今月のお薦め本





〜2008年 7.8月〜

                                                         
残暑お見舞い申し上げます

すでに毎年のことなれど・・・
猛暑連続日更新爆進中の我が国の夏は本当に暑い!!
(今年はロンドンでは涼しくて夜は絶対に長袖必須!)

しかも何処までが「残暑」なのか、解らないほどで
少しでも“涼”を求めようとするには会社へ出るか
(と、言っても21時には止まってしまうビルのエアコンには
毎晩悪態をつきながら最後の仕事に焦りまくるのですが・・・)
家にじっとして動かず夕暮れを待つか、
はたまた図書館の閲覧室の椅子で閉館まで粘るか・・・

出来れば私は図書館の本を持って
英国を目指すべく飛行機に乗り込む季節にしたい・・・です・・・

又は、いっそ一夏ごとロンドンに定住したい!!

しかし、どちらもこの仕事についてから「夏」はオフィスで走り回る涼しさ(?)か、
図書館で読んでみたい本を両手に抱えて
“さあ、どれから読もうか・・?”とフロアを行き来しているか・・・のいずれか!

そんな風に過ごしていたら“暑い!暑い!”と怒りながら気づくと
「秋」になって紅葉の声を聞くようになり、
やっと一息つけるように思います

今年の夏もそうして過ぎてしまうだろうことに
何時かは一夏ロンドンや
英国のどこかでゆったりと本を読めることを夢見て
汗だくになり仕事の狭間に旅本を読んでいます

ご紹介する本たちが少しでもこれから旅をする方々の指針になれば
こんなに嬉しいことはありません

どうぞ、暑さに負けず今年も猛暑を乗り切りましょう!









英国、花からはじまる旅



英国、花からはじまる旅




並木 容子著 アノニマ・スタジオ ¥1,600+税 2005年12月初版






この1冊は絶対に「夏」にご紹介しようと以前から思っていました

何故ならば発行されたのは冬だったにも関わらず
全編を通して英国の夏にいらっしゃったことが解るほど
調所のカラフルで見ていた楽しい写真の数々の日差しが夏

そして、タイトルの“花からはじまる・・・”は
やっぱり春よりも英国で1番花が美しいと思っている季節が
私自身夏だと思っているから・・・

以前にもこのページでもご紹介した
並木 容子さんの御本になります

『イラクサの小道の向こう』

こちらの方がイラクサ・・よりも前に書かれた著作になります
実は私はこの1冊を最初に手に取り、
それから2冊目の“イラクサ・・”へと繋がったのですが・・


“イラクサ・・”はコッツウォルズでの滞在が中心でしたが
本書は「ロンドン」が中心
そして、今の季節の花一杯のロンドンの見所が満載です


先ずは本書を開くと目次の前に
すでにロンドンでの私達旅行者のみならず
地元の人々にも人気の
“ナイツブリッジ&チェルシー”“ノッチィングヒル”
“マリルボーン”“ソーホー”“エンジェル”“コロンビア・ロード”“グリニッジ”と続きます

それは各地区ごとにお花屋さんと雑貨屋さんという
私も大好きなショップが記された
手書きの可愛らしいマップと一緒に案内されていて
思わずこのマップだけを持参しても
きっとロンドンを見て回るのには充分過ぎるほどかも・・・と思います





フラワーショップとアレンジメントのお教室を主宰されている方だけあって
ロンドンのこの街で旅人としてご滞在されていても
ついついお花屋さんのストール(屋台)を見つけては
まるでこの街に住んでいるように
素通りは出来ず、お花を買ってしまう・・という著者

実は私自身もロンドンの街中で見る
このフラワーストールを素通りはできず
ついつい自分の中での買う理由をあれこれを考えてしまいます


リッチモンドのお花のストール

結果、その時にお世話になっているお宿への御土産に
ちょっとしたブーケや鉢植えを選ぶ楽しみは
旅の間には1回は必ずしてしまう決まり事

それはそれはどこのお宅でも喜んでいただけるし、
何よりも自分が選んだお花が翌日の朝食のテーブルに
丁寧に生けてくれた様子を見ながらいただくご飯は一段と嬉しい


そんなことが“旅”という非日常的な嬉しさ・楽しさに繋がるという
付加価値に思えて仕方ありません

だって、普段の日々は本当に朝食時間でさえも
周りに気づくことなく、ばたばたな毎朝が日常ですから・・・


さて、本書はそんなロンドンの中で見つけた
お花のストールから始まります

本当にこの本からも気づかされるのが
“お花の屋台”の多いこと!


