今月のお薦め本 



〜2005年 06・07月〜

                                                         
先月から今月にかけて・・ご紹介できずに2ヶ月合同(?)になってしまったのは
ほんとに申し訳ありません

しかし、本をまったく読んでいないわけではなく
反対に何時にも増しての読書量でありました・・・・
ところが全て『お仕事用』の書物ばかり 

それは来月ご出発の何組かのお客様用のウェールズ、スコットランド、コッツウォルズ方面

正直めっちゃくっちゃ楽しかったーーーーっっ!!ですっっ
そんな数多くの本から抜粋して、
これからご出発される皆様のお役に立てればこんなに嬉しいことがありません


さて、今回も様々なジャンルから英国物・・・をご紹介していきます

そして、来るべき時がきたら、すぐに飛び立てるように・・・

例え、今すぐ旅発てなくとも
読んでおいて損はありません・・・と思います!!




ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方

〜ワーズワース&ラスキンを訪ねて〜



ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方

伝農 浩子 著  辻丸 純一 写真  JTBパブリッシング  ¥1,800+税  2005年3月初版




先ずは湖水地方と言えば、私にとっては本とかガイドブックを見ずとも・・・
行けばその魅力は行った者にしか判るまい!
今更どんなお薦め本を読んでも・・・
その前に自分の目で確かめていらっしゃい!と、いう
名実共に私の大好きな場所の一つ 

さて、今のこの季節にはこの湖水地方への説明はまったく!!いりません!
ロンドンからは列車でも約4時間あまりかかるこの地方は
わざわざ日本からその前に12時間かけたとしても
その又・・列車で乗り継いで行ったとしても、
その風景の中に立てば
それまでの道のりは一機に吹き飛びこと請け合いです 

私自身なぜこの場所を最初に知ったか・・・?と問われれば、
実はこの著作からも伺えるようなピーターラビットからではなく、
・・・いえ、結果的にはこの
『世界1有名なうさぎ』のピーターになるのですが・・・
すでにもう覚えていらっしゃる方は少ないかもしれません
もう憶えていないほど、
少なくとも15年以上前にマヨネーズのCMでこの湖水地方の風景の中で
レタスを食べていた“うさぎ”がピーターでした
もちろん、ピーターはアニメーションでしたが・・
そのバックは紛れもなくこの湖水地方の風景でした

その緑連なる丘と石を積み重ねた
この地方独特の石垣がどこまでも続く山の峰々とかすかに見える湖
それまで私は遅ればせながらこの『レタスをしゃりしゃり食べるうさぎ』も
その風景がどこにあるのかも知らなかったのです・・

でも、人目で絶対にこの目で見たくて見たくて
CMにちょこっと紹介された場所を見つけ出し
9月の後半に日本を飛び出したのが最初でした

まだまだ残暑厳しい日本からロンドン1泊だけして
湖水地方を目指したのですから
そのすでに黄色に染まった秋の風景と
冷え込んだ晩に入れてくれたヒーターの暖かさに
ビックリするほど寒かった湖畔のB&B

そんなことから一足飛びにビアトリクス・ポターさんの世界にどっぷり漬かってしまいました


   

前置きが長くなりましたが、
そんな世界中から愛されるこの地方に関する本については
数えることができないくらいあることにも驚くに値しません
そのくらい多くの人々を魅了してやまないこの地方です

その中でも1冊選んでご紹介したかったのは
この湖水地方とポターさんの世界を共に愛する人たちの為の1冊を 

すでにお写真では数多くの英国関係の著作を手がけていらっしゃる辻丸純一氏
表紙からもその地方の魅力を存分に出してくれています

一瞬この1冊はピーターラビット、
またはポターさん、ワーズワース、ラスキンのファンの方々用?と思いがちですが、
何の何の!素敵なガイドブックになっています
この1冊を持参すれば、
ポターさんの世界、ワーズワースの世界に迷わず飛び込めます

