今月のお薦め本

  



〜2010年 4月・5月・6月〜


すっかりと「梅雨」に突入してしまった・・私達の国・・
この季節での彩りは紫陽花のみ





お休みの日の朝に聞こえる雨の音は
何となく優しいリズムには聞こえるものの
平日仕事へ出る日の雨音には自然と気持ちも下向きになってしまいます
・・・これから満員電車の中ではぐちゃぐちゃになるんだろうな・・

しかし!英国は1年で最もバラが満開になり、
どんなお宅でもほぼ咲かせることのできる国の花





そして、日に日に長くなる陽の長さは
私達旅行者にとってはめちゃくちゃ“お得感!”のあるシーズンでもあります


もし、カントリーサイドに滞在しているならば
お夕飯の後は腹ごなしにウォーキングをすることもできるし、
また、ガーデニングに勤しむ人々を目にする機会も多く
そのお庭を愛でる人たちの仲間に
ちょっぴり参加する(あくまでも気持ちのみ)ことも可能です

開館の時間の長くなるミュージアムやギャラリーをもう一つ!と
ロンドンの滞在も
他の季節よりも行動範囲が数段広くなる、
この6月

新しく発売しているガイドブックにもついつい手が延びて
何時でもすぐに飛び出せるように
また、その本から次ぎの旅への大きな期待にわくわくしてしまいます


新しいガイドブック
今週購入の新しいガイドブック

今の季節は自然と都会の街よりも
カントリーサイドへと気持ちが向かいます

のんびりと美味しいお食事とお茶の時間がいつもより沢山持てる・・
そんなことにも嬉しくなりながら
新しいガイドブックと旅の本を眺めながら
次ぎの計画にうきうきしています









【ヨーロッパの食事の時間&お茶の時間】



ヨーロッパのお茶と食事の時間


山本 ゆりこ著 発行元 ピエ・ブックス ¥1,680+税 2006年8月初版




菓子・料理研究家の山本ゆりこさんの2冊です

ピンクが“ヨーロッパの食事の時間”
茶色が“ヨーロッパのお茶の時間”

どちらもパステルカラーで収められた
パリと日本を往復し、
お菓子やお料理に関しての執筆活動や
企業アドバイザーとしてもご活躍の著者
山本さんが今までの旅で何度も訪れた欧州の国々での
食事とお茶の時間に出会った場面が
写真と文章で綴られた1冊です

どちらの本もテーマである
“食事”と“お茶”だけでなく
その場面にまつわる風景でもある雑貨の紹介や
作り方(調理方法)など・・
見ていてもほっとするコラムが散りばめられています

ご紹介している国はそれぞれにかぶっていますが、
食事とお茶はやっぱり旅の愉しみの中でも
期待指数が高いもの

見ているだけでもほっとできる・・
そんな2冊をご紹介いたします





先ずはピンクの本「お食事の時間」から

著者の山本さんは“はじめ”の冒頭で
ご自身の旅のスタイルについてこんな風に語っています

〜・・・朝食はしっかりとお宿でいただき、
午前中のうちにスーパーマーケットめぐり、
小さな店から大型店までしっかりとチェック
そこから友人へのお土産や自分のお買い物、

ランチは地元のカフェやその国ならではの軽食、
メニューを悪戦苦闘しながらその国らしい食べ物を選ぶ

午後は観光地へ行くよりも
街のパン屋、お菓子屋、食料店、アンティークショップなど
ティータイムはチェックしておいた、
おいしいと評判のティールームでお茶とお菓子

気づけばディナータイムには
郷土料理がいただけるレストランを予約し
その国の味や雰囲気を堪能する・・・〜

これは著者のお仕事に通じる国の「食文化」を
しっかりと見逃すことなく堪能する旅のスタイル

山本さん同様(?)
しっかりと食いしん坊な私も見習いたいスケジュールです



毎日は出来ないかもしれないけれど、
旅の中にこんな計画を数日盛り込むのも愉しい!


