今月のお薦め本 



〜2005年 4・5月〜

                                                         

すっかり春めいてしまい1年のうち最も旅にお薦めしたい季節になりました

昨日久しぶりに街の旅行代理店さんの店頭を覘いたら
出稼ぎ先のN旅行社の
売り出し前の夏商品のパンフレットが並んでいました

しかし!!実際は私は英国旅ならこの5月!!
声を大にしてお勧めしたい一ヶ月です

それは比較的お天気が安定してして
晴れになり、気温もぐんぐん上がります

ガーデンフェアの本当に最適な月だと思います

何時出発しようかしら・・?と
迷っていらっしゃる方々も
すでにご計画を練っていらっさyる方々も
思い立ったらすぐに飛び立てるように・・・・


ご紹介する本たちが皆様の道しるべのお役に立てたら
こんなに嬉しいことはございません








この季節には外でのティータイムが何よりです







【「どこへも行かない」旅】




どこへも行かない旅


林 望 著   光文社  ¥1,700+税  20006年3月初版





やはり手にしてしまった・・今回も新刊の林先生の1冊

しばらく旅に出られない私にとっては
なんてうってつけのタイトルだろう・・と、ちょっぴり悲しくもなるような・・・

「林先生」と言えばこの著作でもおっしゃっていらっしゃるように
英国旅の第一人者としても名を馳せたお方、というイメージがある種あります
しかし、タイトルは
「どこへも行かない」・・・なんぞや?

この本は元々様々な本への林先生の寄稿されたエッセイをまとめたもの
その初出一覧された目録を見ると
“電通”さんの「電通報」という社内報になるのでしょうか・・?
その中での文章だったり、
JAFメイト社の本だったり、なぜか車関係の会社での文章が多い

フシギな文章の集まりとも言えるかもしれない

指南編、実践編
実践編は第1章の日本から第2章のイギリスへ続くうちに
私達が最近忘れていた様々な旅形態を思い出させてくれるような・・・
そんな落ちつく文章で綴られています


   


実践編の第1章は『日本』なのですが
居る場所が日本であっても語られる文はイギリス個人旅行の教科書のよう
(私にとっては!)



先生は英国での生活を綴ったエッセイ「イギリスはおいしい」で
ある種の『イギリスへの旅』を多いに誘発させてくれました

その1冊から、ある某大手旅行会社の社員が先生を訪ねて
イギリスの旅の企画を打ち出してほしい、との依頼を受けたそうです

先生曰く
「イギリスだけしか行かないというツアーで、
しかも1週間まるまる田舎のコテージに居続けて
どこへも行かない、
という田園休暇ツアーってのを作ったらいいと思いますが、いかがでしょう」

なんて、素敵な提案でしょう ・・・私・・・

しかし!・・・中略・・・旅行会社の人たちは首を捻る番であった・・・
と、なるのです
旅行会社の人間にしてみれば、解る・・・私・・・

現在も旅行会社がツアーとして企画するのは
如何にして見所を多くし、
移動を多くし、
あれもこれも詰め込んで
『どうせ行くなら全て見て、食べて、経験しましょう』という
ぎゅっと詰まったパッケージを作成します

確かにその中にはまだまだ知られていない
他社を出し抜くような目新しいものを
そのツアーに盛り込めば
お客様の目に留まり
強いては売り上げに大きく変化が出るでしょう
そのような意味でイギリス第1人者としての先生に
旅行会社の企画者の目にとまわないわけはありません
何としても目新しい“何か”を伝授していただきたい・・他力本願が働くわけです

ですから、それを多いに期待して訪れた人たちに
「田舎の一箇所に滞在して何もしない」という企画は
彼らにとっては「はああ〜??」なのです

本来であれば先生のご提案とおり1箇所に留まり、
その国での生活をちょこっと体験してみる
ご自身のペースと目と感じるものだけを大切にする
人様のお国での自分なりの生活
その中で普段目に出来ないものたちが身近に一杯あるでしょう
こんな贅沢なことはないと思います

