今月のお薦め本 



〜2006年 6月〜

                                                         

今年は季節の移り変わりが早く
いつもだったら『紫陽花』の月・・という今月です

そして、早くも今年1年の半分まで来てしまった、という節目の月
前半は何をしたかな?何が出来たかな?どんなことを見たかな?
そして・・・どんな本を読めたかな・・?

反省ばかり・・数年前に爆発的にヒットした
お猿の次郎の『反省・・・・』姿が自分と重なるのは・・
きっと私だけ・・・
あの今は亡き次郎が銀座の数寄屋橋付近でお仕事していた姿が
目に浮かびます・・・

さて、自分への言い訳は置いといいて!
後半折り返しに望む今月は沢山愉しい本が読めますように

そして、ご紹介した方々の想いに共感していただけたら
こんなに嬉しいことはありません

そして、来るべき旅に備えて
ほんのちょっぴりの旅への期待や準備に加担できたら・・・

どうぞ、皆様の元気の元になりますように!









パリ季記】



〜 フランスでひとり+1匹暮らし 〜


パリ季記


猫沢 エミ 著   天然生活ブックス  ¥1,333+税  2006年01月初版






すっきりとした表紙のこの1冊
クラクラするくらい様々な著作が並んでいる書棚で
この『赤』がいきなり目に飛び込んできました

先ずはパラパラと中をのぞくと
1ページ目がとても印象的だったのは
黒白の如何にも“日本猫ー”が抱き上げられた著作者の写真
彼女の名前を見ると「猫沢」

猫の本かしら・・でもタイトルはパリ・・・?
そして、中は文字でぎっしりの表紙と同じのあっさり本
読みであるな〜・・・まあ、タイトルからしてみると
著者はこの猫と一緒にパリに住んだのね・・体験記ね・・・・
というのが第1印象の本でもありました

確かに著作者ご本人が旅ではなく
その街に住み、生活を日々していくまでと、
実際は現在に至るまでの体験談をまとめたもの
しかし、読み進むうちに私自身が何故この1冊の文章が
するすると体にストンと
まるで口当たりの良いゼリーを食べているように入っていくのか・・・?
とても、とても不思議な本でした

誰しも憧れの街があったなら、
同じ時間を過ごすなら・・・自分の人生
その場所に住んでみたい、という思うのは同じこと

しかし、実際は自分の元である母国から飛び出して
他人様のお国に住むことの大変さは
実は私自身年齢を重ねるほどに
実感しているのが現状でもあります
そのことについては日々自分との葛藤でもありますが・・・

でも、昨今は若い人々は以前に比べるとその数は徐々に増え
自分のフィールドを広げていっていることは
喜ばしいこととも思います
どんどん広い視野を持つことは大事な経験に繋がるから・・・


今回の著作者猫沢さんは
丁度私達女性がある程度の仕事をしてきて
『このままで良いのか?』と考える節目の年齢30歳を超えてから
大事なこの決断をする
そして、多くの女性が何故考えるか・・?というと
正直もしその年齢でお付き合いをしている男性がいたら
“結婚”か?ということを頭にあるのが当たり前
自然なことだと思う

もう一つ考えるのは
自分が頑張ってきた今までの行き方は仕事につながり
それを更に広げたい、という思うことも自分にとっては・・とっても大事
それは現状も仕事も自分の感じるその時の年齢というのは
『その時』でしかないかもしれない・・

どちらにも選べない、辛い選択にもなります

彼女はその時のパートナーに相談します
そうすると彼女の背中を押して、最後の1歩の手助けをしてくれたのが
そのパートナーでもある・・ということ
それは、働く女性にとっては最上に有り難い、
何にも増しての愛情とも思います
その『後押し』をどんな方向に向けるのか・・?は
もちろん!本人の選択によりますが・・・

そうして、彼女は大事な家族でもある猫のピキと一緒に渡パリを決定します


   


彼女の職業はいつものように巻末を見ると「ミュージシャン」
それなら音楽に対してだったら、よくロンドンへ行くよねー、この職業の人は・・
しかし、彼女は自分を見つめ直した時に
私がいつも感じる、何故英国なんだろう、という気持ちと同じように
彼女にとってはそれは『パリ』だった
だから、きっと誰もが苦労するその街での住処も
彼女の場合はすべてがタイミングよくつながり
強いては彼女が当然パリへいくことは
大きな不思議でもなかったことなのでしょう

2002年からパリへ住処を移してから
そのミュージシャンという1つの職業から瞬く間に
それは映画解説・エッセイなどへ徐々に広がっていきます


  


この1冊はここまでの彼女の現在の世界へ行き着くまでの行程を
とても正直に、
憧れの街をオブラートに包んだような美化を決してしていません
むしろ痛みも不安も後悔も
全てを振り返り冷静にここに綴っています

