今月のお薦め本 



〜2007年 1.2月〜

                                                         

すでに年明けして2ヶ月が過ぎようとしています

半ば活字中毒の私がこの2ヶ月間本を手に取らない日はまったくなく
出稼ぎ先へ向かう電車の中や
ランチと取る時や
寝る前に読む本・・・

それぞれに違う本を手にするのですが
今年始めの旅に持って行った本たちは
推理小説と雑貨カタログと
遅ればせながら1冊読み終わったらその後漁るようにして次々と読んだ
数冊の幸田 文


日本の小説って本当に文章が美しい・・と感じました
そして、ちょっぴり昭和の色濃い空気に懐かしく
今の私にとっては旅に持参するにはもってこい、の選択だったのです

どんな旅もたった一つ、
二つとして同じものはありません
そんな『旅』へ出るためのお役立ち本のご紹介

少しでもご参考になればこんなに嬉しいことはございません







イギリスの小さな村を訪れる歓び



イギリスの小さな村を訪れる歓び


木島タイヴァース 由美子 著 吉村輝幸 写真 
インデックスコミュニケーションズ  ¥1,800+税  2004年10月初版







本書はその名の通り
“イギリスの小さな村”をご紹介している1冊です

著者はロンドン在住のブルーバッチをお持ちのガイドさんでもある
木島タイヴァース由美子さんの初の著作本です

1昨年前より英国観光庁のテーマでもある
“英国式幸福論”の中でも
英国式の楽しみ方を教えてくださっています

彼女は知る人ぞ、知る
ロンドン在住のガイドさんの中でも
第一人者の内のお一人
きっとご存知の方も多いことと思います

数年前のお仕事で多大なお世話になり
その頃から木島さんのお客様に対するお気持ちが
この1冊を読まずとも解りすぎるくらいに熱心で、
常に相手に対する思いやりに満ちたお人柄だということに
更に嬉しくなったものでした

実際は私自身この御本から彼女とのきっかけが出来たわけですが、
正直少しでも「自分だけの宝物」としての1冊にしたくて
こちらでのご紹介を延ばし延ばしにしてしまいました

まだまだご紹介されていない
私たちのみならず
世界中から訪れる方々に愛される地
コッツウォルズの素敵な村々を惜しみなく案内してくれています

これから英国は1年で最も美しい季節になっていくわけですが
私自身何度もこの御本を手に取っては眺め、
地図を開いて場所を見て
こちらでご紹介してくださっている
小さな村へすぐにでも飛んで行きたくなります

  

木島さんのご経歴を
いつものように本の裏表紙から少しご紹介してまいりますと・・
1976年に渡英されてから翌年77年には
英国内で取得するのにとても難関、と伺っている
ロンドン市公認観光ガイド資格の
ブルーバッチを取得していらっしゃいます

このブルーバッチを取得されていらっしゃるガイドさんでないと
大英博物館などを始め、様々なロンドンの観光名所での説明など、
ガイドさん行為を行ってはならない、という規則があるそうです

このようなガイドさん資格は
そのお国それぞれに厳しい規定がありますが
英国でも例外ではありません

彼女は本書の“あとがき”にも書かれていらっしゃるように
イギリス人のご主人とご結婚されてから
当時からすでに共働きが常識だった英国で
どんな職業を・・と考えたときに
「この国に永住するならば国の文化や歴史を知っておいたほうがいい」というお薦めで
ブルーバッチ資格取得のコースへ通われ、
見事にその試験に合格されたのでした


   


さて、そんな木島さんの御本は
湖水地方を最も愛し、その地に住み、生涯を終えた
英国の桂冠詩人
ワーズワースの「わが妹に」から始まります
夏の英国の牧草と色鮮やかなブルーの空に白い雲をバックに
この詩が綴られています
最後の1節が
“今日1日をのんびり暮らそう”

コッツウォルズでは
ブロードウェイ、スタントン、スノーズヒル、スローター、バイブリー、マルメスブリーと
耳に聞き覚えのある村や初めて聞く村のご紹介がされています

そして、ご本人が在住されていらっしゃるロンドンから
充分日帰りの出来る
チェニーズ、ペンズハースト、チラム、チディングフォールドと
およそ初めて聞く名前ばかりの村々がそのあとに続きます

英国の人々が最も身近で楽しむ旅の一種に
おなじみの『ウォーキング』があります

そして、歩いた1日のあとでゆっくりと体を休める場所としての
宿泊との楽しみ方を充分知っていて
その2つが彼等にとっての『旅』であり
少なくともそのいずれか、一つ!と問われたら
間違いなくどちらも選べないでしょう・・

ですから、この本書にもご紹介されている小さな村は
その歩くことと
素敵な滞在先がセットになっているように思います

『歩く』ということは
単なるウォーキングに留まらず
昔の貴族の館やそのお庭を観ながらご自身のペース
(これが1番大事!)で歩く・・・

宿泊先も昔の貴族の館のマナーハウスから
身近なB&B
(これも一般家庭から農場での滞在など家庭のタイプは様々)など
選ぶ範囲の広さは嬉しいことに迷うほどあります

そして、美味しい英国の食

おフランスの料理のように晴れ晴れしいものではありませんが
自家製のジャムやその美味しさを際立たせるスコーンとのお茶、
1パイントビールでのパブランチや
素朴な焼き菓子




歩いた後のおなかにはどれも嬉しいものばかり

そんな当たり前の楽しみ方を実践するのは
ちょっぴり忘れかけた旅の方法かもしれません

ルートを予めしっかりと作り
そのスケジュール通りに進まないと妙にイライラしたり、
見学したいものが時間通りに行動できず、ということも一切ありません

片意地はらずにその日のお天気次第・・という
気の抜けようで気持ちも体もゆったりできるものです

そんな旅を実践しにイギリスへ・・・なんて
ある種とても贅沢な時間

この1冊からそんな空気が流れて
読み終わった後がとても気持ちがふくよかになりました

どうぞ、これからの季節は建物の中だけの見学の旅ではなく
(もちろん!それはとても大事な旅の目的でもあります)
外での時間を愉しむ旅や
何も決めずに無理せずゆったりと過ごす旅への第1歩として
本書を開いてみることをお薦めします










こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





Top New ページのTop 

03年 9月 10月 11月 12月

04年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

05年 1月 2月 3月 4月 5月 6・7月 8月 9月 10月 11月 12月

06年 1・2・3月 4.5月 6月 7月 8・9・10月 11月 12月

07年 1・2月 3・4月 5・6月 7・8月 9・10・11月