今月のお薦め本 



〜2004年 7月〜

                                                         
さあ!今年1年の折り返しの月です!
前半は何をやり遂げ・・・成し得たか・・・?と、問われれば困るのは『私』
です・・・

気がついたら梅雨の真っ盛り、と思いきやこの体温に近い気温の続くこの月の始まりには
暑さの苦手な私は、ただただぼーーっと過ごすわけはなく、せっせせっせと働いています
それでも、やはり1年で最も長いお休みをどうどう(?)と取れるこのサマーシーズン 


旅立たれる皆様も多いことと思います
そして・・・私のようにただただこの夏は働くのよーーっと言う皆様も・・・
揃って楽しんでいただけるような彼の国に関する本がそばにあるだけで何故か心穏やかになるものです・・・

また、昔々夏休みと言えば先ずは思い出される『読書感想文』


どうぞこの間は私の読書感想文にしばしお付き合いいただければ・・・とお願い致します

さて、今回も様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!




イギリス暮らしの雑記帖
a Little piece of England

河田 ヒロ著 KKベストセラーズ 定価¥1,550+税 2002年10月初版




イギリス暮らしの雑記帖 とにかく!!何はともあれ!表紙!!
すっごくかわいいと思いません?!
私はタイトルよりも先ずこの淡いイラストのかわいらしさが目に飛び込んで
迷わず手に取っていたのが・・・この本でした 

 
著者の河田ヒロさんは1959年東京生まれイラストレーターさん
彼女が1994年から5年間ロンドン郊外のウィンブルドンで暮らした
様々な日常感じたことや生活の様子を綴ったエッセイ集です
ステーショナリーグッズのイラストレーターを経験され、
その後渡英 1999年額装用アートポスターが
英国の会社からワールドワイドに発売され、
現在までイギリスの人気女性誌『COUNTRY LIVING』の
レギュラーイラストレーターを務めていらっしゃる 
2002年から2003年に東京で作品展を開かれています

・・という現在両国で活躍中の著者です

女性が持つ英国のイメージには
この河田さんのやわらかい絵にとてもリンクしていると思います
そして・・この著作に散りばめられた沢山のイラストだけでなく、
この1冊は河田さんの見てきたロンドンや近郊の街々のご紹介も
ちらほら・・・決して読み飛ばすことができなくなるくらい・・・
そして、何といってもこの国の様々な『雑貨』に
とても詳しく綴ってくれています

それは生活の中から、何百年前にも遡る身近な雑貨から、
散歩の途中に誰もが目にしているものから・・・


実際にロンドンには楽しいおもちゃ箱をひっくり返したようなマーケットが
常にどこかで開かれています
そんなマーケットを訪ね歩くのはもちろん楽しいのですが
わざわざ出かけなくもご近所の公園に素材ごろごろしている物達のこと、
お散歩に出たついでに見てまわる家々のプレート、
ちょっとした旅先での道すがら目についた拾い物での素敵な発見、
訪ねたミュージアムから自分で作品を作ってしまうちょっとした工夫・・
とても皆簡単なことばかり

そして、それはとてもどれも素敵な発見になっています 

本書は第一章から第七章まで
「小さな骨董」、「London Town 街を歩き、時を旅する」、
「暮らしをいろどる小物たち」、「散歩で見つけた宝物」・・・
どの章から読み進んでも大丈夫 

とてもやさしい文章の語り、
気持ちがもう河田さんの暮らした時間にトリップしてしまうような・・
そんな気分になれます


この1冊を読み終わると大好きな『雑貨』は
自分の気に入ったものをお店で購入することはもちろんですが・・
自分の手で作った物達もいいなあ・・と素直に感じます

それって正しく手作りのぬくもりを長い時間をかけて大切にする
『英国魂』にも通じるものだと思いました

河田さんの綴ってくださったこの1冊は生活から旅から様々に楽しめます
どうぞ!先ずはお手に取ってみて下さい
いつの間にか一人で笑いながら読むご自分のお姿に驚くかもしれません・・








イギリスのお菓子 楽しいティータイムめぐり

北野 佐久子著 集英社 定価¥695+税 2004年1月初版



イギリスのお菓子 楽しいティータイムめぐり 私にとっては久しぶりの北野さんの最新刊
この季節にもし英国・彼の地へ旅が出来たら・・・・
きっと車で・・・という私にとっては『夢』であり『目標』の旅が実現できたら、
是非この著作でご紹介してくれているカントリーサンドの
素敵なティー・ルームで『お茶』するのだ・・と、野望を抱きたくなります


このコンパクトな1冊には素敵な写真と
北野さん御本人の笑顔が散りばめられた写真で綴られた
イギリスのお菓子についての1冊です
現在は休刊となってしまった料理誌「TANTO」という雑誌に
2年間連載していた北野さんのコーナーをまとめたものです

彼女の本はどれもそうなのですが、決して旅のガイドブックではないのに、
必ずポツン・・ポツンと旅したくなるヒントが落とされています
それはこの1冊をイギリスのお菓子の作り方の本として読むか?
又は、お菓子を一つの指針として旅のヒントの本として楽しむかは
手にした私達が自由にこの1冊を使えるなあ・・・と思うのです・・

彼女はこの本の最後のページに記しているように
〜中略・・粉と砂糖と卵というどこの家庭にもある材料で、
しかも特別な技術を必要とせずに作られるのがイギリスのお菓子です・・中略・
イギリスへ旅行されたらスーパーマーケットをのぞいてみることをおすすめします
製菓材料が充実していること、
粉や砂糖の種類の多さに驚くことでしょう・・〜

