英国のどうぶつたち


Vol.12

〜 湖水地方とハドリアヌスの城壁の旅 〜




2014年10月19日明け方に
我が家で20年6か月暮らした長老猫
りき”が旅立ちました

最後までボケることなく、
思い通りに行かなくなった足を引きづりながらも
家の中と庭を見回り、
自分の“王国を主張しておりました

途中で同居となったもう1匹の猫、
まあ”とも彼なりに受け入れてくれて・・
最後は眠るようにいつもの場所、母の寝床で逝きました


我が家の猫 りき
まだぷっくらとしていた、7年前のりき


どうしても人と一緒に暮らす動物は私達人間よりも寿命が短く
彼らの一生を背負い、いずれは見送ることを解ってはいても
居なくなった寂しさは慣れるものではありません

おしゃべりの“まあ”は
我が家で唯一言葉が理解できる“りき”を失い
代わりに毎朝私に向かって
一生懸命何かを伝えようとしています


残された まあ
縁あって我が家に来た“まあ”


言葉が通じなくても、一つしかない命を持つ同じ者達として
少しでも彼女の伝えたいことが理解できれば
こんなに嬉しいことはありませんが・・





旅で家を空けている時にいつもまっさきに尋ねるのが、
“猫達元気?”

旅の最中も
常に人と一緒に居る動物達へ目が行きます

彼ら(動物達)が元気そうなら、
我が家の猫達も元気そうに見えてしまうのです

次の旅からは“まあに変わりはない?”に変わるであろうことに
すっと口から出てくるか、どうか・・・
そう思うことにとても寂しく感じます





さて、今年の旅でも沢山の動物達に会いました

今回は個人的な感傷からのスタートとなりましたが、
旅で出会った動物達




2014年初夏の季節ではありますが、
ロンドンと湖水地方、ハドリアヌスの城壁の12日間

特に湖水地方には6泊、という半分以上滞在しておりました

ご想像とおり1番目多く出会ったのは
“羊、羊、羊”



ウィンダミア湖を見下ろす丘から
ウィンダミア湖周辺の丘


湖水地方のみならず英国では丘!と見たら
“羊”率!高いです!





先ずは来年2015年の干支でもあります、
その羊からスタートしましょう








:: ひつじ ::


その1 湖水地方


1匹“おおかみ”羊


湖水地方での2日目は昨年お世話になった現地ガイドさんのドナルドに
コースを選んでのウォーキングに出かけました

あいにくとこのツアー中で最も悪天候
唯一の1日になりました




雨合羽では足りないくらいの土砂降りの中
本来ならば風景を楽しみながらのウォーキングに
傘を差しながらガイドさんのドナルドを先頭に行軍を続ける私達

その列を不思議そうに眺める羊がおりました

ウォーキングコースは広い農場をお邪魔しながら歩くことが殆どです

いつもは“お邪魔しますねー”

“通らせてねー”と
羊さん達に声をかけながら歩くのですが・・

この日は降りやまぬ、徐々に激しくなる雨に
ただただこの雨を楽しもう!と皆を盛り上げようとする
足取り軽いドナルドの後を続く足取り重い(?)私達・・

そんな様子を不思議そうに眺める彼ら(羊達)



羊の親子



この春に生まれた子羊も母の後を追いながら
興味深そうにこちらをちらちら・・



“羊ケ丘”・・?


そして、その日最後あたりで一瞬雨が上がった丘には
羊達がわんさかおりました

このどんよりとした空に点々と白く目に入る羊達は
せっせと天気に左右されることなく
口を動かしているのでした


湖水地方に来たならば
やはり見ておきたい羊は「ハードウィックシャー種」
お馴染みのポターさんが晩年最も力を入れ繁殖に成功させた
この地に適した羊毛を持つ羊達


ハードウィックシャー種の羊



生まれた時は真っ黒助の子羊から
顔が白くなり、その毛は更に黒々してきますが
年齢を重ねると徐々にこげ茶となり最後は白くなる・・という
この湖水地方のみに見られるハードウィックシャー種は
春先に生まれた子羊の真っ黒な姿も見られます