実際は私のようにピーターや
桂冠詩人でもあるワーズワースの詩から
この地方を知った方も数多いと思います
ですから、彼らの著作の足跡を追ってみたいと思う旅人が
少ないはずはありません

著者の伝農さんは
先ずはポターさんの作品のほとんどを絵の場面を追って、
この広大な湖水地方をその風景をたどっています
私達もそうしたいと願いつつ、
つい時間もなく、目に入る現実の風景に感動して帰宅してしまのですが・・・

実はもう何度も足を運んで見学したポターさんの農場『Hill Top』でも
その一つ一つの家具や展示物がお話のどの場面の絵だったかなー?
見たことある懐かしいなああ、と終わっているのですが、
著者はそれだけではなく、
しっかりと絵と照らし合わせてくれています

塀に登っている子猫のトムの場面は私も大好きな絵ですが
実は見つかりそうで見つからないこの塀は
すでに木々に埋まってしまって一見しては判らなくなってしまっています

トムのお母さんのタビタおくさんがたたずんだり、
お茶を持っていったりしている風景は全てヒルトップの風景

あひるのジマイマが腹に一物持つ、
きつねの紳士と歩いている小道まで見つけてしまう・・・



そして、当然ながらポターさんと肩を並べて見学に列を成すのが
ワーズワースの世界であった
『ダヴ・コテージ』日々多くの見学者を迎えています
この2人はこの地方には切っても切れず、
そしてそこにナショナル・トラストの存在も必ず挙げられる
しかし、彼女は「3人目」としてラスキンを上げています

恥ずかしながらここで私は初めてこの名を知りました・・
そして、ポターさん達より少し早い時代の人であったこと
彼はイギリスのアート&クラフツ運動で有名なウィリアム・モリス、
マッキントッシュ、などの先駆者で
1884年頃から始まるその運動は
やがてイギリスを代表する数々の芸術家にバトンタッチされ、
「ラスキンの子供達」と言ってもよい建築家ベイリー・スコットの設計
ブラックウェル館はウィンダミア湖畔を見下ろしています

当時酷評だったターナーが大好きだったというラスキンは啓蒙家として、
女性達の手で編み出されるこの地方独特のレース編みを
自分が見てきたギリシャやイタリアの芸術をこの地に下ろそうとしたもの・・・
現在でも“ラスキンレース”と呼ばれ、
この地方の特色になっており今に続いているそうです

ラスキンはオックスフォードに新設された美術講座に教授となった際に
生涯を通じて交流を続けたナショナル・トラスト創設者の一人、
ローンズリー牧師と出会います
コニストン湖湖畔のブランドウッドに移り住み、
この館で80歳の生涯を閉じますが、彼の死後博物館を作ったのは、
そのローンズリー牧師でした

伝農さんが3人の紹介の後
作成しているビアトリクス・ポターを中心とした湖水地方関係の人々の人物相関図には
思わずこんな図が出来上がるとは想像もつかない・・
しかし、その図には普段私達のおなじみのイギリスを代表する方々の
名前にまで続いていることに驚かされます

 

様々な本を手にすると今まで知らなかった事柄が沢山出てきて
更に「今すぐにでも飛んでいくぞー!
英国行きたい病」が出てきて困ってしまいます・・

何よりもこの1冊で湖水地方への楽しみ方が120%に膨れ上がるのは、
今まで知らなかったラスキンだけでなく、
小さな村々であることは判っていても、
今まで充分なガイドブックがなかったように思えるのは私だけではないはず
しっかりと最後の章には有難い『湖水地方を旅するために』が添えられています

ポターさん、ワーズワース、
そしてラスキンに浸れるように・・・
それはお宿だったり、パブだったり、
レストランだったり、ティー・ルームだったり、嬉しくなるような内容です

今まで見過ごしてきたこの地方を更に『大好きな場所』へ導いてくれます

ニアソーリーの村の路地から
ポメラニアンのダッチェスやタビタおくさんが横切っていくかもしれませんね



      











こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思います
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  





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