今月のお薦め本 



〜2003年 11月〜

                                                         

読書の秋もじっくりと落ち着いた晩秋にさしかかり・・1年の締めくくりに向かっての今月
何となく本が無償に読みたくなります
来月は慌しくて、ゆっくりと座っていられなくなるかな?・・という予感かも知れません・・

暖かい空間を作ってゆったりと本が読めたら、それは至福の時間です


様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!


                                   

この季節のクリーム・シチュー






【ロンドンのマーケットに行こう】

村松 美賀子著 東京書籍 定価¥1,900+税 2003年初版



ロンドンの観光の中でやはりショッピングの占める割合は
かなり大きいと思います
かくゆう私も“ウィンドウ”と名のつくショッピングが大好きです 

それにはこのマーケット巡り!
もうーーこんな楽しい時間はありません

もしロンドンに住むことが出来たなら、この著者の村松さんのように、私も休日毎に飽きるまで行ってみたーーーいっ!です

しかし、日程に限りのある旅行者の悲哀・・・
なかなか行く機会に恵まれないのが現実です
それでもこの1冊を見ると一つづつあせることなく楽しむことも
可能ではないじゃあないですかっっ・・と思えるのです
もちろん現在はどのような旅行ガイドブックにも紹介されている
有名無名(?)の数々のマーケットですが
けれど・・・情報が少なーーーい、と常々思っていたので
この表紙を見た途端、手に取っていました

Part1、Part2に大きく分かれた本文に構成され、
Part1は初心者から楽しめるマーケットの案内から
Part2は移住した著者の体験から生活に密着したレポートを含め
イギリスの歴史にまで遡る案内をしてくれています
特に、“FOOD6”のマーケットを食べ歩く・・という章では
イギリスの食文化にまでお話が発展していて、
つい頷いてしまいます
そうなんです  マーケットで食べた屋台の春巻きが
とーーってもおいしかったことを久々に思い出しました
それは日本の夏の風物詩・盆踊りでの屋台のおいしさとは
また一風違った食文化が、きちんと存在している訳も知りました

季節を問わずそこに人が住んでいる限り絶対なくならない
「マーケット」
これからの旅にも1つ訪れる場所としては、はずせない・・・
ロンドンへ行く前にご一読、“Let's go to Markets ! ” 





【リンクスランドへ】

マイクル・バンバーガー著 管 啓次郎訳 朝日出版社 定価¥2,400(本体¥2,330) 1994年初版




ちょっぴり発行が古いこの本は、是非ゴルフをお好きな方に
推薦したい一冊です
もちろん、ゴルフプレイにご興味のない方でも
十二分にお楽しみいただけます

実は最初に社会人になった会社が建設会社で
日本中に沢山のゴルフ場を所有、または作っていました
その為に英国へ出かける前まではゴルフが大嫌いでした
コース作成もゴルフプレイも日本人プロゴルファーも・・

しかし、彼の地でゴルフ場を見ることや実際にゴルフプレイを
見る機会が増え、日本のゴルフとまったく違っていることに
とても目を丸くしました・・・

この「リンクスランドへ」という本はアメリカの31歳の青年が
自国ではなく、わざわざ休職をしてリンクスコースを目指すため、
妻と二人“真実のゴルフ”をもとめ、旅に出ます
そして、云うまでもなく最終目的地は、
スコットランド リンクスランド

アメリカと日本のゴルフは一般的にゴルファーの為のコース
リンクスランドこと英国地域のゴルフは自然のまま、
その自然に挑戦していくプレイがゴルフ・・
という図式になっています
ですから、山や丘という自然を削り、造成し、
コースを設計するのではなく・・・あるがまま・・・
地理的学的スポーツ(と、訳者 管さんのありがきから)であり、
そこにある天候、植生、地形全てを制するゲームです
ですから、コース番号は同じでも一つとして同じプレイでは
通用しない・・・それがこの国のゴルフです・・・

作者マイクルは$100もするグリーン・フィー、電動カート、
雑草一つない人工的なゴルフ場に反発し、
本来のゴルフの原点を探求するため、出発します
そして、社交ゴルフではなく、ゴルフ技術ではなく、
ひとときの静寂と聖性・・原点に戻るため・・・
“前半第1部アウト”はヨーロッパツアーにキャディとして、
“第2部イン”は実際にゴルファーとして、
徐々に目的へと進んでいきます・・・

この本は小説ではなく、ゴルフという一つのスポーツが
はっきりと我が国のゴルフと言う名の社交場との違いを
恥ずかしいくらいに知ることが出来ます
何故、日本人プロゴルファーが
近年全英オープンには勝てないか?
何故日本人プロゴルファーが
この地では小さく見えるか・・・?
私はこの1冊で充分理解できるような気がし、
改めてゴルフというスポーツの奥の深さに感動しました・・・
短い感想になりましたが、私の表現力の乏しさが
この時ほど恨めしく思える瞬間をこの本を与えてくれました・・
是非書店でお見かけしたら、先ずはお持ち帰りを・・



