今月のお薦め本 



〜2007年 3・4月〜

                                                         
今年の冬は欧州のみならず私たちの国も驚かせるような暖冬でした

初雪が最も遅い年としても新記録

ロンドンも1月は暖かく、2月に数日いきなり雪が降り
3月はどちらも暖かかったり、急に寒くなったりと・・・
桜の開花予報は何度か改定になり混乱した年でありました

桜もあっと言う間に咲いて、
東京はすでに1週間もしないうちに散ってしまい・・
しかし、ロンドンも4月イースター休暇に入り、
やっと季節も安定したことを伺いました

私たちの国のみならず
欧州中がこのイースター休暇を楽しむ時期は
その年の旅行シーズンの幕開けです

これから出かける旅に少しでもご参考になれば・・・
そんなヒントを与えてくれる素敵な旅の本たちをご紹介します

そして、然るべきときにすぐにでも旅立てるように





又は旅発てないときの心の旅に・・・・








【イギリス鉄道の旅】


イギリス鉄道の旅



関口 知宏 著  徳間書店  ¥1,200+税  2006年08月初版






関口さんのシリーズは国内のみならず
ヨーロッパの各国を列車で巡る・・・
この番組は何度観ても『癒し効果ダントツ』なのは
私だけではないはず

残念ながら国内シリーズは観ることも叶わず
まだ本でも目にすることができないのだけれど
絶大な視聴率だったことや
現在でもその後の「絵日記シリーズ」が人気好調を続けていることも
書店などでも長く目にしていました

ヨーロッパ鉄道シリーズになってから
何とか録画が撮れるようになり
深夜クタクタで帰宅したときの夕飯時に何度となく観てしまう
大切な録画番組になっています

ですから、ついつい繰り返し観て
本も内容的には変わりがないだろう・・と思いつつ
書店でパラパラページをめくると
放映されなかった彼のおなじみのほのぼの絵日記が掲載されていたことに
ついつい手から離れなくなってしまいました


 


正直番組の中では関口さんの辿った鉄道旅では
私にはイギリスよりも
トルコやギリシャ、スペインの南の国の方が
断然魅力的に写ったものでした

それは彼の持つ元々のキャラクターに合った国だと感じたことなどが
大きく影響していたように思います

一人旅でも彼は初めて会う人々に臆することなく話しかけ
興味あることにはガシガシ進む様子は
その人の持つ天性のもの・・と思っているので
それは“番組だしー”の様子はブラウン管を通しても感じられなかった・・
そんな彼に多くの人たちからの好感を得られたのだろうとも思いました

だから、彼にとって「英国」は果たしていかがなものだろう・・と老婆心ながら
放映を見る前はちょっとどきどきしたものです

しかし、元々は鉄道発祥国、
機関車トーマスを生み出したお国柄
鉄道に関してはどんな国の人たちよりも
様々な形での支持者が多いことでも有名です

関口さんならずともどんな旅になるのだろう、と
大きな期待がふくらんでこない方が不思議です


 


私たち個人旅が好きな旅行者にとっては
確かに英国内の旅では列車だけよりも
車がとても便利で
行動範囲も物凄く広がるだろう、ということは毎回思うことでもあります

しかし、少なくとも私に限っては国内でも運転できない輩が
人様の国で車を動かすなんぞ、
パラシュートなく高度1000mから街中へ飛び降りるようなもので
落ちた地点の方へのご迷惑も含めて
自殺行為以前のお話しだと思っています

そうなると必然的に移動に関しては鉄道か、バスのいずれか・・
迷うことなく断然私は可能な限りは
「鉄道派」

この旅行業界に入りたいと思ったきっかけが
時刻表を見ることから始まったのですから
旅=鉄道の図式は当然と言えば当然のことでした

しかし、私にとっては列車の内部には多いなる興味はあるものの
(座席や空間の居心地の良さや車内販売の充実さなどなど・・)
外見の列車に関しては・・・ごめんなさい・・その興味対象物ではないのです・・
あくまでも“移動手段”としてだけの「鉄道マニア?」

