今月のお薦め本 



〜2007年 7.8月〜

                                                         

今年の英国の夏はとても不思議な季節になりました

7月は何時ロンドンへ連絡しても“Good day!”の言葉は聞けず
“Many rain”、“Cold”という残念そうな単語ばかりが耳に入りました

1年で最も美しいシーズンがお隣の大陸欧州とはまったくの別のお天気で・・
時たまテレビで観たウィンブルドンのセンターコートに射す弱い日差し、
全英オープンでの陽光にも関わらず
厚手のウインドブレーカーを着込んだウッズの姿や
7月に手袋をしていた松岡修造さんに
“今年は寒い!”と言ってた彼等の言葉に自然と頷けた・・・

私達の国の猛暑とは違う夏を思い浮かべながら
寝苦しい夜には“ああ・・英国へ行きたい・・・”と願ったのは
私だけではないはず

次ぎの旅を欲しながら汗まみれの通勤電車の中で読みまくった
この夏の英国お勧め本をご紹介いたします

すでに実際の朝顔は終わってしまったけれど
このページはさぼった『夏』のもの
少しでも涼しげな色を選んでみました

暑苦しい残夏を涼しい英国を描きながら楽しんでいただけたら嬉しいです













美しいイギリスの田舎を歩く!


美しいイギリスの田舎を歩く!



北野 佐久子 著  集英社be文庫 ¥714+税  2007年01月初版






大ファンである北野さんの最新刊です

日本人で初めて英国ハーブソサエティに会員になられて
ハーブのみならず英国内での美味しいお茶やお菓子をご紹介している御本から
彼女の著作をじっと追いかけてきました



最初のハーブ留学からは
すでに約20年近くが経っていらっしゃるかと思いますが、
彼女の著作は一環してそこに住む人々が普段営む『生活』の中で
お菓子もお茶もハーブも毎日口にする
美味しいものばかり・・・

特別なものではなく、日々の暮らしの中で古くから伝ってきた「知恵」も含め
現在まで伝わってきた「良いもの」たちを彼女は紹介し続けてきてくれました

この1冊の冒頭の“はじめに”も
北野さんが初めてイギリスにハーブ留学した地が
まだまだ日本では紹介されていなかった
コッツウォルズのアスコット村での生活から見た事柄から・・・
(イギリスの本の中ではここを抜いての著作はきっとありえないのでしょう・・・)

・・・・中略・・・どれもが何気ないイギリスの生活、
でも決して観光客では垣間見ることすらできないであろう、
イギリスのごく普通の田舎の楽しみだったのです・・・・略・・・

本当のイギリスでの普通の人々の生活は
ロンドンという世界中から集まった人々で人種の坩堝になった大都市ではなく
その都会からちょっと離れた土地に住む人々の毎日

私自身それまでに10数年以上もの間何度も訪れる内に
ロンドンから離れた小さな街や村でのパブの食事、
16時を過ぎれば閉店になってしまう家族経営の小さなティー・ルームでの
素朴なケーキや焼き菓子の美味しさに気づいて
北野さんの今までの著作に何度首を大きく縦にうなづいてきたことか・・・


   


沢山の英国の美味しいものがたっくさん紹介されている昨今
実はずーーーーっと以前から
この国では「美味しいもの」はあったのです

それにいち早く気づいた数少ない私達の同胞の一人に
北野さんはコッツウォルズでの生活をご紹介し、
“イギリスは美味しい”を提唱していらっしゃった
先駆者のお一人でもあると思っています


そんな北野さんがもう一つご紹介してきたものに
“歩くことにより、見える美しい国”であるイギリスのもう一つの魅力です

ただこの“魅力”はナショナルトラストや様々な人々の功績などにより
かなり長い昔から私達の国以外の方たちには
浸透してきたことでした

しかし、残念ながら私達の国からの観光する殆どの方々が
長い間首都のロンドンだけで帰国してしまうケースが多く
ご自身の足で歩く旅はまだまだ残念ながら少数派です

でも、長い間“イギリスでは美味しいものがない”と言われ続けてきたことが
現在ではやっと私達の耳にも浸透しつつある今、
この北野さんの1冊で美味しいもの同様、
ご自身の足で歩くこの国の素晴しい現在に続く国の遺産に
一人でも多くの旅する人に体験してほしいと・・・
そんなことを願う一人に私もなりたいと思っています




第1章の湖水地方から第2章のコッツウォルズ
第3章のイギリスの田舎の魅力、
第4章のデボン、第5章のケントとサセックス、
第6章のロンドン郊外、
そして、最後は第7章の田舎で出会ったお菓子と料理まで

ご本人が最後の“おわりに”綴っていらっしゃるように
“イギリスの田舎が長い歴史を讃えているように、
訪れるものもその深さを味わうためには
時間がかかるような気がしています。・・・”


私もそう行く度に感じられ、
帰る日になると、すでに次ぎはどこに行こう、
何を食べよう、どこを歩こう・・・と
次回の旅にわくわくしてしまいます

そして、その瞬間から次ぎの新しい旅の第一歩は
始まるのだと思っています

第1章から7章まで
私も初めて訪れる場所は残念ながらありませんでしたが、
この新しい1冊で更にまだまだ発見しきれなかった
イギリスの魅力に改めて開眼し
またまたいつものように頷いてしまう自分がいます

そして、まだガイドブックにも紹介されず
自分の胸の中で楽しんでいた懐かしい場所が
北野さんのこの著作にご紹介されていることに驚くと共に
その経験で感じた気持ちが一緒だったこと、
とても嬉しくも思いました



どうぞ、皆様にとってもそんな場所がこの1冊から見つけられたら
きっと私同様に暖かい気持ちになれること・・・
請け合いです


旅の中に1日でも『歩く日』を日程の中にいれていただけたら・・・
そして、そんな場所にこの1冊からその場所を選んでいただけたら
どの場所でもそのご経験が旅の中で最も印象深い1日なるでしょうこと、
保障いたします






どうぞ、美しいイギリスをご自身の足と目でお確かめになってくださいませ



そして、その歩く日に素敵なイギリスの美味しいものを
皆様成りに発見できたら
なんて素晴しい旅になるでしょう













こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  



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