今月のお薦め本 



〜2005年 05月〜

                                                         
1年の内で最も旅をするのにお勧めの時期は何時ですか?・・と、いうご質問を多くいただいてまいりしたが
毎回“5月です”とお答えさせていただいております
この年の本格的な『イングリッシュ・ガーデン』シーズンの幕開けの月でもありますし・・・
6月という月も良いのですが、何よりもお天気が安定していること

街中、村でのカフェやパブでのアウトサイドの席が自然と争奪戦の季節到来でもあります
今まで私達の感覚では外の席では寒いなーと感じたのが嘘のような日も続きます
どうぞ、機会がありましたら、外の席でのゆっくりとした御時間を堪能下さいませ

もし、御時間が許すなら・・・・どうぞこの月でのご出発を!
私も今すぐにでも飛んで行きたくなる・・・そんな5月です!

さて、今回も様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!






英国パブの誘惑



英国パブの誘惑.


前田 己治子 著  双葉社  ¥1,700+税  2000年7月発行





元々飲兵衛の私にはこのパブリックハウスであるパブってなんて良いところだろう・・・と今はつくづく思うようになりましたが
実際はパブへ入れるようになったのは10年にもならないかもしれません

一人旅のまだ始まりかけていた頃はどうしても足を踏み入れることが出来なかった・・・
それは、あの重厚な扉の先にはその地に足をきちんと踏み締めて生きている人達の生活へ
ずけずけと無作法に入り込んで行くような気がして仕方なかったこともあった、と思う
もちろん、日本に居ても一人で外に飲みに行くことはなく、友人達とのおしゃべりが主の連れ立っての飲み会がほとんど
又は仕事後の切り替えとして・・・・
だから、人様の国に来てまで“おらが村のテリトリー”におじゃまさせてもらうのはなあああ・・・
それに、注文の仕方も日本と違うし、第一言葉も判らんし・・・というのが主な理由だったように思います

しかし、それは何時の頃からか訪れた場所での食事する場所が唯一パブしかなかったような、単純な理由か?
宿のおかみに食事の美味しい一人でもゆったりできる場所はどこか?と訊ねるとパブだったのか・・?
定かではないけれど
今では旅に出ると積極的に丁寧に食事場所は先ずは“パブ”

  

著者の前田己治子さんはご年齢は失礼ながら不明なのですが、
中央大学法学部ご卒業後、婦人誌・経済誌などのライターを経てラグビー観戦ガイド誌の編集長を務められたとのこと
そのラグビー観戦後に様々なパブに通い詰めた結果として、この本書が作られたそうな・・・

第1章から第6章まで
パブ散策、パブ宇宙の法則、パブとグルメの両立という命題、
パブで華麗に遊ぶ、変わり種のパブ、お国変わればパブ変わる
そして、必見は巻末の英国へのパブ旅行ガイドとロンドンのお薦めパブガイド
改めて、パブってこんな種類があったのー、とか
そうそう・・そう言えばそんな風に頼むんだっけ・・・とか、
そういう形でのリラックスする場所としてパブ利用してもいいのかー、とか・・・
改めて気がつくことも多かったです


“パブのドレスコード”・・・なんていうのは女性の旅人にはとても嬉しい本音の案内
旅を続けていると自然と動きやすい服装と靴になり、
ちょっとしたお洒落着(私の基準はワンピース)は敢えて持参していません
そんな時はやはりその服装に応じた場所(パブ)は居心地の良いものです
それは、普段日本に居ても自然と考えることなく行っている行為ですが、
旅に出るとなると妙に気づかないこと
それは一人の場合でも、何人かと連れ立っていく場合でも、
ちょっと立ち止まってのそこへ行く前のちょっとしたことに気がつくと、
その後の自分にとっても更に気持ちの良い時間が過ごせるかもしれません


男性陣にはパブでは飲むだけではなく、仲間で訪れた時の“もち周りの法則”
この持ち回りの法則については、特に男性陣(に限りませんけれど・・・)には知っておいてほしいなあ、と思います
英語学校時代とかの仲間何人かで連れ立ってパブへ行く事って結構ありました
そんな時は一人づつ連れ立ってカウンターへ飲み物を注文しに行くのではなく、
その中の一人が先ずは先に皆の分の飲み物をまとめて、注文し、支払いを済ませる
そして、2杯目からは次の人が同じように注文を聞いて(又は、なくなりそうなグラスの持ち主に聞いて)
カウンターへ行って注文、支払いをする、ということ

