今月のお薦め本 



〜2004年 1月〜

                                                         

年明けです!

冬将軍が頑張って、お正月は穏やかな暖かさ(すいません・・関東地区でのお天気で・・)がうそのような寒波来襲です・・
公の場では風邪が猛威を振るっております
こんな季節はやっぱり日本人で良かった  おこたにみかん 
彼のあこがれの国ではこうはいきますまい・・・残念ながら・・・

冬だけはどんなに寒くっても青空を望むことが出来る・・・部屋の暖かさで曇った窓から外を眺めながら
ゆっくりと本でも読みましょう

さて、今回も様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!


                           新春めでたい








【国境を越える旅】
イギリスと中央ヨーロッパ

内田 正浩著 元就出版社 定価¥1,800+税 2003年初版



最後まで読んだ本の巻末に載っている作者のあとがきを読んで
ああ・・ここまで読んできて良かったな・・と思える一冊です
(厚さ2,5cm・・読みでがありますよ〜)

本来はもう一冊この著作の前に発表している
“西ヨーロッパ編”があっての2冊での完結本だそうです
残念ながら私はこのイギリスというタイトルにも惹かれて
本書だけの読破なのですが・・・

著者は1962年生まれスイスでの寄宿舎生活を経て
慶応義塾付属高校から大学医学部、
そして、オランダのマーストリヒトに医学研究のための留学・・・
ちょっと真似しようにもすでに人生のスタート時点で
世界が違い過ぎる・・・
医師でありながらノンフィクション作家でもある、という・・
一体どんな本なんだ?

著者が1996年からオランダに留学していた時に旅した、
イギリスのドーヴァー海峡をフランス・カレーから渡る
旅の紹介からお話は始まっています
『イギリス編』『アイルランド編』『ドイツ編』『オーストリア編』
『ハンガリー編』『チェコ編』から成り、約20ページ前後の
1話づつから成る著者の様々な旅の記録です
馴染みある場所からのスタートからだったので
淡々と綴っているなあ〜というのが先ずは第一印象でした
しかし、読み進んでいくうちに著者の経歴を思い出し
だんだん旅の目的も興味にも一貫性があり、
伝えたいことが徐々に染み入ってきました・・・

ヨーロッパは大陸で、我が国日本にはない
国間同士の国境が必ずあります
その経験は私達には日常的なものではなく、
普段はまったく馴染みのないものです
その馴染みのない「国境」に焦点を定め、
しかしながらそのボーダーがあるけれど、
また共通しているものにもこだわり、著者はその場所にも
必ず訪れています
その一つが“ローマ遺跡”です
このローマ遺跡は国境のないはずの島国「英国」にもあります
しかもとてつもなく保存状態の良いローマンバスと万里の壁が・・
こちらでは特に記述としてしか紹介はありませんが、
おそらく著者はこのことからイギリスも含めたのではないか・・?

昨年から世界中がちょっと違う意味での
“ボーダーレス”になっているように感じます
国境はある意味では必要不可欠なものである、という
メッセージが今この時期だからこそ!
私にはこの一冊から感じさせられて、仕方ありませんでした・・
国境はその国の長い年月からの文化や歴史、宗教、
生活の違いを表す、一つの紛れもない一線なのです
その一線をお互いに超えてもいいものかどうか・・・?
そんな文字になっていない言葉をこの旅の本から感じました 




【おいしいフランス極上の素材を訪ねる】

相原 由美子著 岩波アクティブ新書 定価¥940+税 2003年第1刷発行


おいしいフランスの極上の素材を訪ねる 自他とも認める『食いしん坊』であります・・・
しかしこれも自他とも認める・・偏食の多い私・・
なのに!!
おいしいものとされている食べ物を知ることは大好きです 
その一皿が例え・・口に出来ずとも!!


英国のお隣のおフランスは世界中が認める美食の国
こればかりは英国が日々向上しつつある昨今ではありますが、
この分野に関してだけは
追いつくまでにまだまだ時間がかかるのでは・・?・と
思うのは私だけではないはずです

もし英国に旅し、ほんのちょっぴりお時間が許せば
足を延ばせない国でもありますまい
この本から食べたくなったお料理があれば
即!出かけて見ましょう!

この1冊はフランス料理の素材12の産地を訪ね
その食材について美味しさを伝えながら、
ここで!私がお薦め本に入れたかったのは
その素材地の『観光案内ガイド』が必ずあること!