家族のピキを海外へ連れて行くことの不安、
迷って迷って・・迷い抜いた経過、
渡ったは良いけれど言葉だけでなく
考え方の違いを柔軟に受け止めることへの妥協案、
行き着くまでの困難さは
そういうことがあって当たり前の本音を伝えてくれる、
それは一見楽そうにみえて、1番大変なことであることを
私自身が日々感じることでもありました

だから、彼女が言葉の詰め込みすぎで体調を壊した、ということは
当然あって然るべき事態であること
その人それぞれの感性での違いはあっても
全ての変化を真剣に捕らえていたら、
遅かれ早かれストレスは溜まっていきます
人は感情で左右される動物だと思うことには共感していますから・・・

決して順風満帆な彼女のスタートではなかった、と思います
住処だけは比較的早くに決まっても
生活するための仕事、大事な友人、ピキの環境、
それでも、結局はピキも連れてこれたし、大切な友人が今では出来た
これはとてもとても大変で大切なこと

辛くても頑張れば(ご本人はどう感じるかわかりませんが・・)
きっと楽しいことがあるんだな〜とも思える・・
読み終わった後の清涼感がこれだったのでしょう
しかし、それは単なる彼女にとっては
新たなスタートに過ぎなかったでしょうが・・・

いつか私自身もロンドンの街や住んでみた南西の小さな海辺の街のことを
彼女のように素直に伝えられるようになったらいいなああ、と・・

そして、皆さんにとっても私自身が感じた私達の国との違いの大きさを
こんなにしっかりと冷静に綴っていけたら
もっともっと英国という国への見方が
何通りにも広がるかもしれない、と
切実に感じたことは言うまでもありませんでした



  


最後になってしまいましたが、
本書の内容はプロローグから第1章“私のこと”から進み、
第2章“フランスのことパリのこと”第3“猫沢的パリ”などと
背伸びせずのフランス、パリ案内は私のパリへの貴重なガイドブック

次回ロンドン、パリとすっかりこの経路がお気に入りになった私の旅に
お楽しみが倍増したのは言うまでもありません

どこか懐かしいすみれのキャンディーは
母のお気に入りの一つでもあります
本当にパリではどこでも手に入ります

そんな何気ないものたちへの紹介にもほっとする1冊でした



        










ロンドンとっておきのティープレイスへ



〜英国紅茶のおいしい誘惑〜


ロンドン、とっておきのティープレイスへ


スチュワード・麻子 著   河出書房社  ¥1,500+税  2006年05月初版




この1冊は私にとってはこの半年の中でとても縁があるなーと
思わずにはいられない・・・
そんな本でもあります

この本の著作者であるスチュワードさんは
紅茶に関する肩書きを沢山お持ちの方で
ロンドンのB&Bでご紹介しているアンの家の近く、
Harrowで人気の紅茶教室『Infuse』を主宰していらっしゃいます

実は今回は本の著作者紹介を見るまでもなく
知っていた方だったので
とうとうこういう本を出されたのか・・・と
いつかは作るのではないかしら・・との予感もあったように思います

昨年お客様から
ロンドンでアフタヌーン・ティーについてのご依頼を受けて
様々な資料を漁っていた時に
偶然目に飛び込んだ記事が
この紅茶教室『Infuse』の紹介文でした

場所もアン宅のある地域だし、
そのお教室自体の予約に
数ヶ月も待つほどの盛況振りを報じていたので
単純に凄いな〜、こういうお教室ってあるんだ〜と
頭の片隅にあったことから
今回彼女の初の著作が出たときには
とても興味を持って即手に取りました 

そして、もう一つの大きなきっかけは
実は今回この著作を書かれたスチュワード・麻子さんは
ご本人はまったくご存知ないのだけれど
この2月に友人と訪れた南西部
英国初のEnglish TeaのTregothnanへおじゃました際に
“丁度昨年君達の前に見学に来たのが
同じ日本人女性だったよ、”と
ジョーンズさんが嬉しそうに話してくれたときに
私の頭に真っ先に浮かんだのも
このスチュワードさんでした
(その予感は的中してしていて、ジョーンズさんも驚いていました 

そんな経緯もあり、
私にとってはこの1冊は巡り巡っての
目に見える結果の1つで
とても楽しく、且つわくわくしながら何度も何度も読み返した1冊です 


 


そして、この著作をそうして何度目に惹きつけてしまうのが
写真を担当していらっしゃる
YAYOIさん

この方も別の資料から(ガーデン関係の本)
偶然知った写真家さんです

美しい写真はもとより
目の視点や角度が本当に美しい・・・もっと私にボキャブラリーがあったら・・
もっともっとYAYOIさんの素敵な写真を伝えられるのに・・と
つくづく思います・・

