今月のお薦め本





〜 2009年 1・2月 〜

                                                         
新しい年が明け、すでに早一ヶ月以上が過ぎました

年末年始のお休みもすでに遥か彼方に過ぎ去ってしまいましたが
そのお休みに何が嬉しいかって・・・
何時も手に取れない本を読む時間が出来ること

そして、年初めは例年通り最初の仕事スタートの約10日間くらいは
まだ山場前の静けさ
そんな時にもいつもは目を通せない本たちにも手が伸ばせます

今年もそんな時間の中でお問い合わせから
1冊の本を手に取り、目に楽しむことができました

シェイクスピアの故郷

その本は“シェイクスピアの故郷”という写真集

たまたまこの地のお問い合わせをお受けして
すでに20年近く前に行ったきりの
この街を調べるのに探した1冊でした

以前よりポプリの本でお馴染みのお名前だけは記憶に残っていた
熊井明子さんの著作本

この本のシェイクスピアの街の写真1枚1枚が目に焼きつき
なんて美しい場所だったんだろう・・と改めて思ったのは
著作者として連名されている熊井啓氏、とは
あの映画監督の故熊井氏であり
(これは私だけが気づかなかったのでしょう・・・)
熊井明子さんのご主人でもあった、というのはこの本のあとがきで知りました

街の風景やシェイクスピアを知るための写真がどんなガイドブックよりも
そこを知るために説得力があったか・・

久しぶりにあの街で素直に綺麗だな〜と感じた思いを思い出しました

そんな本を皮切りに今年も様々な本がご紹介できて
少しでも同じように感じて下さり、
そしてこれから向う英国への旅のヒントになれば嬉しいです

どうぞ、今年もお付き合いくださいませ





      



イギリス人は甘いのがお好き


イギリス人は甘いのがお好き


木島タイヴァース由美子著  ダイヤモンド社  ¥1,500+税  2008年11月初版



数年来欧州の中でも人気が上昇しているのは
残念ながら英国・ロンドンではなく
おフランス・パリになります

それは一重に旅へ出かけられるのは男性よりも
圧倒的に多い“女性”によるもの・・

書店やテレビの中でも最も人気が高いのは
所謂“グルメ”美味しい番組です

旅も様々な目的がありますが
その中でも絶対に抜くことができない
(と、思っているのは私だけでしょうか・・?)
お食事とお茶の時間
当然外せないものだったら
まずいものよりも絶対に美味しいもの・・・というのが人の性

味はもちろんのこと
目にも美しいとなれば・・当然女性のみならず
人として素通りできるはずはございません

どんな言い訳をしても
特におフランス菓子は私達女子の永遠の憧れでもあり
自身の目で選んで、眺めて、食せるとなれば
この数年のパリ人気が徐々にうなぎのぼりなのは納得いってしまいます
(そして、パリの旅というコースも男性にも今年は人気上昇!)

私達大好きです!パリのお菓子!

がっ!・・・しかし・・・

実際私の場合は・・・毎度只管「眺める」ことに結果なります

日本にいても普通にケーキヴァイキング大好きですし、
たまに行く友人達とのランチでの後は必ず数種類のケーキは当たり前

でも、毎回例外なく散々迷った挙句に
キラキラ輝く美しいケーキには手が伸びず
焼き菓子だったり、カスタード系だったり、
どんなとろけるプリンがあっても、昔懐かしい焼きプリンだったり、
ムース系よりもババロア・ゼリー系・・・と選ぶものが
ちょっと、ともすれば“素朴で食べる時に崩れても気にならない系”
(と、私は呼んでいる)

ようするにおフランス菓子は“眺めて満足しちゃいました”と
私自身の気持ちはそれで充分完結してしまいます

もちろん、パリへ行ってもこの選択は変わらず
どんなに有名なパティシエさんのお店へ行っても
どこから食べたら良いのか?迷うくらい美しいケーキ達は
眺めて、眺めて・・・もう目で愉しみました!ありがとう!これで終了
口に入れるために嬉々として選ぶのは
昔ながらの心置きなく崩しても大丈夫なプディング系や焼き菓子系

そうなると、やっぱり安心して食べられるのは
どんな時もちょっと素朴なイギリス菓子が実は大好きだったんだ・・・と気づいたのは
旅へ幾度もこの両国を訪れてからのことでした