確かにその街でしか見ることの出来ない「本物」は沢山あるけれど
その国に住む人たちの日常で最も手っ取り早く知るのは
「食文化」

そんなことから本書はどんな国が垣間見られるのか・・
山本さんのこの1冊はそんな場面をたっぷりと見せてくれています





ヨーロッパを大きく3つのカテゴリー
“北欧”“西欧”“中欧”の国々にまとめています

全編を通してその国を代表する一皿と
そのお皿にまつわるレストランやお店、風景の写真、
そして、その国の食事について見開き2ページに及ぶ説明、
代表されるその国にしかない食材と調味料の写真&説明、
最後には私達が日常でも味わえる代表的なお料理の写真&レシピ





そのところどころに“Column”があり、
テーブル周りの雑貨や食器のことについてなど
素敵な写真と共にご紹介がされています

色鮮やかな紙ナプキンや
木でできた優しい手触りが感じられるバターナイフやチーズナイフ

どれも旅の思い出として
ついつい手にしたくなるようなものばかり
そんな目にも楽しいページが続きます


我が英国のお食事は・・と見ると・・
種類の多いパイや最近流行りの色とりどりのカップケーキ

国を代表する食事(?)としては
フィッシュ&チップスだけではない
このパイ類は
コーンウォールからのコーニッシュパイのみならず
シェパーズパイやエールパイ、様々なお肉のパイなど
数え切れないほどの種類があります

昔のガイドブックには必ず紹介されていた
ローズトビーフはすでに旅行者のためのお料理



日曜日(サンデーロースト)のお料理としてはまだ健在!ですが・・

近年流行りの『ガストロ・パブ』でのお食事に押されて、
英国の食事も大きな変化を遂げています

それでも、山本さんはイギリスの食材としては
フィッシュ&チップスには欠かせないモルトヴィネガーや
コールマンのマスタード、チェダーチーズと
昔変わらない味をご紹介しています





やっぱり山本さんにとっては本場おフランスは
ご紹介する食事場面を選ぶことにご苦労した・・のかな・・?
特に食材と調味料は初めて見るものばかり

これを見ると旅の中でもスーパーマーケット巡りに
益々拍車がかかりそうです



おフランスでは大人気のデザート クレーム・キャラメル(所謂プリン)


中欧の国々は海のない内陸の国
チェコとハンガリーをご紹介しています

やはりお肉中心でお魚は川魚のみ

それでも、ヴァリエーション豊かなメニューと
素朴な可愛らしいデザートが並んでいます





最後はまとめとして、
“ヨーロッパの朝食・パン・チーズ”が
今まで登場した国々のそれぞれが紹介されています

旅の間はともすれば見過ごしてしまいそうな“日常”ですが、
改めて見ると国の特徴が出ていて面白い!

食は何と言ってもイギリスの朝食が1番!
これは不動のようです


しかし、パンについては欧州という括りで見ると
以前よりはその国々の特徴が少なくなり、
イギリスでもおフランス風、ドイツ風とあり、
現在ではボーダーが無くなりつつあるようです




チーズに関しては各国各々主張あり!というところ





種類の多さは我が国の比ではない、というところでしょうか・・・

そう見ていくとこの「食文化」の違いに
旅の醍醐味を感じさせるこの本は
見ていて目にも胃にも嬉しい1冊です





  



もう1冊の茶色の一冊
「お茶の時間」

はじめに・・から始まるこの1冊は
山本さんはオランダのあるイラストレーターのオフィスで
ご馳走になったコーヒーから、
訪れたアムステルダムの街で見た“お茶の時間”が
フランス風でもなく、ベルギー風でもなく・・
これが“オランダ風”なのかなあ、と思わせるスタイルが存在していた・・
この一つの感じ方から出来上がったこの1冊

何気なくお茶していた時間が更に深い興味をそそります

イギリスにはじまりイタリアまでの7カ国の
お茶についてのダイアリーや取り溜めた写真、
飲み物やお菓子にまつわる話、雑貨類、
その国のテーブルコーディネイト・・など・・・

著者の9年間に出合った素敵なお茶の時間がぎゅっと詰まった1冊です


1杯のコーヒー


スタートはもちろん!お茶の国イギリスからです

山本さんが訪れた年号とその時・季節に出合った
お茶にまつわる出来事が綴られています

ミルク、ベリー・ベリー・ストロベリー、ショウガ・ジンジャー

この3つが年号と一緒にキーワードになっています

イギリスではやっぱり何と言っても
“ミルクティー”
イギリスへ行った方々から本当に誰もが口にする
ミルクティーの美味しさ
これは不思議とどの国よりも脱帽もの一品だと思います

次ぎはストロベリーを使ったイギリスの夏のお菓子
日本と違ってベリー類が出回り始めると
この国は誰もが待ち望んだ夏です!
季節感たっぷりの代名詞

日本では薬味に使われる生姜は
この国ではビール、ビスケット、お茶と異なるもので大活躍!
両国共通しているのは
“体が温まる”
冬には欠かせないお茶のスパイスです


 
生姜と蜂蜜入りのお茶は最高!

