今月のお薦め本 



〜2004年 5月〜

                                                         
晴天のGW・大型連休から始まるこの月
すっかりと新緑が日々眩しくなるこの頃です

連休にすでに彼の国へ飛び立った方々も多いことでしょう
しかし!これから後半にかけてのこの月は実は隠れた人気の一ヶ月
欧州の長い夏季休暇前はどの街や村もひっそりとして・・・花々に囲まれています
またロンドンでは英国最大のチェルシー・フラワーショーで賑わいます
本番(夏期休暇)に備えても結構ですし、
この静かな時にじっくりとカントリーサイドを訪れることができたら・・
我が国とは違った新緑季節を満喫できるでしょう・・・

思い立ったらすぐ飛び立てるように・・・
今回も様々なジャンルから英国物をご紹介していきます


例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!



【テムズ川ウォーキング】
〜オックスフォードからウィンザーまでの120キロ〜

岡本 誠 著 春風社 定価¥1905+税 2004年2月発行




テムズ川ウォーキング やはりこの月に相応しい1冊からのスタートです

表紙はご覧の通り淡い水彩画(ご想像通り著者作)
タイトル通りのテムズ川で『エイト』と呼ばれるボートが浮かぶ・・
如何にも英国らしい1枚です
実は書店で本書をパラパラめくった時は
全編に散りばめられたこの著作者による見開きの淡い色調の絵が
とても目立っていました・・・ごめんなさい・・もしかしたら・・・
ご自身の歩かれたウォーキングエッセイだったら・・・・なあああ
と、とても迷った1冊でした・・(ごめんなさい)
しかし!!(ここで私は声を大にします!!)
この1冊は絶対にお薦めです!
私個人的にはこれからの季節の英国での旅には
どこか一箇所、半日でもいいんです
『ウォーキング』を是非旅の計画の一つに入れていただきたいなあ・・
常々と思っていました
それにはもしこのオックスフォード地区へいらっしゃるなら、
この本書のご一読は必須です 


著作者の岡本先生は1940年お生まれ、
現在は駒澤大学短期大学部教授でいらっしゃいます
あとがきにもウォーキングに出かける注意が
さりげなく案内して下さっているところもとても嬉しいお心配りです

岡本先生はロンドン・パディントン駅から
急行列車で30分ほど行った比較的大きな乗換え駅ともなる
レディングにお住まいだったとか・・・
その街はテムズ川にも程近く、御自宅を中心にして
ロンドン側ではウインザーを終点とし、
始点をオックスフォードとして
そのテムズ川に沿ってのウォーキングコースを
歩ける距離の11に分けて
その一つづつのコースを歩いた記録になります
そして、その記録自身がとても素晴らしいガイドブックになっています


コースの作り方は御自宅から先ずは電車に乗り、
作ったそれぞれのコースの始点駅まで進みます
そしてその日に歩ける距離に合わせて、その始点の鉄道駅から
終点とする御自宅へ帰るための鉄道駅までと決めて
その歩くコースが何とテムズ川に沿ってのコースになっているのです

このようなウォーキングコースはよく街のツーリスト・インフォメーションに
『トライアルコース』
とか『ウォーキング・コース』の
ガイドブックとして置いてある街もありますが、
如何せん・・全てがイングリッシュ 
コースや地図はわかっても、この英文を読みながらの
コース上に登場する名所などを見るということは・・・
英語の苦手な私にとっては・・・う〜ん・・ でした・・・
ところがこの本書に描かれている各コース

道順も丁寧に案内されているだけではなく
各名所毎に興味深い解説や
またお薦めのパブ情報も必ずさりげなくあり  
全くもって!嬉しい限りです 

いくつかのコースは奥様と歩かれたということもあり、
短いもので5キロ、長いものでも16キロと無理ない距離ばかりです

英国の方々にはこの『ウォーキング』を趣味にされている方も非常に多く、
そのほとんどはこうしてご自宅から車や電車に乗って週末などの休暇をご自身のペースに合わせてコースを歩く姿も多いです
もちろん私達旅する者達は訪れた街からのスタートでの
『歩き』を愉しむことが1番ですが、
街の観光を楽しんだ後、
その街が気に入ったらもう1泊滞在を延ばして
岡本先生のようにその町から電車で郊外へ出かけて
ちょっと範囲を広げた『歩き=ウォーキング』を
経験してみてはいかがでしょうか・・?