子羊たち


この春に生まれたばかりの子供たちでしょう


湖水地方最後の羊はこの地のB&B朝食ルームの窓辺に鎮座していた羊



B&Bの羊


湖水地方ケズィックのB&Bにて

北欧からこの地にお嫁に来たクリスティーンが
最初友人のプレゼントと思ったけど
気に入ってしまい手放せなくなった・・と・・・


その気持ち、解ります








その2 ハドリアヌスの城壁



イングランドのみならずローマ軍の進軍で最も北に位置するのが
このハドリアヌスの城壁


ハドリアヌスの城壁



この広大なフラットな土地に時は紀元前
400年間という長い年月この土地を支配していたローマ軍の
最も重要起点になった城壁がこの場所

現在季節的な運航をしているこの城壁に沿った運行バス“AD122”は
この城壁がAD122〜126年の
わずか約4年に建設されたことを意味するネーミング

ここにも丘がある限り、切っても切れない関係で羊が居ます





1晩滞在したお宿はこのハドリアヌスの城壁の中で
最も町に近く、またイングランド製の大聖堂

ラナーコスト修道院

この修道院の裏手の丘には沢山の羊がのんびり草を食んでいます

滞在最後の早朝にその丘へ一人散歩に出ました

すると、居るわ、居るわ・・・


ラナーコスト修道院の裏手の羊


すでに毛を刈られてすっきりとしたスマートな羊達


そして、早朝故にまだまだ眠りこけている者も中にはいます


眠る羊




・・・私・・眠る羊を見たのは初めてでした・・

本当に気持ち良さそうにく〜く〜眠っていました


そして、徐々に陽は登ると共に
起きだした羊達は1日で最も大切な“仕事”

もくもくと草を食みだすのでした



ハドリアヌスの羊



皆、そろった方向で草食べています




:: 牛 馬 ロバ・・? ::

ハドリアヌスの城壁ウォーキングから




同じくウォーキングで農場をお邪魔させていただくときに
羊よりもその存在感が圧倒されるのは





それは大きさも然ることながら
嗅覚にもその存在感を知らしめます

黒白のホルスタイン種もよく見かけますが、
今回はイングランドで最も古いローマ遺跡の一つ
ハドリアヌスの城壁をウォーキングしている時に出会った彼ら

こちらも遺跡から遺跡めぐりのウォーキングには
比較的緩やかな丘陵が連なる牧場


ハドリアヌスの城壁 牧場の牛親子


大きな大きな牛の親子です

やはりこの春に生まれた子牛がぴったりと
寄り添っていました

そのうちにおかあちゃんの下に潜り込んだと思ったら
食事ターイム!

その一連を見ていたら、おかあちゃんに“何か?”を
ガンつけられてしまいました

本当に“お邪魔しました”・・私達は再び丘を歩き始めました


ウォーキングで歩くところは農場ばかりではありません

フットパスの道標は時として一般道路がコースとなっています



フットパス・コースの道標


その通りに出たところは家々が立ち並んでおり、
その可愛らしい窓辺に目を楽しませてくれます



窓辺


この家のお隣を見てみると、塀の上から見えたのが
これ!



庭の動物達


通り沿いの庭でしょうか?
石積の塀で囲ってある大きな箱庭のような場所に
先ずは前方に面白い色合いのロバが見えました

馬?と思ったのですが・・・

近くで見たら、なんと!手前側にはもう1頭
力強い馬!


うま


馬には詳しくない私ですが・・・
正しく、働く馬、という感じです

しかし、お洒落なツートンカラーで何とも綺麗です

そして、最初に目に入ったロバ

馬


しかし、この写真を見ると
ロバ!ロバ!と思っていましたが・・
帰国後ロバと馬の違いを調べたところ・・
ロバと思いましたが、
しっぽと背中が“うま”です!

つまり2頭の馬でした


何とも毛がふさふさで顔も大きくて、
どうしたらこのようなカラーを持って生まれるのでしょう・・?

と、言うわけで今回ハドリアヌスの城壁では
ロバには出会えませんでした







:: 犬と猫 ::



英国はやはり犬の国

数からいったら羊ーと言えそうですが、
犬に関しては到着した時からともすれば空港から目に入ります

街中はもちろん、バス、電車、と公共交通手段のものにも
普通の家族としての犬達も驚くことなく
おとなしく乗車しています

先ずは街中で今回出会った犬たちです


アンブルサイドの街角にて



湖水地方のアンブルサイドの街中で
丁度通りの安全地帯に置いてあるベンチに兄妹らしき2人と2頭の犬

お兄ちゃんは大きな白いむく犬
妹は子犬と生犬の間くらいのシープドック

ショップに入った両親を待っているのでしょうか?