それは、以前英国で初めてホームスティを経験して
食事を作ってくれたいた、その家庭のお父さんロイが
家族全員が喜ぶ
(ヴェジタリアンの娘あり、肉駄目の私やらが居たので大変だったと思います)
デザートを毎晩工夫して手作りしてくれたことや
それから旅の中で歩き疲れ立ち寄ったカントリーサイドの小さなカフェで出された
その家のお母さんが作って出してくれたと思しき手作りケーキや
美術館のカフェでほっとしながらお茶したケーキが愕くほど美味しかったり
そんな改めての事始にもつながっているのかもしれません

それでも、時代の波なのか・・・
ここ数年英国の食文化は嵐のようなスピードで変化しています

甘いものも例外ではなく
おフランスもの、イタリアもの、ドイツもの・・と様々なスィーツを愉しむこができます

しかし、元々「アフタヌーンティー」という文化の本家本元

お菓子についても一家言あるお国柄

欧州の国々に比べればまだまだ紹介されていない部分もあるかと思いますが、
この近頃の食文化、特に甘いものは今回ご紹介する1冊から
取っておきの最新情報が知ることができました






著者である木島さんはすでにご承知の方々も多い
英国政府公認ガイドのブルーバッチ及び
日本人で初めてドライバーガイド資格もお持ちのロンドン在住30年のガイドさんです

数年前から英国政府観光庁の観光コンセプトでもある
“英国幸福論”でも英国の素敵な魅力を最大限ご紹介してくださいました

その木島さんが今回は“イギリスの甘いもの・・”
もう本を手に取る前から期待が大きくなるばかり
特に以前から英国誇るスィーツの代表
「プディング」については
彼女以上の説明できる方がいるのかっ!?
というくらい心強い案内人さんです


本書は大きく分けて6つの項目に構成され、
先ずスタートはその“プディング”についての
「イギリス人とプディング」から始まります

そして、当然ガイドさんならではの
英国各地でもっとも素敵な“甘いもの”に出会える
村や場所、街も紹介してくれています

目次の次に出てくるが英国全土地図と
本書で紹介されているそれぞれの場所へのアクセス方法と地図は
彼女ならではのスタートだな〜と・・・

何故ならば通常このような本では
紹介されている村や街へ行ってみたい!と思っても
そのアクセス方法の案内が少ない(又は巻末にある)ので
なかなか行動には移せない(解りづらい・・)こともあります

木島さんのこの1冊は英国旅への導きを
すでに巻頭から始めてくれていることに・・私は嬉しくなるのです・・・
正に『個人旅行者』にとって優しい1冊

ですから、始まりもまだまだ日本では馴染みの薄い
英国にとってはその土地土地にあって当たり前、
どんな場所でも家庭でも味わえる“普通のお菓子”プディングを
異国の旅人の私達が最も手早く、最大限にも楽しめる方法として
プディング・クラブなるもののを紹介から、
歴史なども含めて愉しい写真と共に紹介しています
この章から如何に多くの種類のプディングがあるのか・・・?と
改めて驚くこと然り!です

次は英国に住むお宅から
一人の女性の暮らしぶりのご紹介から始まり、
その生活から彼女の作る見ているだけでも食べたくなる
手作り(とは思えない)スィーツや素敵なカントリーキッチンの様子が映し出されています

そして、私達旅する者のみならず
英国誇るナショナル・トラストへの普通の人々が営む毎日から
どのように支えられているかも含めたご紹介の「メアリーさんの素敵な暮らし」

やっぱり目にも美しい英国のカントリーサイドは
コッツウォルズやケント州だけでなく
本当に列車も止まらないような“普通”の小さな村々にも
当たり前のようにあるのだな〜ということに今更ながら驚かされます
そして、それを支え、維持をしていく人々の意識がきちんとあることが伝わる・・
そんな章でもありました

3つ目のコンテンツは私達旅行者に絶大な人気のコッツウォルズから

「コッツウォルズでとっておきのデザートに出合う」
おそらくご紹介できないくらいの美味しいものがぎゅっと詰まった場所だと思います

しかし、メディアなどで“美味しい居心地の良いカフェ”と紹介され、
わざわざ期待を持って訪れたにも関わらず
本当に美味しいのか・・?感じの良い空間・・??・・と思うのか・・?と
首捻る場所も実は残念ながら少なくありません
限られた短い滞在だから“失敗したくない”と思うのは私だけでないはず・・・
だからこそ木島さんの御本のように
実際に体験された方のお薦めは安心して訪れることができます

しかも、コッツウォルズでは美味しいものをいただきたい、というカフェやレストランは
宿泊施設があるところも多く
これは嬉しい限りです!