そして、素敵なティールーム、お菓子、そのまつわるお話、
お茶まわりの雑貨類
(イギリスで買うもの、日本でも買えるもの)

目にイギリスのものは何となく懐かしいような・・
身の回りにもあるような・・お茶雑貨になりますが、
進んでいく他の国


オランダ
こちらはもう断然コーヒーがお茶の主役
脇役(?)のお菓子たちは見ているだけで可愛い!
クッキーもケーキもお国変われば様子も違う


 

市松やうずまきクッキーはオランダが発祥
・・初めて知りました・・・
キャラメル・ワッフルもとっても甘いけれど
何故かお茶よりもコーヒーに合うお菓子
そう思うとこの国では
お茶よりも“コーヒー”なのがうなずけます


ドイツもコーヒーでした
トルテ、と呼ばれるホールケーキを
定規でカットしたような断面の一つがとても大きなケーキ

でも、この国で大好きなケーキと言えば
クーヘン、と呼ばれるバームクーヘン

お茶よりもコーヒーに合うと思いました






そして、ベルギーはおフランス、オランダ、ドイツに隣接する
可愛らしい国

ここでもコーヒーです

でも、さすがにレースの国
コーヒーは必ずトレイに乗せられ、
ソーサーよりもレースペーパーにカップが乗せられ
そして小さなお茶請けが付きます



初めてこの国でいただいたコーヒーに
ちょっぴり驚いたことは今でも忘れられません

甘い香りも香しいワッフルはこの国のご本家のお菓子
ベルギーのブリュッセル中央席に降り立つと
このワッフルを焼く甘い香りが漂っている記憶が蘇ります



お次は山本さんの地元、と言っても良いおフランスです

この国も欧州の他の国のようにコーヒーが主流、と思いきや
マリアージュ・フレール、
フォーション
(我が国ではお茶が先立ちますが、本国ではコーヒーが有名)と
有名処を沢山抱えています

そして、なんと言ってもお菓子については
王道中の王道、とも言えるべき
かのマリー・アントワネットの
「パンがなければお菓子を食べれば」の一言にあるように
(余り良い比喩ではありませんが・・・)
その時代から“お菓子”については先駆者とも思われます



地方ごとに伝えられてきたお菓子は正に一つの芸術とも言えるべき
大切に守られてきました

またお茶をいただくカフェはどんな時代にも
一つの文化としての役割を担ってきました

その中でもお茶とお菓子は切っても切れません




そして、スペイン、イタリアと続きます

暑い国のイメージがあるこの両国は、
コーヒー主体です

特にスペインはお菓子については卵黄を多く使うケーキや焼き菓子が多く、
昔から伝えられてきたレシピを今もって続いている・・・
そんなイメージもあります

イタリアは言わずと知れた
エスプレッソの国
お菓子もドルチェ、という言葉が
当たり前のように使われるようになった昨今
見た目も色鮮やかなチーズケーキやティラミス、パンナコッタは
もうすでに私達にも馴染み深いもの



お茶周りの雑貨もスタイリッシュなものが目立ちます




改めて見ると各国のお茶の時間はそれぞれに違う空気が流れていることに気づきます

そうなるとやはりお茶文化とコーヒー文化の違いもきっと大きく異なるのでしょう






そんな本書の巻末には
コラム的な各国のスーパーマーケットのご紹介

イギリス、フランスはなんとなしに解っても
それ以外の5カ国については余り記憶にないものも・・・

やっぱり“お茶”について手っ取り早く手に触れて、入れるのは
日常のこの場所、嬉しい特典です


次回の旅には是非スーパーマーケットを訪れて
気に入ったお茶のみならず・・
雑貨にも手が延びそうです











是非次回の旅についつい観光などに時間を取られがちな
食事とお茶の時間は
「食文化」を感じる大事なものとして
この2冊が一つの指針になれば嬉しいです



   




03年 9月 10月 11月 12月

04年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

05年 1月 2月 3月 4月 5月 6・7月 8月 9月 10月 11月 12月

06年 1・2・3月 4.5月 6月 7月 8・9・10月 11月 12月

07年 1・2月 3・4月 5・6月  7・8月 9・10・11月

08年 1月 2・3・4・5月 6月 7・8月 9・10月 12月

09年 1・2月 3.月 4.5月 6月 7.8月 9・10月 11・12月

10年 1・2・3月

 


Top New ページのTop