わたしのウェールズ、わたしの家

ジャン・モリス著 北野 寿美枝 訳 早川書房 定価¥1,800+税 2004年2月初版



わたしのウェールズ、わたしの家 私達の国の中で、言葉もちがう、貨幣も違う、取り分け文化も人種も違う・・
という経験はおおよそ
日常生活していく上で感じることが少ない・・
のではないでしょうか・・?
(それについては単なる私個人がまったく普段から
何も考えずに日々生きているからに過ぎないのですが・・)
しかし、彼の国の正式なお名前は皆様ご存知のあくまでも『連合国』
イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド

その中でも、現在の女王様のご主人はスコットランドから
ご自分のお子様達は『プリンス・オブ・ウェールズ』
同じ家族でありながら、しょっていらっしゃる御国がそれぞれに違うというのも、
私達一般庶民と異なるところ・・・
まったくもって不思議な国だなあ・・と思わざるを得ません・・
ですから、オリンピックを除いては、あの大会をしのぐいきおいの
サッカー・ラグビーに於いてはそれぞれの御国からの代表となり、
時として、ご近所・お隣同士が場合に寄っては「敵」同士になることも・・
少なくありません・・・・

我が日本を代表する作家さんの一人と言っても過言ではない、
黒姫の赤鬼(ご本人が良くおしゃってますよねー)こと
C.W.二コルさんもウェールズ人
こちらのあとがきに二コルさんの心からの言葉もあり、
改めて『祖国』ということをしみじみ考えさせられる1冊です

著者のジャン・モリスさんはご紹介を読むと
1926年生まれの旅行作家さん
1953年にエベレスト世界初登頂に成功した登山隊に同行し、
取材記事を発表したことでも有名なウェールズ人
この1冊は著者ジャンさんが祖国と命にも等しい家につぃての紀行をまとめた、
ちょっと異色のエッセイ集です

彼の国については何本かの映画とラグビーを通じて
わかったような・・そんな思いでいましたが
もっと深く、そして長い歴史を通じて常に異邦人である、
イングランドという強国に常に絶え間ない侵略を繰り返され、晒されながら
それでも『移民』という方法を選ばず、
その地にしっかりと根を下ろし生きてきた彼らの力強さに
感服せずにはいられません・・・
またこの国の人々が持ち合わせている『私の家=家族』という
最も大事な代々引き継がれてきた想いも
私達が普段感じている以上に深い愛情と感心を寄せています

読み終わった後の清涼感は他の3国の民族の想いとは
また一種違う・・・潔さと逆にそのこと自体のある種の強さが
とても好ましくさえ思うのです・・・

きっとカーディフを訪れたことのある方はとても多いと思います
再訪、又は始めて訪れる方も是非ご一読されてから、
イングランド・スコットランドとも違う言葉と文化を大切にするウェールズは、
皆様にきっと様々な違った顔を見せてくれるに違いないと心から思います・・







英国ネコまみれ紀行
〜ネコを探して英国ぐるり


石井 理恵子著 新紀元社 ¥1,300+税金 2002年12月初版発行


英国ネコまみれ紀行 様々なサイトさんでもこちらの著作のご紹介も多く、
ご存知の方々も多いことと思います、石井さんのこの1冊

私自身も大切な家族としてネコのいる生活が長いので
どうしても、旅に出ても犬に比べて
出会える機会の少ない彼らに目が行ってしまいます
不思議と英国に於いて私は『犬』
は我が国とは違う顔、
しかし『猫』は世界どんな御国で出会っても
同じ、猫は猫なのです・・・
それは、彼らの持つ個々の個性がそれぞれに違うことから
英語で話しかけようと、日本語で話しかけようと
彼らはいつもその異なる言葉を理解している・・・
そんな気がしてならないのです
「Hello」でも「こんにちは」でも
まったく同じ反応を返してくれます
ですから、私は何となく寂しくなって何か話をしたくなったら
異国では犬よりもそんなネコ達を探してしまいます 
でも、彼らは常にマイペースですから
こちらにお付き合いしてくれることも少ないのですが・・・

さてこの著作はタイトル通り英国中のネコを
巡っての旅を綴っています
“ネコに旅した英国”から始まり、“ネコにまつわる話し”、
“観光名所のネコ”、“ネコのいる宿”、
“ネコを見つけた街や村”・・・文字通りネコに会いたい方には
笑いの止まらないガイドブックです
北はC・W・ニコルさんの著作でも有名なウィスキー・キャットのスコットランドや、
すっかりと数の少なくなってしまったしっぽのないネコ・マンクスを訪ねて
マン島まで・・
ロンドンという旅人が必ず立ち寄る街でのネコのいるお宿の紹介も
いくつか嬉しいことに案内してくれています
そして沢山の彼らの写真を見ているだけでも
仕事後の緊張感も一気にほぐしてくれます 
・・・そして気がつくと短毛種の彼らは家のご近所でも時々挨拶をする
どこそこの、あの場所のネコにそっくりだなああ・・なんて・・・
思わず笑ってしまいます
そして、我が国と違うのはロンドンのような都会のホテルでも
しっかりとフロントに顔を出してくれたり、お部屋の中まで巡回するネコ達のことは
あまり聞かないないのではないでしょうか・・?
まして、そのホテルのポストカードやバッチにまでなっている広報担当官は・・
もちろんその売り上げは動物愛護団体への寄付になるそうですが 