どのページをめくっても
著作者が案内したいティールームの雰囲気や
お菓子の美味しそうなこと 

英国における『お茶』は
大事なのはもちろん、お茶の味もそうだけど
その場所・空間の居心地の良さ
ただでさえ、人様の国での時間だから
どんな旅人も常にどこか神経が張っているものです
そうした気持ちを寛がせてくれる・・・
ほっとする時間や場所を提供してくれるものとしての
『ティータイム』
初めての街でそんな宝物のような場所を見つけるのは
至難の技です

ですから、ご自身のお好みの空間を見つけるのを
手伝ってくれる1冊としても
目で見ることが1番

時として、その場所が実際は想像と違っていることもございましょう
しかし、そんなことが例えあったにしても
それはYOYAIさんの1枚の写真からの雰囲気が
その時にご覧になっていた気持ちと共鳴していたのでしょう

その時はせめて目の前にある美しいお菓子を愉しみましょう
それだけは確かなはずです 




3段重ねのこのスタンドはやっぱり本場で・・・


その場所の息遣いまできちんと目で伝えてくれる
この1枚の写真は何にも増して嬉しいもの
どのページの写真も見ているだけで
行ってみたくなる、見たくなる、味わってみたくなる・・・わくわくします


  


この本でのご紹介は
先ずはPart1.ロンドンで愉しむアフタヌーン・ティーと題して
『クラシックなホテルのアフタヌーン・ティー』から始まり
『特別な日のアフタヌーン・ティー』、
『エスニックなアフタヌーン・ティー』
『アフタヌーン・ティーのニュー・ウェイブ』、
『カジュアルに愉しむティータイム』
『話題のスィーツでティータイム』

Part2.自宅で愉しむ英国紅茶では
『ロンドンで買うお茶』
『英国のティーアンティーク』
『英国式紅茶の愉しみかた』で構成されています


Part1.では自身もお客さまにお薦めしたホテルのティールームや
ロンドンに長く在住している友人達が自らのお気に入りで
連れて行ってくれた場所や薦めてくれたお店などが
紹介されていたり
まだそうしていながら行ってみることができず
今度は絶対!と思っている場所のなんと多いこと!
嬉しくなってしまいます

そして、こちらのでのサイトでもご紹介している
ミュージアム内のティールームとしても1押しの
ウォレス・コレクションの“The Cafe Bagatelle”
美しい写真で紹介されているなあ〜
本当にこちらはお薦めです!

また、各章のどれか一つに絞って・・と言われたら、
絶対次ぎにはずせないのが
『話題のスィーツでチィータイム』の中での
“William Curley”

お二人ともパティスリーという
スコットランド人の旦那様と日本人の奥様で開いた
ロンドンのちょっぴり郊外リッチモンドの小さなチョコレートショップです
現地在住の方々の口から何度その名前を耳にしたか・・
とても話題になっています
前回の旅では伺う時間がなかったことが
どれほど口惜しかったことか・・・
でもきっとこんな思いがあるから
また次回の旅への期待が大きくふくらむのでしょうね・・・



旅の愉しみとしても大きな割合のショッピングにも
これまたはずせない英国でのお買い物にやっぱり“Tea”

話題の先端にも自身の愉しみにも日本では手に入らない
オリジナルのショップの美味しいお茶が沢山あります
そんなお茶を選んだり、手に入れたり・・にも
この1冊は様々な情報を提供してくれています



どうぞ、次ぎの旅へのガイドブックの1冊に加えていただくこと
請け合いのお茶の本

私は今からどきどきしながら
毎回ページを繰り返しめくってしまいます 



        




【余計なおまけ】



我が家の現在のお茶

06年6月現在の我が家でいただいているお茶たち

@ Twining社のLady Grey Tea : ご存知の方も多い最近は日本でも手にはいるようになりました
A London Tea : ヒースロー空港のウィッタードショップで見つけました
  ロンドンの地下鉄路線図とロンドン名物2階建てバスの絵柄缶

B English breakfast Tea
C Classic Tea : 英国産のお茶TregothnanのEnglish Tea
E Aftaernoon Tea
D Tetley tea : 唯一のティーバック オフィス用には欠かせないお茶です
F Maxim's de paris Earl Grey : 友人からのパリのお土産 アイスティーにもホットにも常備銘柄です
G Japanese Bancya : Tea Palaceにて初めてみた番茶 ロンドンでも人気銘柄だそうな・・


改めて並べると・・・ちょっと驚き・・
それでも次回の旅に加えたいお茶が新たに出てきてしまったのに・・・・












こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





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