今月のお薦め本 



〜2006年 07月〜

                                                         

暑いーーーーっっっ!!”

これは今月のロンドンからの声です
前半は4年に1度のサッカーワールドカップに押されてしまったけど
ウィンブルドンの試合もゴルフの全英オープンも
観ていても暑そうな強い日差し
今年こそはクーラーがほしい!!との声も多く聞きます
それでもアンの庭ではきっと大きな日よけの傘を出し
その日陰でジンジャービアをいただきながら
本をとっぷりと飽きるまで読んでいたい・・・というのが
私の当面の夢・・・

そんな大きな(?)な野望を抱きながら
この湿気の多いまだ梅雨を乗り切れない我が国での生活に
「夏こそオフィス仕事が大好きさっ!・・」とななめに構える私は
夏・湿気はベーコンに並ぶ苦手なもの・・・

早く秋にならないかな〜と
今日も某航空会社うちわ片手に本を読み続けています

そして、その本が少しでも英国に関係していて
次ぎの旅の参考になったり
行けない寂しさを紛らわしてくれる1冊だったら・・

そんな中から旅に少しでもお役に立てればこんなに嬉しいことはありません 




ハーブマージョラム




ロンドンの勉強

〜 ワクワクの探し方 〜



ロンドンの勉強



浅見 帆帆子 著    グラフ社   ¥1,200+税    平成16年11月初版





先ずは表紙のイラストが可愛らしく
ぱらぱらとめくった内容も読みやすいのでは・・・?と
手に取ったときの第1印象でした

そして、本当に読み進んで行くうちにざくざくと読めてしまう文体は
好感が持ててあっという間に完読ーーーっ!と 
楽しめるロンドンの若い女性の生活ぶりが
タイトルそのままに描かれています


   

著者の浅見さんは大学卒業後
偶然にしてロンドンへ行くことになり
22歳にしてご自身の『やりたいこと』を見つけに渡ります

その約9ヶ月間のロンドン滞在時での
生活、体験を日記風に綴っているのが本書です

先ずはロンドンでの英会話学校に通い、
その間ホームスティを経て
ひとり暮らしをロンドンで行うべく
そのためのお部屋探しから
英会話学校を終えて
いよいよ“自分の好きなこと”を見つけるための道程
また、見つけてからの勉強の様子

現在はこの1冊のエッセイ本から
ロンドン帰国後は更にエッセイストとしてもご活躍とのこと

そして、ロンドン滞在中に見つけた“好きなこと”は
まだ日本では少ない分野の『ソフトファニッシング』については
現在はインテリア関係の書籍発行もされて
幅広くご活躍されているようです

その『ソフトファニッシング』というのは
英国でのDIYの延長線にもなるのかな〜
本書からの説明だと
“イギリス式ベッド・リネン、クッション、テーブルウェア、カーテン、ソファのカバーなど
インテリアの中のファブリック(布地)関係のもの全般を作る・・・中略・・・”とあります

例えばベッドカバー、枕カバーなど
日本のベッドにはあまり見かけませんが
英国のB&Bに宿泊するとほとんどのベッドの頭についている
半円形を少し山型にした形のヘッドボードなどの作成
カーテンやカーテンロールのひだなど・・・
ミシン1台で結構家庭の主婦でも作ってしまう方も多いそうです
そのような女性(?)分野の英国誇る国民の趣味率高いDIYの一つ


以前ロンドンでの大先輩のご友人で
ロンドンへ年に2回いらっしゃり
その際に布地をどっさりと仕入れて
日本でオートクチュールのお洋服を作っていらっしゃる方がいました

その方がおっしゃっていたのが
「日本に比べるとこちらの布地は本当に素晴しいものが沢山あるのよ。
でも、残念ながら仕立ての時に失敗してしまうのよね〜」
全部がそうではないでしょうが、
一般的に私達でも手の届く衣類の中には
“布地は良いのに仕立てがな〜”と思う時はしばしば・・・

彼女は小柄な体で毎回山のように様々な布地を仕入れては
日本でのお客さまのために素晴しいお洋服を作っていたそうです

ですから、この著者の浅見さんがロンドン滞在時においての
「布地」への探求に辿りついた経緯は
その時の女性カズさんの言葉をしみじみと思い出しました

そのような素敵な布地に囲まれた生活だと
自然に手作業に対する興味もわきますし、
お洋服だけではなく、
文化・季節などで我が国以上にインテリアに興味深いヨーロッパの方々の探求にも
拍車をかけているのでしょう・・・

そういえばロンドンでのリバティーの布地売場は
私でさえもまるで美術館での鑑賞のように
何時間でも観て回ることができますもの・・至福の時間です


   


さて、本書は第1章のホームスティの生活と語学学校
第2章のロンドン一人暮らし
第3章のやりたいこと見つけた!!
第4章の発見!!お宝の山
第5章のイギリスと日本の習慣、文化観察
第6章の遊ぼう、遊ぼう、
第7章の帰国3週間前
と続きます

それぞれが22歳の大学卒業したての若いお嬢さんの感性を
素直にそのまま書き綴っている文体と
著者のイラストが全面に元気よく踊っています

全ての方々が著者の生まれながらにして持っている
『運』や『環境』には当てはまりませんが
それでも毎回ロンドンへ行くたびに見かける若い世代の
明らかに旅行者ではない方々の内
残念ながら彼女のように常に前向きに何かを追う、ということを
し続けるパワーを感じることができない・・というのも事実です

彼女は『プロローグ』の中で
・・・略・・・いろんな形の留学があるけれど、「なんとなく行きたい」というにも立派な理由だと思う。
間口を広く、いろんなことにアンテナを張っている滞在というのは
今までの自分では考えられなかった方向の分野に興味が広がる可能性がある・・・略・・・

彼女の場合はご両親、
特に母親の後押しという最大の援助があってこそなのだけれど
現在はそのような環境を持つ若い方々は少なくないと思う

しかし、一度親元を離れてしまうと
言葉は悪いけれど『流されてしまう』若い人たちを
目の当たりにしてきたことも事実

初めての滞在のロンドンではないけれど
観光とは違う目の高さで暮らしたロンドンの素顔を
素直に驚いたり、喜んだり、怒ったり、泣いたりした彼女のこの1冊は
夏休みに是非読んでいただきたい1冊なのです・・・


特に第1章と第2章はこの国での始めてのホームスティをされる若い方々へ
又は個人旅行が始めての方々へ・・・
おそらく共感されることがとても多いことと思います

お出かけになる前にご一読されるか・・?
帰国されてから“そうなのよ〜”と共感されるか・・?

又は私のように『若いって元気だな〜』と感じるか・・・?

いずれにしても『夏休み課題図書』って感じでお薦めします 



      



ハーブベイリーフ







こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです





Top New ページのTop 

03年 9月 10月 11月 12月

04年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

05年 1月 2月 3月 4月 5月 6・7月 8月 9月 10月 11月 12月

06年 1・2・3月 4.5月 6月 7月 8・9・10月 11月 12月

07年 1・2月 3・4月 5・6月 7・8月 9.10.11月