さすがに大人数だとその順番が一巡するかどうか?はメンバー構成にもよるのですが(全員が飲み助とは限らない)
その際は割と年長者から回ってくれて、
気のつく年少者は適当なところで乾き物を買ってきて皆でつまむ・・・なんてことがありました
その“年少者”部分には少ない女性が、ということもあったし、
実際は飲み物だけだと我が国の飲み代に比べると安価ですから 
そして、次の飲み会にはその回り方が前回と違っていたり・・とか・・ね 
そのさりげなさがかっこいいなああ、と思ったものでした 

しかし、女性2〜3人だけでの飲み会には、
カウンターの混み具合によっては交代に一人づつ注文・支払いでもいいんじゃないかな〜と思います

  

第6章の『お国変わればパブ変わる』は、
ご存知英国の中の4カ国
イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド(ここでは連合国の北ではなく、共和国のお隣の国ですが・・)での
パブの雰囲気の様子のこと
確かに四カ国のパブではそう感じることも多いかも・・・
でも、それぞれのお国の中でも何万と存在するパブはチェーン店(これってとっても残念・・ )であっても
一つとして同じお店はありません

どうぞ、ご自身が重い扉を開けた、その瞬間に感じて下さい

  

そして、巻末の『英国へのパブ旅行ガイド』では、
“どの季節を選ぶか?”の項目では
前田さんも賞賛!?
ベストは5、6月?
“・・・略・・・5月になるとやっと英国は春を迎える。この5月と6月が英国のベスト・シーズンとされる。
この頃は日が長く、日没時間は8〜9時。
夕方から1,2軒のパブを覗いて、9時頃帰ってもまだ帰り道が明るいというのもポイントが高い。”

I think so !  






ロンドン パブのメニュー】



ロンドンパブのメニュー


城 アラキ 著  アスペクト  ¥1,500+税  2000年9月発行




著者のお名前で、すでにお判りの方も多くいらっしゃることと思います
ワイン漫画「ソムリエ」の漫画原作家の著者はそのものズバリのこの1冊を創り上げています
ご自身も一仕事を終えて、その日のお酒に合わせておつまみを作るのが息抜きとのこと
本文の“PROLOGUE”で述べていらっしゃるように、
・・・・略・・「世界で1番まずい料理」と言われてきたイギリス料理だが、
これまでイギリス料理は誤解されてきたと断言したい。
ここには近郊の素材をただ素朴な味つけで手早く調理するというパブ料理の原点がある・・・略・・・・


  

現在の英国のパブは立派に“ビストロ”と呼ばれ、
遠方からわざわざその一皿を味わいに駆けつけるほどにまで急速な成長を遂げている昨今
つい5〜6年前までの一般的なパブのお料理と言えば

著者が述べているように“素朴”なものだったと思う・・・

しかし、次のページに「おつまみ3原則」述べていらっしゃるように元来お酒のためのお料理は

      @おつまみはワンショット・・・焼く・煮る・炒めるなどなどの調理が一つだけ
 Aおつまみはワンアクション・・・作業は一まとめに済ませてしまう
                        用意の下準備を一気に行って周到に!
              Bおつまみは丁寧に・・・矛盾しているかもしれないけれど、前日からの下準備を丁寧に
                         夕食ではなく、お酒のおつまみ、とあれば楽しみになる

と、強調された上で全編愉しいパブ・レシピが続きます
チーズ、野菜、卵、魚、肉、パンなど英国のみならず
私達の国で、普通の冷蔵庫に潜んでいる食材で 
見ているだけでも嬉しくなるメニューと手軽な・・・イエイエ丁寧に作られた逸品の集大成
それはビール(エール)、ウィスキーと、そしてお酒の後の甘いものまで・・

ビール(エール)の注ぎ方、ウィスキーの一口薀蓄
先ずはこの一冊を用意して、週末の「自宅パブ」も
楽しんでみてはいかがでしょうか?











【ハリー・ポッター謎への旅】

英国を旅するための24の魔法


ハリー・ポッター謎への旅


辻丸 純一 写真  植木ななせ 文   雷鳥社  ¥1,000+税   2002年11月初版




楽しい絵本のような1冊です 
しかし・・・この本の魅力は全編溢れる写真プラス!があるのです


著者のご紹介が先にきてるのは、この本の中の沢山の美しい写真を写した辻丸さん
そして、次に魔法を24個ご紹介している植木さん

この1冊の中の写真はどれも本当に自分の目で見て、実際にその風景に自分の体を置きたくなるような・・・
そんな旅の風景にも通じる写真ばかりです

しかも、その風景はあの!『ハリー・ポッター』の背景だったり、撮影現場だったり、の場所ばかり!
今にも肩に真っ白いふくろうのヘドウィグをのせたハリーや
黒い帽子に黒いマントを羽織った魔法学校の生徒達とすれ違いそうな街並みや教会、お城ばかりのご紹介 