それは、滞在する宿泊先での生活一つをとってみても
靴は脱がない、お湯は満足に出ない、隙間風は入る、
でも、日本のお水とは違うからお茶は取っておきに美味しい 
風のにおいが違う、陽の沈みが違う、陽の射し方が違う、お料理の仕方が違う、
本当に数え切れないほどの新しい発見があります

車を利用できない私は常に公共の乗り物での移動です
日本のように時間通りには乗り物がこない、
来ても進まない
1時間と目測した移動に倍の時間はかかる・・それには様々な理由があり
それには日本とは違った、これまた“理由”

そんな事柄を常に見ていられる、見つけられる、そういう旅は
旅行会社でのお仕着せの旅ではありませんから
ご自身それぞれが作る旅です

そして、先生がその最初の指南編で記されていらっしゃっているように
宿泊先の案内を見ているだけで
何時間でも楽しく過ごしてしまう、ということに
私も諸手を挙げてしまいます


英国にはそれぞれのガイドブックがほぼ毎年改定されて
宿はタイプ別にまとめられ、
ホテル・B&B・ユースホステルなどに1冊づつ

またその中でも更にガーデンの美しい宿や
食事の美味しい宿などにも
分けて案内されています

それは鑑定人(?)がクラウンでその宿の評価を示したり、
星で示したり、
見る人にとても解り易い表示で案内されています

これを取り出したら、時間はいくらあっても足りません

それは一つの旅の始まりと私自身思っていることで
そんな案内に手を伸ばしたときから『旅』は始まる・・・・至福の時間です

そんな旅は確かに『どこへも行かない』旅だといえるでしょう





実践編になると先生は(きっと)愛車を駆って
“観光地”とされていない普通の人々が普通に暮らす街を
ご自身の目線で見た風景を綴っています

その街は、場所は、本当にご近所だったり
遠い場所だったりしますが
そこにあることが当たり前で毎日過ごしていながらにして
見過ごしていることを
先生の目で発見され
語られる場所やものたちは
私達でも簡単に見つけられることだと思います

歴史的な解釈は出てこなくても
夕日や風景や匂いや肌で感じることなどは一緒
多くの方々が体験できることでしょう・・

つくづく『感じる』ということが如何に大事か・・を思い出させてくれる
・・・・それは極上の旅に出来上がる要因でもあり
たった一つの自分だけの旅になる要素でもあるように思うのです


そして、実践編のイギリスに於いてはもう!!!とっても贅沢究極の旅 

一つは期間を決めて、その中で何も計画なしに地図を見て行き先を決める

英国の街の名前はとても興味深い
先生も書かれていらっしゃるように日本では街の名前を現在では新しく変えてしまって
昔の謂れが解らなくなってしまっている場所も多いそうで、
その点英国は名称が大昔からほとんど変わっていない
街や場所の名前で何となくどんな街かが想像できるのです

それは私達にも馴染み深い英語なので
何となく解ることも嬉しい 

指南編から宿の案内書の楽しさを知ったら
その宿を目指して出かけることも究極の『旅』

素敵な宿のある街はその周辺にも何か新しい発見ができると
いつもわくわくしてしまいます


  


タイトルは『どこへも行かない』になっているけれど
私は内容とタイトルがちょっぴり違うぞーーーっと
感じた1冊ではありましたけれど
やっぱり先生の綴られるイギリスは
私にとっては旅の教科書

またしても初めての場所を、感じ方を・・・この著作からいくつも発見できる
わくわくする旅のガイドブック(案内書)なのです

















こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います

少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





Top New ページのTop 

03年 9月 10月 11月 12月

04年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

05年 1月 2月 3月 4月 5月 6・7月 8月 9月 10月 11月 12月

06年 1・2・3月 4.5月 6月 7月 8・9・10月 11月 12月

07年 1・2月 3・4月 5・6月 7・8月 9・10・11月