◆◆ 博物館へ行こう ◆◆◆






Act.3


寒い時期になると
英国・欧州は我が国よりも緯度が高いため
冬はしんしん冷え込みます

また、我が国と違いこの季節は結構雨&雪が多いのも特徴です




そんな日に当たってしまった時は
やはりのんびりと暖かく面白く、
またお財布にも優しい無料で楽しめる場所としても
博物館をお薦めします



ロンドンの中でも1,2を争う人気の博物館

1回では到底見切れない大型博物館としても
愉しい場所です

ご自身の興味の対象を絞る込んでじっくりと捜すも良し!
テーマ毎に決めて眺めるのも良し!
地域・国ごとの分けて廻るも良し!

まったりと本片手にカフェで寛ぐのも良し!
ミュージアムショップでその場所でしか手に入らない一品を探すのも良し!


V&Aミュージアムマップ
館内入り口に必ずある館内MAP

先ずは館内入り口付近に必ずあります、
館内MAP(£1.00)を手に入れましょう!




この季節お天気に恵まれない日があったら
是非足を運んでみていただきたい場所として
いかがでしょうか?










:: ロンドンの博物館 ::

ヴィクトリア&アルバート博物館

 【2】

ヴィクトリア&アルバートミュージアム
ヴィクトリア&アルバート博物館


先ずは館内マップを手に取ったら、
そのマップを見ながら
ぶらぶらするのも愉しいのですが・・・
(思わぬ場所に遭遇するその時期に行っているテーマ毎の展示も面白い!)


今回も私が見てみたかったのが、
工芸品の中の器


その中でも以前から興味を持っていたのが
今年秋に初めて訪れた日本の益子から
ここ英国に根付いたバーナード・リーチ濱田庄司



Bernard・Reach   濱田庄司

左・バーナード・リーチ  右:濱田庄司

バーナード・リーチは私がこの国の最西端に程近い海に面した小さな村
セント・アイヴスへ向かうきっかけとなった陶芸家

明治の中頃日本で最も民藝運動が盛んだった時代に
柳宗悦らと知り合い
小さな東方の我が国へ来日、千葉県などで版画などを指導をしていました

日本ですでに著名だった尾形乾山を師として焼物を学び
その際に友人になったこの濱田庄司から
セント・アイヴスで日本の伝統的な登り窯を開き、
1922年にここでLeach Potteryという名の窯を開きました

また、本国では1950年代から始まるモダニズム運動に
非常に大きな影響を与えた陶芸家としても
今尚英国では人気の高い作家さんです
(現在はお孫さんがその工房を引き継いでいます)

リーチの作品


濱田庄司は日本ではこの時代明治中頃で活発化した
民藝運動の中では現在陶芸家としてすでに名を馳せていました

中学を進む頃から工芸の道に進むべく
河井寛次郎が進める京都市陶磁器試験場に入所しました

「京都で道を見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」が
この濱田自身の語りです

濱田にとってもこのリーチとの出会いが
後の人間国宝にまでなった彼のスタートになっています

リーチと濱田の共作本
リーチと濱田の作品本でこの表紙は濱田の作品

そして、今回はそのリーチと濱田の作品プラス
彼らの影響から彼らが亡くなる20年程前
1950年代から同じく陶芸家として名が知れ渡るようになる
ルーシー・リーをこのミュージアムで探したくて・・・・

Lucie・Rie
ルーシー・リー

ルーシー・リーを知ることとなったのは
恥ずかしながらここ数年のこと

たまたま新東京美術館で見た彼女の作品から
何て女性らしい、でも、凄く力強い・・こんな凄い作家さんが居たのか?!と
展示中に何度か足を運びました

ルーシー・リーの作品
ルーシー・リーの作品


戦火を逃れてウィーンからロンドンへ居を移した
女性陶芸家

激動の生き方とも言える彼女の作る作品は
当初バーナード・リーチには受け入れられず・・
「釉薬の塗りすぎ」「人間らしさがない」
挙句に人への紹介には「ウィーンから来たボタン作り
」とまで
酷評されながらもルーシー・リーはリーチなくしては
あの戦火の時代を生き残れなかった・・・と語っていました


ボタン
ルーシー・リー作成のボタン 
現在は工芸品としても優れた作品として残っています
第2次世界大戦中生計を立てるために作り始めたボタン

ルーシー・リーはオーストリア・ウィーンでの戦争から
その戦火を逃れてロンドンに身を落ち着かせます
その戦時中にイギリスで先ずは生計を立てるため上記のようなボタンを作っていました
そのボタンは現在では優れた工芸品としても価値を持っています
日本のデザイナーではその数十年後に三宅一生が彼女へ特注していました




真ん中がリーチ、右はルーシー・リー1945年頃


しかし、リーチはこのルーシー・リーに対して
今まで知ることのなかった
「ウィーンの美術や工芸」の元となっている彼女の作風を
初期段階では認めていませんでしたが、
後々自分の愛弟子である
(数人目の奥様ともなります、ジャネット・リーチ)よりも
日本来日した際の“今、英国で優れた陶芸家にどんな方がいますか?”と言う問いに
「ルーシー・リーという優れた女性陶芸家がいる」
と答えているそうです


ルーシー・リー作品
ルーシー・リーの作品



そんな3人の作品を1点でもいいから、
この巨大な博物館に果たしてどのくらい見ることができるのかっ??!!


