博物館をご紹介




ショッピング、お茶、パブ巡りの合間に訪れる博物館は
何となく“それだけじゃないのよ、知的行動もするのよ、私も・・”という
自分への言い訳(?)にもなります
(注:これはあくまでも私個人のみのことであります)

そして、ロンドンの子供達が
先生に引率されている姿もよく見られる
『自然史博物館』

朝早いラジオ体操があっても、
苦手な読書感想文や国語・算数のドリルがあっても、
お昼ごはんの冷麦と麦茶、西瓜を食べたら
午後はプールか、虫取り



蝉よりも抜け殻の数を競ったり、
バッタや蝶々、庭に来るカミキリムシを追いかけては
捕まえた虫達を昆虫図鑑で調べたり・・・

そんな遠い記憶の夏休みに訪れるには最適な
遊びながら(?)学べる博物館!


自然史博物館への道
地下鉄South Kensington駅から向かう道 Exhibition road


1日が長く使えるこの時期に
何時もと違う
楽しい学習的な博物館巡りはいかがでしょう









:: ロンドンの博物館 ::

自然史博物館
Natural history Museum


今回は恐竜好きな甥っ子のために
ロンドンでのお土産に博物館ショップへ行けば
何か目ぼしいグッズがあるに違いない、という・・
動機不純な考えから初めて訪れた、という博物館でした

自然史博物館全景

駅から向かう時に眺めた自然史博物館全景
でかい!

そんな邪な理由で初めて足が向いた
この博物館は
もう入り口を入った途端に
すっかりと当初の目的を忘れて舞い上がってしまいました


自然史博物館
博物館の壁に映える垂れ幕には子供と蝶々




行き方 地下鉄 : サークル線・ディストリクト線のサウス ケンジントン(South Kensington)駅
       徒歩5〜8分


住所  Cromwell Rd., London SW7 5BD


Tel (020) 7942 5000

Open 月〜土 10:00〜17:50 (最終入場17:30)
*6〜9月のサマーシーズンの最終金曜日は21:30までオープンしています(2010年現)
 (最終入場20:30)

Close : 12月24〜26日 
*博物館の中のレストラン、カフェ、バーのオープン時間はそれぞれ異なります

 ご来場の際にご確認をお願いいたします

入場料 無料

すでに入り口付近の入場者は親子連れや子供達が多いことに
他の博物館とは違う、賑やかさが何だかわくわくしてきます

入り口の案内
入り口がちょっと解りづらいかもしれませんが、こんな案内あります

ほんの少し上り気味のスロープから入り口へ







博物館左翼
正面入り口





博物館の右翼

この両翼を観ただけで大きさは解る、というもの
歩く距離を自然に測ってしまう・・怠け者の私が居ました・

入り口
美しいアーチ型の入り口から


先ず目を見張るのは大きな吹き抜けになっていて、
真正面から迎えてくれるのは
素晴らしい骨格の持ち主
思わず目を見張ったでかい“首長竜”の骨格標本



首長竜の骨格
真正面から迎えてくれる ディプロドクスの本物の全形骨格
1905年にアメリカの鉄鋼王
アンドリュー・カーネギー
から寄贈されたもの



天窓からガラスを通りして差し込む沢山の光から
今にもその長い首を振って歩いてきそうな
この恐竜は子供ならずとも嬉しいお迎え

わくわくします!

アーチ型の2階のアプローチが美しく
歴史あるこの重厚感はこの建築様式を見るだけでも価値があります


甥っ子のためにちょっと訪れましたー、という感じでしたが
この入り口に足を踏み入れた途端に
博物館グッズのショップのみ・・なんていうことはできなくなりました



もう入り口の正面ホールできょろきょろしていると
子供達の流れがある一定方向へ向いていることに気づきました

見学の子供達

先生に引率されて子供達グループが訪れていました
ついつい彼らのいく方向へふらふらと一緒について行ってみると・・

すると!甥っ子が飛び上がって喜びそうな部屋の案内が・・・!