本書の裏ページの帯にある取材スタッフ
「絶品スィーツランキング」のどうどう第一位は
こちらの章からご紹介の“ミセスGのトフィーメレンゲ”
写真を見ているだけでもすぐに駆けつけたいっっーー
ロンドンからわざわざ3時間かけても行く価値あり!なんて・・・
なんて説得力ある一文でしょう・・・

しかも、パブで宿泊施設もあるなんて・・・
おなか一杯になって動けなくなっても良いではありませんか・・と・・
女性らしからぬ食欲の権化の思考も頭をもたげてきます!
行くしかありません!

と、お次はやはり大好きなピーターラビットの里
「湖水地方はお菓子天国」

ここのところ冬に訪れることが多くなった英国への旅
数年前に訪れた夏の湖水地方では只管歩き回っていたので
カフェやパブへは余り立ち寄れませんでした

しかし、その後友人がこの地を訪れ、わざわざ送ってくれたお菓子が
本書でも紹介されている“グラスミア・ジンジャーブレッド”


グラスミアジンジャーブレッド グラスミアジンジャーブレッドの中身

ジンジャー”を使ったお菓子は英国では最も人気あるものですが、
余り私達の国では馴染みがありません

それは、この国でのティータイムでのお茶はたっぷりミルクの入ったミルクティー
このお茶に合うのが生姜を使ったビスケットや数々のスィーツ

女性や子供だけでなく男性にもこのジンジャー味は大人気です

数々の“ジンジャーブレッド”があるそうですが、
私も初めていただいたこのグラスミアジンジャーブレッドは
歯ごたえあり、ジンジャーの香りあり、そして何よりもミルクティーにことのほか合います
150年前も前に生み出されたサラ・ネルソンさんのこのジンジャー・ブレッドは
今まで口にしたことがないほどの美味しさでした

この地でしかお目にかかれない様々なお菓子の中でも代表格だと思いました

そして、90年前からの伝わるレシピを今に続き作り続けられ
当時と同じ人気を誇る“トフィー”や“ファッジ”
トフィーソースをふんだんに使った“スチィッキー・トフィー・プディング”も
1970年代にこの地で生まれました

どれも素朴なお菓子ですが、
湖水地方のお菓子は昔ながらのレシピをそのまま今に伝えて生き続けている、というこだわりに
この国のお菓子の原点のようにも木島さんの文章から伺えるように感じました

そして、続くのは「ロンドンスィーツ散歩」

お問い合わせでも多いのがロンドンでのアフタヌーンティーでお薦めの場所は・・?というもの
私自身もいつもゆったりとお茶でも・・・と行く前は意気込むのですが、
実際ここ数回の渡英でなかなかのんびりできない、という悲しい現状に
この項目は是が非でも次回はっ!と力込めて予定に入れようと思った項目です



ギャラリーカフェでの一服でも充分その雰囲気が味わえますし、
良い絵を見た後の一杯のお茶ほど嬉しい時間はありません

是非この項目を活用していただけたらと思います

最後は「お土産にはプディング&スィーツを」

街中で見かけたスーパーマーケットや観光に訪れた場所にあるショップで簡単に手に入り、
日本では手に入らない甘いもの

見ただけでは味の想像もつかずついつい尻込みしてしまう品物に
本書では写真入りでご紹介しています

私自身もスーパーマーケットは旅のお買い物の殿堂で
必ずと行ってよいほどはずしたことはありません
日本に居ても普段はキッチンに立つことのない私ですが、
出来上がっているスーパーのスィートは良く買って自宅で楽しむことが多いです

ただ、その中では“プディング”はまだ買ったことがなかったので
次回はトライしてみよう!と思いました

    

英国の甘いものがぎっしりと詰まったこの1冊

旅の楽しさが増すこと請け合いです


どうぞ、目にも嬉しいこの1冊を荷物の中にこっそり忍ばせて出発できる日を・・・
今の私は夢見ています・・・










こちらのページに関しては、全て私の独断になります
お読みになっていただいた後のご感想は、
皆様それぞれに感じることに相違があるかと思いますが
少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです




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