そんな大きな砂浜から一粒の光る砂を見つけるような気持ちで
お天気の悪い冬の旅の1日を
この博物館へ向かいました






先ずは正面Cromwell通りの正面入り口から入ります

入場して入り口近い左右の部屋はお馴染みの欧州エリアの展示になります

欧州エリア
ルネッサンスへと続く展示物

天井はガラス張りの明かり取りがとても美しいです



中世に作られた教会にあるキリスト教に因む工芸品


絵画のみならずステンドグラスやこのような工芸品を眺めているだけも
時間はあっと言う間に過ぎてしまいます


今回目指す展示は
Level6にある「Ceramics」の部屋

以前もこちらでスージー・クーパーを探した展示コーナーになります

136-146の部屋がその陶磁器の部屋になり
ここへ足を踏み入れると・・毎回その圧巻ぶりに眩暈がしそうになります

陶磁器の部屋  陶磁器の部屋


このようなガラスケースにところ狭しと展示されている中から
自分の見たい陶器を探していくのです

スージー・クーパー
ミッドセンチュリーのスージー・クーパーの作品


一見この量に圧倒されるのですが、
実は自国(イギリス)か、他国か・・
そして、年代にもきちんと整理されているので
自分で解っている作家についてはそれでも自然に行き着くようになっています

そして、偶然にも今回この階で特別展を行っていたのが、
あの!ルーシー・リーを始めとした50年代から60年代の作家展でした


特別展示のポスター
ルーシー・リー始めとした展示ポスター

思わぬ幸運にこの旅の運をもしかしたら全て使ったかも・・・と
思わずスキップしてしまいました


ルーシー・リーの部屋
再現されたルーシー・リーの仕事部屋


やはり膨大な展示作品から彼女の作品は作家達に囲まれていました

ルーシー・リー作品
ルーシー・リーの作品


右側の色鮮やかな鉢は1926年作の初期のもの
高さ僅か8cmあまりの小さな鉢です

ルーシー・リーの作品2
1950年代に作成していたテーブルウェアとしての作品


そして、モダニズムの時代50年代に入ると
人々の生活も安定したことから
日常の生活用品としてのテーブルウェアの製作にも着手していきます

そして、徐々に彼女の作品は70年代から作陶生活にピリオドが打たれる
1990年88歳までの作品が今尚彼女にしか出来ない釉薬、
スタイルを生み出すこととなります


青線文鉢
1980年作成 青線文鉢


50年から60年代のどっしりとした普段使いのテーブルウェアとは
違い繊細で優美な曲線を描くこのデザインは
正しく彼女独自のスタイルとなり、
モダニズムの真髄を醸し出してさえいます

思わぬ展示に嬉しくなりながら、
やはり多くの展示の中から一瞬目が止まるのは
このお二人の作品

バーナード・リーチ作品

バーナード・リーチはスリップウェアとしては英国の代表格


濱田庄司の花瓶

美しいフォルムを持つ存在感抜群!濱田庄司の磁器



数ある中でも見慣れた作家さんの作風が全て判るわけではないけれど
何となくある重量感・・とか・・

異国の大きな博物館で自国に縁のある作品を見ることができるのは
何となく嬉しい





そんな思わぬ目の保養をたっぷりとした私は
階を下へと降りるうちに小さなエキシビションを見つけました




何やらロンドンっ子のざわざわとした混雑振りが
妙に不穏・・・日本文化にそんな若者が集う場所だろうか・・・

そんな一角に足を踏み入れてみて・・納得・・・

ロンドンの高校生や中学生くらいまでと思いきや
大人も魅入ってその展示物を見ているのは
「日本女子スタイル」

日本女子スタイル


こんな調子で現代まで続きますが、
段々人だかりが多く写真が撮れませんでした

顔黒(山姥・・?)、上げ底、ルーズソックス、ゴスロリ・・と
懐かしいな〜、と思わせるような日本女子スタイルがずらり・・・

それを模写する地元学生達

確かにある意味“日本だけの文化?”になるんだろうな・・

特に“ゴシック”については本家本元はイギリスのパンクファッション

それに“ロリータ”を咬ませた日本で一気に流行ったゴスロリは
我が国の“文化”の一つなのかもしれない

魅入るロンドンの若者を見ていて思わず背を背け
本来日本文化である人の居ない鎧兜に目を向けてしまうのでした・・・

日本文化代表
日本文化代表の工芸品


本来ならばこちらにも目を向けて欲しい、立派な工芸品の数々

唯一根付には大人の人だかりが出来ていたのが
少し救いでもありました




そんな毎回訪れる度に新しい発見がある、
ロンドンの博物館

日本での生活の中では中々行く時間を作れない私には
この時期ならでは、のロンドンの旅には
欠かせない博物館の一つです



欧州の展示









今回は時期的に続きのページからちょっと寄り道

冬の旅のお薦め場所を・・・
是非これからのロンドン旅を楽しんでくださいね!





また、ご意見、ご感想、お問い合わせもお待ちしております





うさぎの国を旅する


Artしましょう Act.

Artしましょう Act.2  Artしましょう Act.3  Artしましょう Act.4

  Artしましょう Act.5  



博物館へ行こう Act.1  博物館へ行こう Act.2  博物館へ行こう Act3


Top New ページのTOPへ おまけ