恐竜の部屋案内

見るも可愛い(恐ろしい)!・・アロサウルスの(ような恐竜)シルエット!

この部屋が子供達に大人気の「Dinosaurs/恐竜の部屋」

入室指示を待つ子供達
順番に入りますよーと先生に言われて
恐竜部屋に入る指示を待つ子供達



恥ずかしながら私自身は
日本の博物館での恐竜展示については
東京上野の科学博物館あたりで展示されているであろう・・くらいの知識しかないので
子供達の歓声やそれに混じって聞こえる大人の感嘆の声に
後々・・ さすが!世界の国々から考古学と称しては
昔から墓どろぼうをしてきた国だけのことはあるな〜・・と・・・

そのくらいこの部屋は面白かったのです!!必見!
時間のない方はこの部屋だけでも見所あります

恐竜部屋の入り口
「恐竜」の部屋の入り口
大きなこちらも首長竜のような骨格がお出迎え



では、早速お楽しみの部屋に入ってみましょう!




先ずは上の写真中央に見えるでしょうか?
この階段を上がり、
中2階の通路が順路になっていて様々な恐竜を
同じ目線であったり、見上げたり、下から見下ろしたり・・・と
様々な大きさや種類の恐竜を眺めることができます

むき出しのパイプの通路はある種工事現場のようにも思えますが、
フェンスの隙間からも見ることができますので
小さな子供達は通路の柵から乗り出して下へ落ちる危険を回避すると共に
見学可能な策がそこに施されていることに気づきました

恐竜の模型を見る子供達
恐竜の家族の模型を一身に見つめる子供達

展示されている恐竜達は動いたり、吼えたりするので
本当に生きているかのようで、
子供達はそれぞれお気に入りの恐竜の前では立ち止まって
時にはその恐竜の吼え声が聞こえると歓声を上げていました

また1頭1頭に説明がされているので
大人たちをそれを読みながら進みます

Gallimimusの骨格と説明 見学通路

左は天井から下げられている骨格標本とその前に設置されている説明板
右は通路はこのように左右展示が見られるようになっています

では、ちょっぴりその恐竜達をご紹介しましょう
 

トリケラトプス?
中2階へ上り口にトリケラトプス?らしい骨格標本

ディロフォウサウルス?
中2階通路から見るディロフォウサウルス?らしい


Massospondylus
宙に浮いていたMassospondylus
人より小さいらしい 高さ40cmくらい

Allosaurus
こちらも宙に浮いてましたがでかい!
高さ11mと説明あり


ヴェロキラトプル?
ジェラシック・パークに出てきたヴェロキラトプル?

ティラノサウルスの下あごの骨
馬鹿でかいT-Rexの下あごの骨

T-Rex
2階から1階へ降りるとでかいT-Rexが・・
まるで象の檻

卵と赤ちゃん
1階の順路を進むとこんな可愛い
卵と赤ちゃんの模型

2階の通路の展示を左右に眺めながら進んでいくと、
道なりに1階けの展示の順路になります

緩やかに下がるその順路を進むと馬鹿でかいティラノサウルス(T-Rex)が
まるで動物園の象のように見ることができます

このT-Rexを眺めないわけには行かず、
しかし、その大きさと時折左右に動く体はちょっぴりリアルで、
90年代に一世を風靡した「ジェラッシック・パーク」の恐怖が
その大きな体と意地悪そうな小さな目に
大人たちは笑い、子供達はきゃ〜きゃ〜言いながら
順路を進んでいました

そして、1階では恐竜の体の構造についての模型や
2階から眺めていた大きな恐竜の骨格がまじかに見る事ができ、
実際のその大きさを実感できます

足の筋肉構造 恐竜固体構造
左は恐竜の足の筋肉構造
上は内臓
右は1階から見た骨格全景

骨格標本

今まで様々な恐竜の動く模型や骨格を見てきた子供達は
ここで“お勉強”に来たことを思い出したのか・・・
急にノートを取り出しメモを取る子や
引率の先生に尋ねたり、グループ毎の行動を取ったりと
歓声が途絶えてきました

お勉強する子供達
解らない字を先生に尋ねながら学習する子供達

また、大人たちも今まで見てきた骨格模型の恐竜達の起源や歴史をここでおさらいすることができます

大人たちの学習場
大人の目の高さに展示された恐竜のルーツを辿るコーナー

最後この「恐竜」部屋の出口付近に思わず持って帰りたくなるくらいの可愛い
恐竜の赤ちゃんの模型が足元に居ました

眠る恐竜のあかちゃん
足元にさりげなく居た恐竜のあかちゃんの模型
思わず“Lovly!”



