今月のお薦め本 



〜2003年 12月〜

                                                         

早いものでもう12月・・・師走です・・・

日が徐々に短くなってきて、
16時頃から外がブルーに染まり始め夜のトバリが降りる前のほんの一瞬が好きです
英国はその陽が更に更に短く・・
暖かくしてマグティー片手に本でも・・という季節突入です

1日中お尻が痛くなるほど、本を読むことができたなら・・夢ですね〜〜
サンタさん・・ 1日30時間はほしいです〜〜





さて、今回も様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!


                                   



【ヨーロッパ鉄道ハンドブック】

地球の歩き方 BY TRAIN ダイヤモンド・ビッグ社 定価¥1,200+税 2003年初版



やっと個人旅行のバイブルともされていた
“地球の歩き方”からのご紹介本です
私達が個人で旅行し始めた20数年前はこのガイドブックが
誕生したからこそ・・この1冊で何も怖いものはない・・と
感じさせる程の絶大な人気の本でした・・・

それから幾く星霜・・様々はガイドブックが後に続きました
それでもこの本シリーズは
この業界トップを走り続けていると思っています・・・

しかし、昔からの1読者は最近ふと思うのです・・
この頃は小さい宿の紹介が少なくなったなあ・・
其の情報ってポイント高かったのになあ・・・と・・・・
まあいろいろと事情がおありなんでしょうが、
昔からのファンとしてはちょっぴり寂しくなりました・・
・・と思っていたら・・
左の1冊が出て、さすがはダイヤモンド社さん 
初めてのヨーロッパ鉄道旅行には必殺の1冊です 
ああ・・20年前にほしかったなあーーとつくづく涙が出ました
ユーレイルパスは手に入れたけど、どうやって使うの?
何が得になるの!? どこまで使えるの?
という個人旅行者には喉から手が出るほど
知りたい情報が満載です

しかも!他のシリーズとは違って何よりも小さく軽い!!
これってとっても(私にとっては!)重要です
すぐ取り出せるサイズと手軽に使える重さで
他のシリーズより数個の頭飛び出て利用できるのでは・・・?
(他の・・歩き方は重たすぎて、大きくて目立って目立って
敢えてカバーつけて持っている方もいらっしゃるのでは・・・?
私がそうでした・・・ごめんなさい・・・)

基本はユーレイルパスが使える国々&英国も紹介しています
何度も利用しているパスにこんなに使いようがあったのか!と
ユーロトンネルで近くなった英国と大陸間ではこんな特典、とか
夜行列車でもお安いクシェットでもこんな融通が利くんだー、とか
パスを利用する前にご一読、またはご持参されると
とても便利です・・かな?
しっかりトラブル対策や其の国々の特色も案内していて、
極めつけは巻末の各国語に分けた単語集
コピーして持っていこうかしら・・・

と、まあ個人旅行=鉄道旅の私には嬉しい1冊です 



 


【ジェイミー・オリヴァーのブレック・ファースト】

ジェイミー・オリヴァー著 野間けい子訳 杉山直子監修 アーティストハウス 定価¥1,200+税

2002年2月初版



ジェイミー・オリヴァーのブレックファースト 一つの文化にすら成りえるのでは・・・?
と失礼ながら思ってしまうくらい・・
英国の食事のお粗末さ・・は代々語り継がれてきたことでしょう・・
しかし、一たびこの国に滞在していると
「どの口がそんなことを言っているのだ?1つを見て100を言うな」と温和な私もいきり立つくらい
この国の食事の美味しさを知っている・・・と
思っていらっしゃる方は実は多いと思います
しかし・・それでも、それでも・・やはり本当においしいの・・・?
かのアフタヌーン・ティー以外に・・・?


近年は様々な本やメディアにご紹介されているように
本当に!!渡英するたびにビックリするくらい
この国の食文化は凄い勢いで
雨後の竹の子の如く成長しまくっています


その筆頭の一人でもある若き天才シェフとして名高い
ジェイミー・オリヴァー シリーズです

1975年生まれパブを経営する両親の元、
8歳から包丁を持ち始めその修行の後、
若くして“モンティーズ”というレストランを立ち上げ、
大手スーパー・マーケット セインズベリーでも
コンサルタントとして活躍中

BBC料理番組やブレア首相に任命され各国の総理大臣を
招いた昼食会をまかされたり・・と
注目すべき階段を順調に上っているシェフの一人です


このシリーズは、“パスタ&デザート” “パーチィー・ディナー”
“親子で作ろうわくわくごはん” 
“きれいになろうヘルシーごはん”
“彼と食べようラブラブごはん” と現在は6冊刊行しています

どの1冊もジェイミーのその食に対するエッセイと
食材の説明から入り、美しい写真で眺めているだけで
おなかと目が満足するようなシリーズです

残念ながらまだ私は彼のレストランは経験していませんが
このようなシェフが出てきてくれる今後の彼の国の食文化に
多大なる期待を寄せてしまうのは仕方のないことでしょう・・・
渡英のおたのしみが一つ増えました 


ジェイミーシリーズ ラブラブごはん 

頑張れ!美味しいのはパブとティーだけではないのです



    