犬も兄妹も揃って待つ姿が可愛らしい






そして、同じく湖水地方・ケズィックの宿で
B&Bの家族としての犬

この家を初めて足を踏み入れた時に
まっ先
玄関口で出迎えてくれた2歳のシープドック

女の子で名前を伺ったのですが、あいにくと失念してしまいました・・


B&B 朝食ルームのお出迎え


毎朝宿の朝食ルームにもなっているダイニングルームで
私達を迎えてくれました

手前側にはすでに朝食の焼きたてパンとペストリー、
果物満載のテーブルに見向きもせず・・・
そして、私達の朝食がスタートすると静かに部屋を出ていくのです

この家の10歳の御嬢さんとは姉妹のように仲が良くて
毎朝彼女が学校へ出かけるまで、
そして、帰宅するともうべったり!
家族の食事時間以外は一時も離れないそうです

ですから、彼女が毎朝お客様の朝食ルームに居るのは
お宿の家族の食事時間でもあり、
そしてお客様をここで毎雅迎えてくれるのが彼女の仕事でもあるようです



B&Bの犬


まだ2歳、という年齢は遊びたい盛り
時たま御嬢さんが帰宅前だと私達にボールを投げてくれ、とせがむことも・・

でも、気づくと御嬢さんが帰ってくるのを
こうして玄関を見ながら待っているのです



もう1軒私達の旅では最後のB&Bになったハドリアヌスの城壁に滞在した時

グループの中で1組のお客様と私だけ
別の宿に分宿となりました

その宿は古い館に住む代々この地で農業を営む家
ラナーコスト修道院のお隣に位置した
本当に代々続くお家柄です

本業の農業の傍らB&Bも、というご家族で
こちらにも家族としての犬がおりました



B&B 犬


彼は猟犬で名高いセッターですでに13歳、という
かなりのご高齢

最初は単なるお昼寝だと思いましたが、
ホストのビルに聞いたら
“彼はもう13歳過ぎてかなりのおじいちゃんなんだ、寝てばかりなんだ・・”

セッターと言えば、ちょっと腹がくいっと上がり
颯爽と猟犬としたの走り、足長のイメージがありますが、
横になっているとは言え、
確かに胴回りは中年・壮年のメタボおっさん風・・・


でも、きっと若い頃はこの広いハドリアヌスの城壁を昇り降りしながら
颯爽と走り回っていたのでしょう


ラナーコスト修道院


お隣のラナーコスト修道院の前庭はこんなに広い!

この道を全力疾走していた頃を時折思い出しているのかもしれません


そして、ウォーキングの途中では
家族と一緒に楽しむ、歩く犬たちもたくさんいました


湖水地方で パグ犬

湖水地方で土砂降りの中をウォーキングに出かけた時に
一時雨が上がった、とばかりに
家から飛び出したパグ犬

その後ろには傘を持ったおばあちゃんが居ました

半ばずぶ濡れに近い私達に挨拶しながら、
おばあさんを先導するかのようにまたまた飛び出していきました


ツアー中最もお天気が良くて
現地ガイドのグレンさんに連れていってもらった
ダーウェント湖を一周したコースではとても多くの犬たちが歩いていました

中でも旦那様の足元には大型のシェパード犬、
奥様の腕の中ではチワワ・・・と・家族の中で大小の犬が一緒に歩いていました
(正確にはチワワは抱かれっぱなし!)


ウォーキング中


赤いリュックを背負った旦那さんの足元にはシェパード、
手前の奥さんの腕の中ではチワワの後頭部

旦那様は本格的な山歩きルック&シェパード、
後ろの奥様はパブへ行くようなスタイルにチワワ・・

それでも4人揃ってのウォーキングには微笑ましいものがありました


水飲みワンコ


山歩き中に湧き出る水場に潜り込んでしまうワンコ

ご両親はワンコが出てくるまで待ちます

イギリスに来て初めての頃は犬たちが水遊びが大好きなことに驚きました

自ら海や川に飛び込み、犬かきを一生懸命楽しみ、
ボールや木切れを水辺に向かって投げてくれ、とせがむ彼らはとても新鮮でした


そして、最後は広大なハドリアヌスの城壁近くで見た
大型犬のグループ


ハドリアヌスの城壁 ハウステッド・ローマンフォートにて



ハドリアヌスの城壁の中でも最も保存状態が良く
遺跡も多く残っています



ハウステッド・ローマン・フォート


しかし、遺跡へ向かう途中にはこんな広大な場所もあり、
犬たちには絶好の地でもあります



反対に毎回の旅で中々出会えないのが、猫


湖水地方のグラスミアからケズィックまでウォーキング移動をしていた時


道路標示

街道沿いを歩く区間にその通り沿いの農家のお庭に何故かモルモットが・・


モルモット箱庭?

通りに向かっての山並みを眺められるようにベンチもありました

その“モルモット箱庭”に見事な三毛猫が入ってきました



モルモットと三毛猫


“猫とネズミ”・・・

一瞬ヒヤッとしましたが、どちらも動じることなく
猫は行きたい方向へ
モルモットは動揺もなく草を食む

それにしても見事な丸々とした三毛でした

このモルモット箱庭のベンチからはこんな風景が見られるのですね!



A591


A591、というグラスミアからケズィックへと続く幹線道路になります

この幹線道路から再び農場のフットパスを通らせていただきながら
私達一行はダーウェント湖と今晩からのお宿、ケズィックを目指したのでした





ダーウェント湖


ケズィック湖畔の湖 ダーウェント湖
午後の日差しにきらきら









時折動物を虐待する恐ろしいニュースが飛び込んできます

中学生時代に深夜放送から流れてきた
イルカさんの「いつか冷たい雨が」を聞いたときに
涙がぽろぽろ止まらなかった憶えがあります

“同じ時を生きているのだから
朝が来れば、夜も来るし
生まれて・・そして死んでいく・・”

人、とだけではない一期一会です

彼らに出会えて良かった、と心から思います






このページに関するご意見、ご質問は
どうぞ下記のメールにてお問い合わせくださいませ
お待ちしております








Top New ページのTop 



Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 Vol.5 Vol.6 Vol.7 Vol.8


Vol.9 Vol.10 Vol.11