この恐竜の部屋は私達の子供時代大人気だった
“はじめ人間ギャートルズ”を思い出させ
(しかし、この園山先生のアニメは主にマンモスでしたが・・・)
80年代後半から大人気シリーズになった
“ジェラシック・パーク”に夢を見て、
そんなアニメも映画も知らない甥っ子のようなちびっ子達には
その大きさと強さで国境問わず
“かっこいい!”と思わせるものがある、
見ているだけでわくわくするような空間にただただ愉しく過ごした時間でした





次ぎに向かったのは
本来ならばこちらが順路になると思います

入り口から入り首長竜の後ろには大きな階段があり、
ここから2階の展示を見ることができます

正面の階段

1880年にこの博物館は大英博物館から独立したもの

元々大英博物館設立のきっかけとなった
内科医、考古学者、旅行家でもあった
サー・ハンス・スローン氏(1661〜1753)が集めた
約8万点に及ぶコレクションの展示から始まりました

大英博物館の現在のコレクションについては、
更にサー・ロバート・コットンなど著名な人物の遺品なども加えられましたが、
こちらの自然史博物館の展示はそのスローン・コレクションからの分けられた展示物、
プラス世界中から集められた動植物の標本など約4億点、
毎年30万点ほどの新種が運び込まれているとも言われています

お猿の標本
沢山の動物の標本 これはお猿


元々大英博物館の建物である
モンタギューハウスでの展示が1世紀も経つと
所蔵するコレクションが膨大な数に膨れ上がったため
大英博物館設立時に“自然史”部門として独立していた
この自然史博物館を別の場所で新しい建物を建てようと主張したのは
大英博物館の自然史部門長を務めていた
リチャード・オーウェンでした

リチャード・オーエン
大英自然史博物館創設者
リチャード・オーエン wikipediaより



オーエンの主張通り
サウスケンジントンで1862年に開催された
ロンドン万国博覧会跡地が新しい博物館のために購入され、
1864年にこの地に建てられる建物コンペが開かれ
見事に一等賞を勝ち取ったのは
ロイヤル・アルバート・ホールヴィクトリア&アルバート博物館の一部なども手がけた
英国陸軍工兵隊大尉のフランシス・フォークによるルネサンス様式案でした

しかし、フォークが1865年に病気のため亡くなり、
その後を引き継いだのは
リバプール出身のアルフレッド・ウォーターハウスでした

ウォーターハウスはフォークの案を大幅に手を加え、
彼特有のドイツ・ロマネスク様式で全体をデザインし直しました
建築は1873年に開始され、1880年に完成し、
現在この建物はロンドンのロマネスク様式建築物の代表例にもなっています

入り口へ向かって

美しいアーチ型の屋根と2階の回廊はどことなくルネッサンス様式の名残
しかし、見事に融合した建物です

2階へ続く正面ホールの踊り場には
2.2トンにもなるチャールズ・ダーウィンの大理石像が鎮座し

チャールズ・ダーウィン
1885年に公開されたJoseph Boehm制作の像
「進化論」を説いたチャールズ・ダーウィン


ロンドンのパンダ
中国から初めて贈られた パンダのChi-Chiの剥製


正面ホール奥のティールーム近くには
中国から初めて贈られたパンダのChi-Chiの剥製もいて
本当に賑やかな入り口正面広場です

そして、正面階段を2階の回廊展示に進むと
両サイドには更に人物からお猿への起源の展示が続いています

2階回廊の展示物

空中をお猿の骨格標本が飛び交っています

人からお猿へ・・またその逆は人間の元としては必ず学習するテーマですが
お猿の骨格を見てみると
こんなんから人への変化までにどのくらいの時間がかかったのか・・?
興味深い回答がいろんなところに散りばめられています