トーマスクックを手に持たせれば何時間でも楽しめますし
1日の大半を列車の中で過ごすことも大好きです


関口さんの本からかなり脱線しましたが、
彼もこの英国でとても新鮮な車窓の旅と
「英国」と言う国を改めて見直した巻末に書かれた“おわりに”の文章と
この国の旅での最後が
よく出てくる南西のランドエンドではなく
最北端のThurso駅だったことが
画面的にはとても印象的でした

彼の旅程は7日間で
ロンドンからウェールズを通り
スコットランドへと北上していくルート

地図で言うと英国の島の左側を上へ進んだことになります

旅程コース
ロンドン カーディフ エディンバラ サーソー


ロンドンからストーンヘンジや音楽好きのカーディフから
鉄道の心の故郷でもあるウェールズの保存鉄道、
風光明媚な湖水地方、
ローマ軍の足跡のハドリアヌスの城壁、
エディンバラから更に北のハイランド地方の“水”とも言うべき
スコッチウィスキーの蒸留所や音楽好きのインヴァネス、
そして、南西とは対極にある最北端の駅サーソーの海岸

この行程の中で関口さんの見た英国は
長い歴史から現在までのそこに住む人々の暮らし方や考え方を
幾度行っても涙が出るほどの感動を感じさせてくれる
この国への思いを自身の代わりに
上手に綴ってくれているように思いました

漱石さんのより前の時代から
私たちの国は英国を目指すように進んできた長い道程があります

戦後の復興から経済の勢いに乗り、
ここまできてしまったけれど
現在は何かが常におかしい、と感じたり
何か大事なことを取りこぼしてきてしまったようなことに囚われたりすることが多々あります

英国を旅していると時たま遭遇するのが
鉄道が止まってしまったり
ロンドンの地下鉄の休日線路点検による運休、
祭日の列車や地下鉄の運行の少なさや始発電車の遅さなど・・

でも、それには何らかの理由が何時もあって
そのことに目くじらを立てるよりは
遭遇したことを受け入れてしまえる国民性に
私たちは大きく括って「大人の国」として表現されていることもあります
(まあ、時たま諦め・・ということも言われてること、しばしばですが・・)

しかし、私はその「大人の国」と表現されていることに
ちょっぴり違和感を感じることもあります

そんな時にこの本書の巻末文章に関口さんが綴っていらっしゃる一文に
大きく“そうそう・・そうなんだよね〜”と首を上下に振ってしまいました

・・・中略・・・「なんだ、イギリスってド田舎じゃん!」・・・略・・
そのド田舎っぷりで、日本は完全に負けています・・・

・・・略・・・
日本ではどちらかというと
「田舎に自然が多いのはいいのだけれど不便はちょっと・・」
という感じがあるのに比べて
イギリスでは「田舎で不便でも自然がいい」と、
ハッキリとした温度差のようなものが感じられるのです
・・

・・・中略・・・「先進国」という言葉の方向でいうなら、
変な言い方ですが、イギリスは先進国という体験を通じて、
日本よりも先に何かを卒業したような感じがあり、
そういう意味ではイギリスは今でも日本の先輩なんだなぁと感じました・・・



 


テレビ放映では見られなかった関口感や
毎度のやさしい絵日記、
そして、今回の最大の目玉は何と言っても
要所要所の旅情報





これが訪れた街の観光案内、見所はもちろん、
旅の基本情報として
通貨や電圧などガイドブックのポイントをしっかりと抑えています
イギリスのお城、食事、ウィスキーのついて、
鉄道についての基本情報として
列車の種類から地下鉄含んだ切符の買い方、
パス情報なども解りやすく見やすく説明してくれています

そうみると私なんぞは何てお得な1冊だろう・・・と感激です

きっとこのGWの怒涛のようなピークが終わったら
まだまだ本当の旅には出られなくても
関口さんの1冊とこのシリーズ、
時折何度も観てしまうテレビ録画で
頭の中身がほぐれて
ほっこりとしてしまうんだろうなぁ・・・と・・


    


このページを作りながら楽しんで見ていた
3歳の甥っ子も大好き、という
『機関車トーマス』

きかんしゃトーマスとなかまたち

今までストーリーをまったく知らなかったのですが
英国では時代や年代を問わず人気のトーマスに
私も甥っ子のようにトーマスのファンになりました














こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





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