今月のお薦め本





〜 2008年 06月 〜

                                                         

個人的には1年の内で1番苦手な梅雨どきに突入しました

しかし、反対に英国では1年の内で最も美しい月とも
旅するなら今月!と力説されるシーズンでもあります

陽は日に日に長くなり、
日差しもカラっとしているので公園ではカラフルなデッキチェアは出て
休日にはその陽を浴びながら読書するのが1番!というロンドン子も多くいます

そんな私たちの国とは正反対な時間を持てる英国での過ごし方としては
私は読書も好きですが、
文筆業・アンティークビジネスでも著名な小関由美さんの新しい御本のように
外へ歩きにでかけたくなります

『英国コッツウォルズをぶらりと歩く』は正しくこの時期にぴったり

英国 コッツウォルズをぶらりと歩く
小関由美さんの最新の著作本


全編美しいコッツウォルズの風景の写真と
そこで見られる野性の可憐な花々の水彩イラストもとっても素敵です

是非この時期にこの地方へいらっしゃる方へはご一読をお薦めします

しかし・・・私のようにまだまだ行くことができない方々のために
今月ご紹介する御本が少しでも来るべき旅のご参考や
お慰め(私だけかも・・)になれば嬉しいことはありません











Land Land Land】








岡尾 美代子著   ちくま文庫  ¥900+税  2007年4月初版



文庫本でありながら
思わず“可愛いな〜”とため息をついてしまったこの1冊
表紙のおばあちゃんの後ろ姿ってこういう使い方はないでしょう・・・
この姿だけでも立ち止まってしまいました

このおばあちゃんのセンスも去ることながら
白地に浅黄色の文字3段に
そして、本を開いた1ページ目が薄紙のマーガレットの花の1枚
なんて「女の子ーー」な世界なんだろう・・・と
こんな冒頭にこれからどんなページが続くのか・・思わず期待してしまいます


スタイリスト、という女性の多数が夢見る職業を持つ
そんな著者が旅するA to Zという副題も
何やら可愛い!が詰まったこの小さな本に
久しぶりに「雑貨めぐり」の旅がしたいな〜と呟いてしまいました

英国での旅の楽しみの一つでもあるお買い物のお目当て殆どが
雑貨類を見るマーケットやアンティークショップめぐり

自分の背に背負えるくらいの大きさで
毎日見ていてもきっとその旅を何度も何度も思い出せるだろう・・と思える
そんな自分だけの楽しみのために
おそらくは足を棒にして(見ているときは軽いんだよねーこの足は・・)
たった一つの“もの”を探します

それは、自分にとって日々使えるカップだったり
小さなピアスだったり、
毎晩お風呂で使うお気に入りのソープディッシュだったり・・
とにかくそんな日常使いのものたちを探す時間も本当に愉しい

きっとそういった旅の記録がこの本にはぎっしりと詰まっている!
パラパラとめくっただけでもそのオーラが沸き立つような小さな1冊です

表紙の裏表紙の著者紹介にはすでにポラロイドと一緒の近影
きっとこのカメラと一緒にいつも旅しているんだろうな・・と思わせる
そんな想像通り、副題のAからZに至るまで
著者の目を通した旅で出会ったものたちの記録です





先ずはAから始まる旅はやっぱり
「Air Plane」
昔懐かしいタイプ文字も見やすいばかりではなく
現在殆どが普段目にできなくなった懐かしさもあり
ついこの文字スタイルにも郷愁を感じます
ちょっと本題とはずれますが・・
このタイプ文字ってこんなに見やすくて、
可愛いロゴだったんだ〜と改めて嬉しくなりました

さて、本書は飛行機が大好きな著者の“A”は
まだ私が乗ったことのない
SASことスカンジナビア航空から

航空会社グッズの快適さから始まるのが
スタイリストという職業の目で見たものであることに
会社の持つデザイン性である普段私の目をすり抜ける
あって当たり前の機内“雑貨”〜始まります