2階の展示回廊
2階の回廊部分は展示物が壁側、
手すり側と並んでいます


回廊のアーチにへばりついている彫刻
2階の回廊の屋根へのアーチ壁に
へばりつく猿のような彫刻


中央ホールのセコイヤの輪切り
2階の正面入り口の真上あたりに当たる場所
樹齢1300年のジャイアント・セコイアの輪切り


2階回廊手すり壁に描かれていた植物の絵
ジェームズ・クック船長のエンデバー号から
持ち帰られた植物画が元なのか・・・?
回廊の手すり壁に描かれた植物画


さて、この博物館は5つのカテゴリーに分けられています
動物学・昆虫学・古生物学・植物学・鉱物学

標本のみならず自然科学関係の蔵書、
又絵画についても50万点という所蔵があり、
これを超える収蔵数の絵画コレクションを持つのは、
大英博物館とヴィクトリア&アルバート博物館の2館のみだそうです

もちろん、その絵画は写真がない時代の博物画になり
世界中で見た珍しい動物、植物、鳥類、昆虫などがそれにあたります

博物画

エンデバー号で持ち帰られた博物画
写真がないので珍しい植物の絵を描いて・・

2階回廊から見た正面広場
ウォーターハウスとも言われる入り口正面の広場
2階の回廊から見下ろした様子


館全体では4つのゾーンに分かれていて
レッド・ゾーン(地学関係)、グリーン・ゾーン(動物・植物・鉱物関係)、
ブルー・ゾーン(恐竜・魚類・海生無脊椎動物・哺乳類関係)、
・・・先ほどの恐竜はブルーゾーンになります・・・
オレンジ・ゾーン(ダーウィン・センター・野生生物公園)

各ゾーンへの案内
館内の各ゾーンへの案内
色別はとても解りやすく、見やすい



見るだけでも何日かかるか、解らない場所だということは
大英博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館と同様です

さて、展示に疲れたらやっぱり素通りはできない
ミュージアムカフェ

場所は正面広場2階への大階段の裏になります

Central Hall Cafe
Central Hall Cafe

こちらは17:30までの営業ですが、
こちらのカフェのほかにはグリーンゾーンの近くには
「The Restaurant」
レッド・ゾーンにある「Deli Cafe」
地下室には「Snack bar and Picnic Area」があります

この1階正面広場ブルー・ゾーンのカフェ
Central Hall Cafeは解りやすくて入りやすい、
また気軽にお茶や軽食を楽しむことができます


セントラル ホール カフェ
セントラルホールカフェ




セントラルホールカフェ

中央のカウンター前には軽食が並んでいて、
上の写真のカウンターへ持っていって会計、お茶はこちらで頼みます



こちらで展示物見学の疲れを癒したら、
最後は入り口&出口に程近い
やっとお目当てのミュージアムショップでお買い物です

ミュージアムショップ
かなり広いミュージアムショップ
National History Museumサイトより


ここで甥っ子のお土産は眩暈がするくらい沢山の恐竜グッズから選びました

Dino store
ミュージアムショップ内のDino Store
National History Museumサイトより

それも、周りに居るちびっ子達がどんなものに興味を持っているのかを
キョロキョロと市場調査をしながら
お土産を漁ったのでした


まだまだ博物館のほんの1つのゾーンも回り切らないうちに
早くも私の足裏が傷んでまいりました・・



次回の来館を楽しみに・・次ぎは博物画を見てみたいと思っています
写真のない時代の貴重な記録です

きっと様々な動物、鳥類、植物がその時代の人の目を通して
持ち帰られた貴重な絵

それを見に行ける日が今から楽しみです




テラコッタのレリーフ犬
中央ホールの外壁に目に止まったテラコッタのレリーフ
賢そうな犬










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うさぎの国を旅する


Artしましょう Act.1

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