【イギリス湖水地方に暮らして
カントリーハウスでの日々

静子・ヒューズ著 株式会社メディア総合研究所発行 定価¥1,800+税 2002年初版




イギリス湖水地方に暮らして このタイトルを見た時は、失礼ながら単純に英国人と結婚して
彼の地に住むことの出来た日本人女性の体験記だと思いました
しかし読み進んで行くうちにまた目にしたのは
日本の陶芸家浜田 庄司の名前でした
ご主人が陶芸家・・・日本に留学され、
その留学期間が解けても日本に留まり、
当初製作活動の本拠地として選んだのは
琵琶湖の辺で水田に囲まれた田舎家から・・・
ここから始まる本書です

すばらしい環境に恵まれたこの大きな家で
創作も生活もとても順調に行きかけた頃、
貸家ということで大家さんの意向で立ち退きを余儀なくされ、
その事が実際はご主人の陶芸に対する気持ちも相成って
住み慣れた日本を後にしたのです・・・


ご主人の陶芸はスリップ・ウェアと呼ばれる粘土を水で薄めて
ヨーグルトくらいの柔らかさの泥漿を使うもの・・・

日本でこの趣向が紹介されたのは前出の浜田庄司からでした
その後柳宗悦たちによる民族運動により
日本でもかなり普及していったそうです


あるきっかけからご主人がスリップ・ウェアのルーツを辿るには
母国へ帰っての創作活動を1から始めなければ・・・という
心の叫びに反対することも出来ず
(英国では焼き物だけでは実際に生活を成り立たせるのには
かなり難しく、せっかく日本で地盤が出来始めた矢先の
ことでしたから誰もが反対をしたそうです・・・)

黙って様子をみるしか・・・なかったとのこと・・・・

そしてご主人の意向のままに苦労して探した家が、
イングランドの最北端の西側カンブリア州北東 
湖水地方と呼ばれる観光地とはちょっと離れた
もうすぐスコットランドという場所にある小さな村 レニック村での
カントリー・マナーハウスでした


18世紀半ばに建てられ中は近代的に作り変えられた
大きなマナーハウスはご主人の制作活動にはもってこいの家
(しかし住み進んでいくうちに様々な問題にぶち当たりますが・・・)、
ですが、なれない土地での生活を
婦人は淡々と綴って進んでいきます


ご主人がイギリス人であるその頑固さと芸術家ということも
合い重なり、奥様である静子夫人の奮闘振りが
その行間からは充分に読み取ることができますが、
私達日本人にとってはほとんどが1泊か2泊しか
滞在が許されないカントリー・マナーハウスに
住んで生活するということに興味がわきます

その現実性にこの本はいつの間にか、
マナーハウスということだけではなく
英国の田舎に住む・・という実体験にも驚くことしばしばです

観光ではなく、彼の地での生活を1部垣間見ることのできる1冊
読み終えたときは観光地としての湖水地方ではなく、
知らなかった一面を案内してくれる・・・
そんな1冊でもありました・・・
 



    

【心地よい眺め】

ルース・レンデル著 ハヤカワ・ミステリ 定価¥1,700+税 2003年初版



実は大の推理小説好きです・・・
と、申しましてもこの『推理』・・今は“ミステリ”・・という呼び名の方が一般的なのでしょうか・・?
長い読書生活の中では、つい最近と言ってもよいくらい
このジャンルにはなかなか手が出ませんでした・・
理由は「怖かった」から・・

しかしそれも約20数年前に英国に初めて足を下ろした後、
たまたま先輩がクリスチィーなら「おもしろい」と
称していたので・・恐る恐る手にした推理物・・
『そして誰もいなくなった』・・名作です・・・
目からウロコぼろぼろで、それ以来私のキーワードは
@英国の!A女流作家で!B賞を取った本から!
先ずこの3つから始まり、そのことだけに絞っても
沢山の著作を読み続けることになりました・・・

その中でも私の3本指の2番目はこのルース・レンデル
(ちなみに1番目は本命クリスチィー、3番目はP・Dジェイムズ、
4番目はエリザベス・ジョージと・・ドンドン続きます・・・)

レンデルの最新翻訳本は
穏やかなタイトル 「心地よい眺め」
厚み約1,8cm、ご存知ハヤカワ・ミステリは上下2段からなる
とても読み応えのある1冊です
その厚みも何のその!1語1語全てに意味がある!
彼女の長編にはその最初の1章が意味深いもので、
直接悲劇には関係なくとも(いいえ・・あるんです・・)
読み進んでいくうちにまるで糸を紡いでいく作業のように・・・
少しづつ複雑な模様の絨毯が出来上がっていくが如く・・
気がついたらとてつもなく大きな恐ろしい絵柄が出来上がる
ですから、どこで息注ぎしようかな・・?と考えている内に
気がつくと、一気に目の前に全体像が浮かび上がります
さあ、どんな結末でしょう
まったく予想外の幕です
自分の思考外とでも言いましょうか・・?
読み終わったあとの方が背筋が寒くなるかもしれません
そして、改めてこの本のタイトルが怖くなります

ウェクスフォード主任警部のシリーズ物も一押しですが、
せっかくですから最新版からいかがでしょうか?

本の設定されている街並みや風景もこの目でみたい・・と思うのは、怖いものみたさでしょうか・・?






ブルテリア

この年の終わりにもう1冊はご紹介出来る・・はずだったのですが・・・
力及ばず・・もっともご紹介の少ない月なってしまいました

来年はもう少し様々なジャンルで(まったくの独断ですが・・)ご紹介できれば・・と思います
今年も最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました

どうぞ良い年の瀬・・を・・

  



こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
その旨ご了承の上、お楽しみいただけたら幸いです
  





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