私の大好きな野菜アスパラガスの紹介から始まっていますが、
この産地ロワール地方ブロワとソーミュールの
交通・宿泊・ワインの案内が最後にあります

春先に美味しいアスパラガスが食べたくなったら、
この案内で早速出かけることができます 

また、お次はモリーユ(茸)・ロックフォール(チーズ)・
テリーヌ(貝)・メロン・オマール・・・と続くヨダレものの
食材ばかりです
そしてこれらは全ておフランス料理の代表的な素材ですが、
お手頃に試せるレストラン・ホテル案内もしっかり充実しています

これを旅行ガイドブックとして利用しない手はありません 
著者の相原さんは現在パリ在住のお料理やお酒などの
食物全般専門のライターさんだそうです

しかし、なかなか短いながらも食材のみならず
観光ガイドの重要点を全て抑えての案内は
ご自身の旅経験がとても豊富でいらっしゃることが伺えます・・・


でもやはり英国びいきの私としては
このテーマで『英国版』・・・作っていただきたいですねえ・・
どんな食材・素材が出てくるのか・・楽しみです・・






【ロンドン】
ブルーガイド・ワールド

執筆者 : 木野 悍  秋保 典子  守屋 陽子 実業之日本社 定価¥1,500+税 1998年全改定版



ロンドン ブルーガイド・ワールド やはり!旅には正統派のガイド・ブックです!
今回ご紹介するのは、このところ某歩き方をもしのぐシリーズを
続出発行されている実業之日本社さんですが、
『ブルーガイド・シリーズ』は旅のガイドブックの中でも
老舗中の老舗です・・

こちらは残念ながら現在書店の店頭で見つけるのは
至難の業になっていますが、
皆様の最寄の図書館では、おそらく必ず・・と言っても良いほど
揃っているはずです 
(または書籍購入サイトなどからでも手に入れることが可能です)

私はこの本を手にするまで、
実は正直あまり期待はしていなかったのです・・
申し訳ありません・・・

しかし、開いて・・じっくりと読んでいくうちに
執筆者の方々の想いがぎっしりと込められた
個々の案内が短いものながら、その内容はよくぞここまで
コンパクトにまとまるガイドになっていることに
先ず・・・驚きました 

『ロンドン』という一つの大きな街を
“テーマで見る”“見る・歩く”“愉しみ”“日帰りの旅”
そして“旅のアドバイス”と大きく5つの項目に分かれていますが
なんと!このコンパクトな本にオールカラー写真と
全ての案内が97年から98年の完全書き下ろし !
全体の大きさが縦17,5cm、横11,5cm、厚み1,3cmという
持ち運びにも嬉しい大きさ 

そしてこのガイドブックで1番に目を引いたのは
『テーマで見る』の英国王朝の系図と『日帰りの旅

英国を旅するのにかかせないのがやはり歴史
その歴史を覚えるのはちと辛いけれど
系図なら何時間でもつい見てしまいます・・
この系図の端っこでも頭に残っていれば
名所・遺跡を見てもそこに生きていた王様達が思い浮かべられ
策略や血なまぐさい歴史もじかに伝わってきて
見学の楽しみが更に増えていきます

『日帰りの旅』ではまだまだ穴場を沢山案内しているのです
“チルターン丘陵”と“テムズの旅” 
私はこの2つはこちらから初めて知った旅スタイルで
是非次回に訪れてみたい場所になりました 

様々なガイドブックがある中で、
本当に自分の旅のスタイルに合った案内の本を
見つけられた喜びは旅のスタートの第一歩です
ご自分の旅を作る楽しみの友として
ご自分で『これ!』というガイドブックを見つけることができたら
もう旅はその時点から始まっています 






【うわさ上手なイギリス人】


緑 ゆうこ著 KKベストセラーズ 定価¥1,400+税 2003年初版

うわさ上手なイギリス人 またまた緑さんの新作を楽しませていただきました 
古今東西どの国の女性もやっぱり大好きな『うわさ』
このタイトルにも手がつい伸びてしまうのは
私だけではないはず・・・と、思います

緑さんは英国に在住されている作家さん兼奥様ですが、
旅ではなく、嫁いでから今日までの生活から
我が国・日本と在住の彼の国・イギリスでの
日々気づいたことを伝えてくれています
その意識しない毎日の日常を、つい見す過ごしてしまう日々から
その中に居ながらにして、しっかりと冷静に観察をしています