私だったらつい座席の広さ、トイレの状態(これって結構重要)、
飲み物の充実さ、機内食が好みか、どうか、とか
そんなことが先ずは目についてしまいますが・・
著者の目からはそれが同じ機内食でも当たり前のものとして
記憶にも残らない私には
彼女の目にはお塩とペッパーの紙袋の色合いとロゴ、
カトラリーとブランケットのデザインが頭に残る
う〜〜ん・・・・確かに各社違います・・

以前まだそのカトラリー類がアルミなどを使っていた当時は
手にしっくりくるものをコレクトさせていただけていましたっけ・・
(今は無きAAなど1番のお気に入りはなんといってもTG!
素晴しい手にしっくりときます)

そんな具合にホテルやいつも旅に持っていく日用品や
旅先で見つけた雑貨や目に残った風景が
以下BからZまで続きます


旅先はSASの通り北から始まり
サンフランシスコ、ロシア、英国、台湾

「L」に来るとこの本のタイトルになるわけで
著者は友人達との初個人旅行がアイルランド
初めてこの“自分達で手配する旅”を経験、
以後そのような旅を仕事の合い間に出かけるようになります

そして、そのIrelandの次ぎがScotland,Englandというわけで
Land続きに著者はこのLandめぐりにはまっていくわけです
(そうして、この本のタイトルへ繋がるわけです)

「O」の“御土産”は期待通りの雑貨物
ロシアのノスタルジックな紙ナプキン、
スコットランドの羊柄のティータオル、ストックホルムのティーコゼー、
タータンチェックのビニールバックなどなど・・
私も普段嵩張らない御土産としても
自分がほしくなってしまう小さなものばかり

「R」はなんと“Russia”
著者にとってはこの国での大きな印象は
花柄とおばあさん・・らしい・・・

その花柄はおばあさんが身につけるものではなく
昔昔の何となくビニール臭(と、いうのは解るような気がする・・)のする
テーブルクロスの花柄
現在の私達の生活からは姿を消してしまった
昭和のレトロなチープっぽいテーブルクロスの花柄

そして、ロシアのおばあさんがまた超重ね着ルック
何枚も何枚も重ね着しているスカートとスカーフ

この2つに著者は目を奪われ、
ロシアという国を再び訪れてみたい、とまで思わせる


確かに初めての異国では
普通の人々に思わず目を惹かれることがいくつもあります

私も同じように英国でついつい目を奪われるのは
やっぱり“おばあさん”

今ではさすがにもう慣れましたが、
最初の頃は本当に憧れました
“英国のおばあちゃん”

とても華やかなのです

綺麗な花柄や丁寧な自然なお化粧
ピンクという色がおばあちゃん達の色であることに気づいたのは
何度も旅して見た結果

この色は若者の色ではない、ということを知って
日本に帰ってきてから着なくなった色でもあります

このピンクはお顔の色を明るくする色で
どうしても年輪を重ねてきた肌には
この色を着ることで周りにも元気に見せられること

そう思ったら徐々に現在はピンクを着られるようになることに
ばく進しているのですが・・・
それも楽しみだな〜と思えるから不思議です

著者とはちょっと違ったおばあちゃん見ですが、
それでも何となく視点的に近いかな〜と・・・

しかし、やっぱりロシアというお国柄
おばあさんの格好はスカートとスカーフとかわいくても
“おじさんみたいな厳しい顔が多いのは歴史を物語っているのかもしれません”
確かに・・

その後は“S”のSweets、“T”の台湾のTae Time、
“U”のU.K
著者の英国旅日記になっています
そして、最後“Y”“Z”は意外なもの・・・

ポラロイドカメラの目を通した風景と
作者の見たその視点がぼんやりと、のんびりとした空気で
全編綴られたこの旅日記は
肩の力を抜いた時間が流れていて
何となくいつもしゃかしゃかと歩き回る私の旅を止めてくれるような・・
そんな1冊でもありました



小さな文庫版なので、ちょっとほっこりしたい時はぱらぱらと・・
自分の忙しない日常に“止め”が入るような気がします











こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです




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