普段いただくことばかりで、作ることには“鬼門”の私ですら
この一節にはつい近所のスーパー・マーケットを先ずはのぞいてから、
彼の地へ行ったら大好きな巨大スーパー・マーケットの売り場を
一つ一つ見比べて狂喜乱舞するだろうな・・どのくらい違うのかしら・・?と、
想像ばかりがどんどん膨らんで・・・いつものマーケット巡りに拍車がかかります 

“春から冬の四季それぞれのお菓子”を先ずコラムで、
そのお菓子一つ一つのレシピ、
その後は“英国の代表選手の「スコーン」”、
“ご友人のご自慢のお菓子レシピ”、“旅で出会った素敵なティールーム”
(ここが私の憧れの旅の目的の一つにつながるわけです・・・)
など惜しげもなく紹介してくれています
その一つ一つの写真も見るからに実際は見てみたく、
又、食べてみたくなるものばかりです 

特に最初の“四季のお菓子”は私が1番長く旅していた時に度々訪れていた
Sidmouthでのホームスティをしていた家庭のロイが作ってくれた
日々のデザートが正しくそのお菓子でした
家族みんなが楽しんだデザートそのものだったことに、
私は数年たった今でもその味を思い出し、懐かしむことができます 
それはアップルクランブルだったり、ルバーブフールだったり、
トライフルだったり・・・
当時はその一つ一つのお菓子の名前よりも
毎日変わる夕食後のデザートが全て彼の手作りだったことや、
その美味しさに家族みんなが和やかに過ごす食事の最後の時間として
私自身が酔いしれていたからかもしれません
フランスのお菓子のように華やかでも、
ベルギーのお菓子のように深い味わいというよりも、
むしろイギリスのお菓子はそれぞれの家庭の味、
素朴で決して繊細というには程遠いかもしれません・・
しかし、作り手が自分の家族の為にだけ・・・という
その一言に尽きるような・・そんなお菓子がこの国独特の味なのかもしれません・・
北野さんのこの1冊からそんな気持ちが充分に伝わってきます 
ですから、是非他の国では・・味わえない『イギリスのお菓子』の味を
彼の地でのティー・ルームという旅する私達には家庭の代わり、
そして我が家で楽しむこともできるご自身が作り手になる、
我が家の『イギリス』を・・どうぞこの1冊から・・・・

いまこの時期だと必ずロイが作るデザートには
サマープディング&濃厚なヴァニラアイスクリーム添えが加わるはず 

今すぐにでもSidmouthへ飛んでいきたくなるという私の気持ちを
きっとこの1冊からご理解していただけるかと思います・・・






【イギリスの道】
〜フォトジェニックな英国記号論〜

山本 睦著 松柏社 定価¥2,400+税 2003年12月初版発行



イギリスの道 目についたのはこの表紙
白っぽい空にすっと伸びた明るいグレーの道にまっすぐと進む老人、
その奥のいかにもゴシック様式の堅剛な城・・・・正しく英国・・
この風景・・・ウィンザー城・・・
タイトル通りの『イギリスの道』
果たしてその1冊は・・・・難しかった・・・私には・・・・


著者は山本睦氏 1968年生まれ 1991年から92年ケンブリッジ大学
クィーンズ・コレッジ、1993年から96年ランカスター大学に留学 
そしてこちらの大学の講師などを経て、現在は同志社大学助教授


全編を通してご自身の留学中または渡英された時に写された写真を元に
その1枚1枚に示された『記号』を解説されていらっしゃいます

1998年にご出身地でもあられる京都の法然院というお寺のギャラリーで、
「イギリスの楽しい風景たち」という題名の写真展を開かれた時
『ほとんどが道の写真ですね・・』というコメントを見学者さんからいただき、
ご本人の中でその『道』という潜在意識の性質が占めす
一つの常用な『記号』であることに初めて気づかれたそうです
そして、そこからこの様々な風景が織り成す『イギリスの道』について
私には哲学的とも思えるこの一冊が出来上がったとのこと
正直・・手に取った最初の印象を覆すかのような内容に
読み終わった現在でも私の中では『やっぱり・・これ哲学・・?』


本編は第0章「道」にまつわる経緯から始まり、
第1章「道」の中に「記号」を読む、第2章湖水地方の羊のいる道、
第3章中世の回廊、第3,5章幕間ギャラリー、
第4章「ロング・ウォーク」に端を発する話、第5章水の道、
第6章写真から抜け出して「現実」の「道」へ・・・
一章一章に散りばめられた写真に写る「記号」を綴って、お話は進んで行きます

其れは私達の普段旅で撮る写真とは意味合いが違う、
とても不思議な見方です

哲学』というものを実際はあまり知らない私・・・
そこはかとなく一種の宗教的な静けさの中を著者の一つの見解により
彼の目の高さでその写真を見ていくと、
写されていく枠の中の登場者が何故そこに存在するのか・・?の
意味の深さが伝わってきます
そのことを著者は『記号』として、一つ一つを解き明かして本書は進みます
しかし、そこには英国の日常的な写真が色鮮やかに写されていて
難しく考えるよりも先に目に飛び込んでくる風景が雄弁に物語っているように・・・
私には思えるのです

本来は著者がこの1冊に込めた想いに対して私の見方はちょっと(大分・・?)
違うかもしれません
例えば湖水地方の夕暮れの写真や
この表紙のロングウォークの写真、
パブの窓から見える風景、
ランカスター郊外のウォーキングコース、
ケンブリッジ・コレッジ構内の、ケム河のパント、
その1枚1枚に英国らしい「記号」を感じる・・
そして、そんな風景を自分なりにこの目で見てみたい、
その場所へ行って見たい、という想いが湧き上がってくるのは
決して私だけではないはずです

四季折々の英国の風景を感じる1冊として・・・
お薦めしたい重みのある著作です










こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
その旨ご了承の上、お楽しみいただけたら幸いです
  





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