今でこそ東京も駅構内にフラワーショップが徐々に増えてきたけれど
英国の街中のショップの多さに比べれば比ではありません


正しく老若男女様々な年齢層の方々がお花を買っていきます
それは、自転車で走り去る若い男性の自転車籠の大きなブーケとか、
ちょっと小太りな男性が背中に小さな男の子、
両手には小さな寄せ植えを抱え・・・にんまりしている様子や、
花市場での買い手の様子や売り手の表情など
誰もが嬉しい顔をのぞかせています


その中には子供も多く、
きっとこんな小さな頃からお花を選ぶ、育てる楽しみを知ったら
この国の人々のお庭にかける情熱や
“緑の指”と言われるガーデナーが
沢山生まれる訳が自然と理解できます

そんな1ページ1ページに著者の感じたことや
また感じられるそんな場所への案内もされているので
ガイドブックとしても楽しみは2倍です



内容は第1章から第4章までにまとめられ
1章は「ロンドンの幸せ」とありますが、
その“幸せ”がロンドンの人々とお花屋さん
(ストール、ショップ)との出会いを綴っています

そして、著者のメッセージと写真、
間に散りばめられた「コラム」は必読
“旅に持っていくもの”
“ストリートマーケットの楽しみ方と掘り出し物の見つけ方”は
次ぎの旅への期待をふくらませてくれます

第2章「宿で暮らす」3章「郊外の幸せ」
4章「旅のかけらを贈る、飾るアイデア帖」と続きますが、
著者の優しいエッセイとロンドンの案内に加えて
その内容を更に彩り良く印象的に伝えてくれているのは
見開きページの片方をふんだんに使った写真

夏のロンドンの美しさをそのままストレートに伝えてくれていたり、
今までついつい移り変わりが早く見逃していたけれど
何時までも目に焼きつけておきたかった・・はっとする人々のやさしい眼差しや
子供達のきらきらの瞳

“あ、これ良いな〜”と素直に感じた、
何時までも残しておきたい・・・見たものたちを
実に見事に写しだしてくれています

おしゃれで素敵なおばあさんや綺麗だと感動した小さな花たち
思わず立ち止まって見とれた緑の公園の木立、
ご主人と一緒にいるだけで元気!という
足元にぴったりと寄り添う家族である犬たち

本当に写真を見ていくだけでも
驚くほどにページが進んでしまいます

そんな素敵な写真を写す人はどなただろう・・・と
紹介欄を見ると「撮影 高橋京子さん」

経歴はあの雑貨店でも有名な“キャトル・セゾン”の店長を経て、
フォトグラファーへ、とありました
なるほど・・やさしい写真だな〜と・・・
(“キャトル・セゾン”は自由が丘にある大好きな雑貨店です
こちらの麻100%のシャツは汗っかき私の夏の定番です)

文章ではないけれど、
写真を通して伝えたいことがストレートに伝わる、
女性らしい視点のロンドンの日常

それを残したくて私もついつい写真を撮ってしまう
・・人が見たら“何ですか?これ??”と思われるようなものばかりで
懐かしく感じて解るのは本人ばかり

高橋さんの目線は誰が見ても“そうそう、こんな感じ”って思うもの
この御本の1枚1枚の写真は
やっぱり“プロ”は全然違うわ〜とつくづく感じました


何度も何度もページが戻って繰り返し見てしまう
そんな写真のシーンに出会えるかも、という期待も
やっぱりふくらんでしまいます





著者は“花”に携わる職業であり、
その視点からのロンドンの旅を存分に見せてくれています

それは今いる自分とはまったく違った生活をしている方なので
その違った視点が面白いな〜と随所感じます

フォトグラファーの高橋さんを始め
英国に在住する方々と一緒に創られたこの1冊は
ある意味でも新しいガイドブックだと・・・

「旅のガイド本」としての括りだけでは弱いかもしれませんが
しかし、著者達の心意気は充分過ぎる程伝わってくる
「ガイド量」

是非、猛暑の中でわずかなさわやかさを求めるのならば・・・
私はこの1冊のように
穏やかで、力の入りきらない、
それでいて優しい症状の本が良いな〜と思ったのでした



夏はひまわり
夏はやっぱりひまわりでしょう!






こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです
  



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