  

写真ご担当の辻丸さんは1948年お生まれの写真家さん
世界の様々な国の写真集も多く手がけていらっしゃいますが、
中でも「英国=湖水地方 四季物語」、「英国で1番美しい村々 コッツウォルズ」とあり、
この国の素晴らしい場所をすでにご紹介されていらっしゃることでも著名です


文の植木ななせさんのご紹介には・・・こう記されています

はじめての人にもわかりやすくイギリスを案内
・・・中略・・・今回はハリー・ポッターに手伝ってもらい・・略・・・たくさんの方々にイギリスの良さをしっていただきたい・・・

申し訳ないことに文ご担当の植木さんについてはこのご紹介文から想像するしかありませんが・・・
しかし、本文に散りばめられたハリーの物語からの引用や
智恵の賢者ふくろうのヘドウィグの注意文に描かれたイラストは植木さんのものならではものらしい
そして、緑の丘と羊、お城の表紙に描かれた杖と黒いマントの魔法使いもきっと 
それらから彼女を想像するのも面白いかもしれない、と思います
だって、正体がまだまだ明らかでない魔法使いに関係する1冊の著者さんなのですから・・・

  

私が最もこの本を手に取って読んでみたい、と思ったのは、
裏表紙の〜どうやら、イギリスに行けば魔法使いになれそうだ。〜と、いうフレーズ

もう!!本当にそう思えてしまうのは、
ロンドンの街の中心地でも、“あれ!?さっき通った時この道あった?”とか・・
北の首都エディンバラのクローズと言われる幾つもある、小さな小さな暗い路地道、
ヨーク付近の緑の丘にそびえる要塞のような朽ちかけたお城・・・

曇りの日の多い秋や冬にはまるで魔法使いの修行の日々、とも思える雲の低い湿ったお天気
それでも、この季節の空気の澄んだ朝が多いことや寒い日の靄、
反対に夏は私達がびっくりするくらい陽が落ちない日が続く・・・・初めての英国の夏は逆に薄気味悪かった・・・

この国にいると・・『魔法使い』になれそうな気が本当にする


  

本を開くと先ずは英国の地図にそのハリーのように私達でも魔法の使い方を覚えることのできる?として
相応しい場所や見てみたい場所が記されています

それは、ロンドンから始まってオックスフォード、グロースター、コッツウォルズ、ヨーク、エディンバラまでと広範囲に渡っています
そして、この本の真の目的でもある一説が
〜魔法使いになる可能性がほんの少し残っているあなたのお手伝いをするための本です〜

24の魔法は、魔法1ロンドン動物園からオーストラリア大使館、キングズ・クロス駅〜魔法24大学の食堂まで続きますが
その1つ1つの場所には行き方や何故そこへ行くか、のわけ
ハリーの物語になぞられながら、何時の間にかこの国の不思議の場所を辿っている・・・という

魔法10の一説は、「いろいろなものに興味を持つことは、すばらしいひらめきをもたらす」
ハリーの物語を描いたローリングさんが執筆したと言われる
エディンバラ駅から徒歩20分の『ニコルソン・カフェ』を案内しています
・・・中略・・・レストランの椅子に座っただけで素敵なひらめきと出会えるかもしれません・・・
天井は高いけれど、何となくちょっと薄暗い外を眺めるのに打ってつけの2階のカウンターは
道行く人々を観察するだけでも何時間でも座っていられそうです

魔法12の一説は「不思議だな?と思うことで進歩する・・・略・・」
好奇心で人は様々なものを発明し、進歩させてきて、
現在に至っているものたちの何と多いことは・・すでにご承知のことだと思います

旅の始まりも、自分の目で見たい、これってなんで?と思うことから居ても立ってもいられなくなり、
リュックしょって飛び出るきっかけになることは、決して少なくありません


  

この1冊はタイトル通り素敵な『旅本』です
ちょっぴりハリーにも手伝ってもらって 

これから思いも及ばないくらい陽の長い英国は、私達の“不思議”をどーーんっ、と受け止めて
納得のいくまで考えさせ、惜しげもなく見せてくれ・・・・
そして、何度もこの国へ戻ってしまう魔法を私達にかけてしまうことでしょう・・・


この1冊でこれからの旅の予定が容易に出来上がること請け合いです 







こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





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