〜2008年　2･3･4･5月〜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
季節は新緑の時期になりました

これから郊外へと出るには最もよいシーズンではありますが
久しぶりに夢中になって読んでいるのが
アメリカ人作家でありながら英国舞台の長いシリーズ物でも人気の高い
デボラ・クロンビー著作
「キンケイド＆ジェマ・ジェイムズコンビの警視の休暇〜」
主人公達がロンドンのスコットランドヤードの警視ということで
舞台は常にイングランド国内




第1作目の“警視の休暇”からすでに翻訳されて14年が経ち
最初のシリーズは毎年のように出版されていたので
比較的出る度に読み漁っていました

4作目くらいから別の新しいシリーズや
他の作家達の本へも移っていたことや
推理物からちょっと遠ざかっていたこともあり、
何の気なしに手に取った続きの1冊で・・・
改めてこの本の舞台がロンドン近辺なのがとても身近に感じられ
1冊厚さ2.5cm強という文庫本では厚い部類に入るこのシリーズで
度々出てくるその街の描写から
思わず次ぎに行ってみよう！とメモ書きしてしまうほど

実際は今すぐにでも
この本を片手にロンドンへ向かいたいのですが・・・
そうはいかない英国旅好きの方々へ

これからご計画中の旅の参考、
又は行きたいけれど行けない方々のために・・・

ご紹介する本が一時でも楽しんでいただければ幸いです



　　　　　　

【MARGARET HOWELL HOUSES】 〜　マーガレット・ハウエルの「家」　〜 LEE特別編集　　集英社　　￥1,600＋税　　2006年10月初版

私にとってのマーガレット・ハウエルは “ちょっぴり背伸びした普段着のお洋服のデザイナーさん” Margaret Howell 街中で見かけるショップもシンプルながらいつも明るくて 天井高く広い空間で見る 真っ白なシャツや基本色のセーターや小物たち そんな品物がたくさん詰まっているお店の一つです よい素材を使っていることからも 中々そう簡単には手が出ないお値段ではあるのだけれど しかし、年々体は正直で肌に良いもの、 天然素材で肌触りの良いもの・・と 1度身につけてしまうと早々その気持ち良さに 今まで身につけていたものはなんだったんだろう・・とさえ思ってしまう そんなデザイナーである彼女の大型版のこの1冊を目にした時は いつも感心してしまうミセス・ハリガン宅やアン宅の滞在する度 “いいな〜”とほれぼれしてしまう インテリアの色合いや家具の集め方などを 思い出したことは言うまでもありませんでした 「英国風」というのは ともすればすぐに思い出せる “ローラ・アシュレイ”に代表されるような花柄や スコットランド風のタータンチェック、 ヴィクトリア朝とも言われる重厚な色合いに大柄の花柄など そんなデザインやインテリアが思い出せるのだけど・・ 元々「デザイン」ということにかけては世界の先駆けに飛び出すお国柄 徐々にシンプルでモダン、という傾向に進みつつある近年では 私達の国から発信された“無印MUJI”が大流行したのは そんなことも関係が深いと思われます 「シンプル」と言えば北欧風と思いがちだけれど （私だけかもしれませんが･･･） 時代によっては 欧州のいろいろなお国でそんなデザインが 何気なしに生活の中に溶け込んでいた時があり それはこの英国でも例外なく シンプル＝モダンデザインがそこここに沢山残っています マーガレット・ハウエルは1946年生まれ 1970年24歳の時に初めてメンズ・シャツを発表したとき この60年代から70年年代は そんなシンプルなモダンデザインが次々と生まれていた時代でもありました 著作から彼女の育った家庭では そんなデザインが生活の中で当たり前のように存在し、 快適な用途を持って生み出された生活品の多くが そのようなモダン・ブリティッシュとして家具やキッチンツール、 住居にまでその傾向が進んでいたとのこと ですから、現在彼女自身がそのデザインにこだわリ、 改めて自身の生活に取り入れ始めたのは ある意味ではまったくの“自然体”であったかもしれません・・・ ですから、正式な肩書きはファッションデザイナーではありますが、 彼女のショップではそのような時代の 生活インテリア分野の品々も数多く取り扱っています 左のグレーセーターは七部袖 白いコットンシャツと右はダークグリーンのコットンシャツ どれも肌さわりのとても良いもの 四角いオレンジは香り高いラベンダーサシェ オレンジ文字の名前は100%リネンのティータオル 彼女は1枚のメンズシャツからデザイナーとして出発はしましたが その時代同じくして「モダンブリティッシュ・デザイン」が芽吹き始める頃 ロンドン市内や近郊の街には新しい建物が生み出され、 時代のデザインになりました それは彼女と同じような新進建築家や 当時欧州で流行り始めたモダニズムの他国の建築家であったり、 丁度お隣の国おフランスでもル・コルヴィジェが活躍の年代 また少しづつ北欧デザインも入ってきた ミッドセンチュリー時代でもありました 実際その時代は現在ではもう50年近く前の建築になりますが、 そこはこの国ではまだまだ“新しい建物” それでも改築や増築などにも厳しい規制がありますが、 持ち前の古い物達を生かしつつ、 新しい自分達のスタイルへと変えていく力は 本当にこの国の人たちのDNAに組み込まれているのではないかしら・・・と そんな驚くほどのセンスの良さを生まれながらにして持っていることをあらん限り発揮して 今にして自分達のスタイルを築き上げています マーガレット・ハウエル彼女自身も セカンドハウスとしての海辺の家やロンドンの自宅、 自分のショップやそこに置く家具など、 日々この国で開かれるアンティーク・マーケットへ足繁く通い その後は一つ一つ丁寧に手入れし直し 古くなく、まったくの新しいものとして蘇らせていることに ロンドンの人たちをも驚かせています 　　 私達の生活にもちょっとした指針を与えてくれる “わぁ〜居心地良さそう〜”と思えるような 日々の身の回りの物達やこれからの生活する上で集めたい物達を そして、ロンドンでお世話になっているお宅の居心地の良さを 自分の生活の中に取り入れるために 次回ロンドンへ行くときはそんな物達を集めてみたいと思わせるような・・・ そんな彼女の本から思ってしまう そんな1冊でもあります アンティーク・マーケットでのこれからの目の付け所が 変わってしまうような・・ 彼女の家や彼女が紹介する友人達の 居心地良さそうなインテリア、空間作りに思わず見入ってしまいます それはロンドンで活躍するあらゆる年代の クリエーター達の日常空間が紹介されているわけですが どのお宅もしっかりと“英国”を逃さず 且つ一つとして同じものはない 彼等独自の色を大切に日々の生活を楽しんでいる様子も沢山伝わってきます それは決して一朝一夕で 揃うわけでも、 気に入ったものがすぐに見つかるわけではないけれど 長年をかけて何時かは見つかるかしら・・・と思わざるを得ないもの達 私にもできそうーー ポートベロー・マーケットにて 次ぎのロンドン行きでまたまたマーケット巡りに拍車がかかりそうな そんな1冊でもありました 次回のロンドンへは必ずそんな時間を作ってみようと思っています

こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら幸いです　　

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