【イギリスの職人たち】

淺岡 敬史著 東京書籍 定価¥1,800(本体¥1,748) 1996年発行



イギリスの職人たち もうこの本はタイトルを見ただけで内容がわかる・・・
という・・そのものずばり!
イギリスでの様々な職業の「職人」サン達をご紹介しています

先ずはロンドンのサヴィルローから、洋服に始まり、
シャツ、靴、コンシェルジュ、宝飾、変わったところで
スパイス調合・・(イギリスの職人さんのお話なのに。。
インドの方を紹介してよいのだろうか
・・・?と
当に著者であるご本人が首をかしげていらっしゃる


後半はやはりしっかりとイギリスらしいリーチ窯や英国磁器と
スコッチ・ウィスキーにハギスと続く・・・
その国の文化を知る上では、
この職人さんほどその国らしさがある方たちは
常々いないと思っていました
ですから、この本書に出てくる方々の職業はイギリスならでは 
という興味深い世界がメクルメク登場してきます

この1冊をもとにひとつの(それ以上に)旅が出来てしまいます
または、知らず知らずのうちにこの方々を訪ねた旅をしていた、
ということも・・・・

特に日本とも関係が深いリーチ窯は
イングランドでは有名な南西リゾート地でもある、
セント・アイヴスが舞台です
発行が1996年だけに著者がそのときにお話を伺った
ジャネット・リーチさんはすでにこの世の方ではありません
しかしこの地はリゾート地でありながら、
現在でも芸術家達の集まるコミューンになっていて、
小さな街中にはたくさんのギャラリーがひしめき合っています
もちろん、彼女ジャネット・リーチさんの
今は遺作になってしまいましたが、作品は多くのショップの
店頭先に燦然を輝いています
このリーチさんは師であり、夫であったバーナード・リーチの
2度目の奥様でした
バーナード・リーチは濱田庄司らと一緒に日本の民芸運動に
参加した世界的な陶芸家でもありました
この地のテートギャラリーにある彼らの作品を見ていると
まるで日本の工芸館にいるようです

文化に触れる旅にはもってことのガイドブックです
職人さんはこの国ではまだ絶えることなどないでしょう・・・



【英国の裾 英国の袂

入江 敦彦著 協力/宇野 昭彦 株式会社 センイ・ジヤァナル 1995年初版




この1冊は探して・・探して・・やっっと図書館から
拝読することができた本です・・

当初タイトルに「英国」を検索して見つけたもの
前回ご紹介した著作から私の中では
ちょっと気になるライターさんの一人になっていました・・
ですが・・本屋さんで検索してもらっても見つからず
(注:松戸駅ビル内)、
かくなる上は図書館で!と思ったら
やっぱり見当たらず・・あきらめかけていたところ、
図書館の馴染みのお兄さんが覚えてくれていて

手配してくれた貴重本です・・

タイトルは“英国”果たして・・中身は・・・??

著作者の入江さんが日本でのサラリーマン生活に別れを告げ渡英し出版社からでもお分かりのように繊維業界においての
英国産各社へのインタビューをまとめたエッセイ集です

そこに出てくる各社はショップだったり、会社だったりと
馴染みの多い名前がずらーーっと並んでいます
入江さんがそれぞれ感じたことや知りたかったことを各店・社の
プレスに質問した内容を軸に彼の満々た探求心をも
紹介しています
日本でもおなじみのバーバリからハロッズなどたった一人で
インタビューに挑んでいきます
しかも、会社という組織バックボーンなく
どしどしと質問を浴びせまくる
そこここに入江さんののパワーが伝わり、
そして、有名店とされている歴史あるショップの
実はこんな知られざる一面があったんだああ、
と感慨深く(?)なったり・・・
えっ?そんな歴史があったの?対応なの?という
意外性もダブルで楽しめます
私はつくづく(生意気ながら・・)入江さんの好奇心の深さに
感動してしまいました
残念なことに情報としては93〜94年の取材とされていますが
そこは天下の大英帝国!
10年、20年で信念や方向性が変わるものではありません
街のショッピングガイドとしてだけではなく、
もっと深い意味ある一つの指針本として感銘を受けました・・
改めてこの国の懐の深さ・雄大さを感じせずにはいられません

尚、巻末の一瞬ミス・マッチ?!とも思える
林望さんとの掛け合いも必見です・・・









こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
その旨ご了承の上、お楽しみいただけたら幸いです
  




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