嬉しいことに巻末には本に紹介されているお宿や施設などの
案内サイトのアドレスもありますので、
旅に役立て、疲れた時の為のほっとする本としてだけでなく、
しっかりと旅のガイドブックとしても
正に1冊で2つも楽しめる、
ネコ好きの方や動物大好きな方には是非ともお薦めしたい1冊です 





有元葉子の旅というレッスン


有元 葉子著 筑摩書房 ¥1,400+税 2003年10月初版発行


有元葉子の旅というレッスン. 有元葉子さんと言えば、
やはりお料理・インテリアと幅広い活躍をされていらっしゃる
料理研究家サン
何といってもお料理に関しては沢山の著作をお持ちです
時たまその本を目にして楽しむこともあるのですが、
今回は彼女のこの本を書店で目にした時は
表紙、そして巻頭の素敵なホテルやインテリアの写真・・・
その様々な写真の数々で、
ヨーロッパのみならずホテルライフの素晴らしさが
言葉よりも先に目に飛び込んできます
もちろん!内容も有元サンの期待通りの観点からの案内には
・・・さすがに『大人の女性』
旅のレッスン場所も
イタリアの田舎・上海・ロンドン・ポルトガル・ベトナムと多彩です
 
特に巻末のポルトガル旅の全行程は
いつか行ってみたい国の一つと考えている私にとっては必読でした

いつも旅に出る時の衣類には・・最後には頭痛になるくらい
何度も何度も荷造りをやり直します
時にはちょっとした最新のおしゃれなビストロやレストラン、
お芝居も行ってみたいな・・という時も、
それでも必ず私の旅には
ウォーキングやラグビー・ゴルフ観戦はつきもので
両極端なスタイルが必要になります
そんな時この著作からは『衣装計画』の数々を案内してくれていらっしゃいます

かさ張らないおしゃれな小物や、はおりものの使い方
持参するアイテムの必要最低限数まで、有元さんらしいアイデア満載!

又、目からポロポロウロコ・・はホテルのクリーニングの利用

実は旅の間で「洗濯」ほど日本では何の気なしの日々の行為ですが
これまた旅にも必ず付きまといます
しかし、かと言っても1泊づつ移動する旅は仕方のないことでも
2泊同じ宿泊先を利用することができれば・・・
思い切って宿泊先のサービスを利用してしまおう!というわけです
遊びや仕事で疲れて帰ったりした晩ほど早くベッドに入りたい・・
でも翌日も汗まみれの洋服を身に着けるほど悲しくなることはありません
自分を励ましながらTシャツや靴下・シャツを洗って、干して・・
以外に時間のかかるもの・・ 
ちょっぴり絞る手にも力が入らない・・・
そんな時は下着までもクリーニングに出してしまいましょう!と!!
さすがに下着は抵抗はあるにしても、
想像以上に短時間でやってくれるらしい
(その宿泊先にもよるかと思いますが・・・)ので、
たまには(私は日本ではめったにないけど)、
人様がアイロン掛けしてくれたTシャツも気持ちの良いもの 
私も次回は思い切って試してみようと思います

そして、以外にこれまた考える機内持ち込み荷物のこと
私はなるたけ小さくしよう、と毎回思うのですが彼女は反対です
何故なら預け荷物のロストが非常に多く経験されていらっしゃるとのことで
その時を考えて、2〜3日の滞在荷物も機内に持ち込んでしまうとか・・
私自身はお陰様でロストバゲージの経験が少ないため
あまり考えずに済んだのです
しかし、これから先は決してこの恐ろしい「ロストバゲージ」がない、
とは言えない・・・きっと・・・
今後は考え直して、ちょっぴり荷造りスタイルが変わりそうです

有元さんはこのことからおしゃれで機能的なバッグを考案しています
巻末にはそのバッグの案内も含めて、
旅のベテランのらしい「旅で大活躍のアイテムたち一覧」は
写真つきで見ているだけでもすっごく目に楽しいものたちばかり 
シンプルなものたちだけに飽きもこなく、
使いやすそうな様々ばアイテムたちが並んでいます
私もちょっぴりこのページを参考に
そのようなものたちを少しづつ揃えてみようかな・・?と
なんだかワクワクしてきます

日常の中でちょっとホッとする空間の時間内にでも充分熟読できる、
また電車の中や温泉湯治などのお供にもさっと読めて
楽しくなる1冊
どうぞ、改めての新しい発見が見つかるかもしれない、
そんなワクワクの有元サン最新の旅本です









こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
その旨ご了承の上、お楽しみいただけたら幸いです
  





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