この著作の「はじめに」書かれていらっしゃるように
・・・わたしの身の回りで生活しているごくごく普通のイギリス人に
ついてです。中略・・もともと近所の井戸端会議が情報源に
なって生まれた本です・・・
というように、著者の舅さんやお姑さんのお話から
ご近所の隣人の皆さんやイギリス人のご主人の友人の話・・・
緑さんの語り口調で綴られている本書は背伸びすることなく
そして、週刊誌のように1部の特殊な方々のお話ではなく、
現実の私達の身近にいる人々の生活そのもの、
時には笑いよりも、ちょっぴり鼻の奥がつん・・とする
涙の出る前のような気持ちにさせてくれる日常も
味合わせてくれます
そこには日本とイギリスの似て非なる生活がストレートに
伝わってきます

特に著者の最も身近で人事ではないのが、
ご主人のご両親・お舅さんとお姑さんのお話
どんなお国もどんな結婚にもつきものの、この婚姻親戚関係
お国は違えど昨日まで“他人の家族”だった方々が
翌日からはもう“身内”・・決して笑い事ではないのです
しかし著者の目はその関係すらきちんと見据え、観察しています
私はこの1冊のなかにたくさん出てくるお話の中でも
お舅さん&お姑さんのお話がとても印象的で大好きです
読後、必ずホロっとさせられてしまうからです・・・

あとがきには緑さんの『炊いてもゆでてもお米はお米』という
見方にとてもうなずいてしまいました
言葉や歴史・生活がどんなに違っても人は人・・・
きっと日本でも身近に似た人や経験もしていると思います
ですから、旅で遭遇して異文化だから、違うお国の人達だから、
考え方も何もかも違うのよ・・・
という言葉で片付けてしまうのではなく、
もしそんな場面に遭遇したら
そのこと自体を愉しんでしまいましょう !
さすれば緑さんもおしゃっています!
・・どんなイギリス人に出会っても、もうひるむことはありません・・

こんなに頼もしい一言が旅の友だったら、
個人旅行のような短い滞在でもきっと2倍楽しめます




【マザーグースころんだ】
ロンドンとイギリスの田舎町

ひらい たかこ・磯田 和一著 東京創元社 定価¥1,359+税 1990年初版




マザーグースころんだ いつかご紹介したかった1冊です!
本日メールのお問い合わせで
ペンザンスとセント・アイヴスのお話が出てきたので、
懐かしくて、ついまたまた何度目か数え切れないほどの
再読に突入してしまいました 


もうタイトル通りの『マザーグーズ』にちなんだ街と、
『ロンドン』の旅の記録です
当時(1990年)はひらいたかこさんという
イラストレーターさんをまだ存じ上げなくて(すいません・・)
それから今日に至ってはひらいたかこさんの御本は
もれなく手に入れなくては気が済まなくなりました・・・
(その後、彼女は創元社のクリスティ単行本の表紙を
全て手懸けていました)
どのページも磯田さんとのイラストと手書きの旅記録が
ぎっしりと満載でとっても愉しいです!!
私はこの1冊から初めて知って訪れて大好きになった街が
『ペンザンス』と『セント・アイヴス』・・そして『イーリー』
お二人は辿ったマザーグースの縁の場所のみならず
滞在したB&Bやレストランなど金額や場所・連絡先も
きちんと明記されています
そして、お食事内容や建物など全てが
イラストで紹介しているのですが・・・
それが写真以上に私の目の中に飛び込んでくるのです

英国で遺跡名所の歴史を辿る旅も楽しいですが、
この国にはこのマザーグースを始め、くまのぷーさんや
ピーターラビット、アーサー王物語などの私達の生活に
常に身近に子供の頃からの大好きな物語がいくつもあって
気づくと・・・
そういえば英国が故郷・・・というお話が沢山あります
そんなご自分の子供の時や現在も大好きなその物語を追って
英国の旅を作れたら・・・
自分だけのたった一つの歴史名所巡りの旅!
それこそ昔は出来なかった
大人になった今だからこそできるあなただけのオリジナル旅です

この1冊は初版が1990年ですが
なんの!たったの13年前!!
読めば読むほど新鮮味を感じ、次はどこへ行こうかな?と
いつもワクワクさせてくれます
英国は何年経っても・・・・変わりません 










こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
その旨ご了承の上、お楽しみいただけたら幸いです
  





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