今月のお薦め本

    



  〜2010年 8・9月〜


今年の夏の猛暑は
日本各地記録的な数字を日々生み出しては
“夏嫌い”の私をとことん打ちのめしてくれていました・・




家に居る時は当然エアコンのない場所には居られません

今年は我が家の猫達も
私達同様にこの猛暑には何時もの夏より苦労したようです


家族である2匹の猫達のうち
長老猫のリキは16歳

(人間の年齢だと約80歳)

16歳のリキ


以前は黒々としていた顔も年齢のせいか・・大分白くなりました

わずか生後2ヶ月から家族として暮らしているので
玄関に訪れる訪問客には家族の誰よりも先に玄関へ向かいます
(とても社交的で、とにかく訪問客のチェックは何時でも興味深々です)

そんな時はよく“この子は狸ですか?”と言われたもの・・・
年齢と共にちゃんと猫に見られるようになりました

(彼はペルシャとアメリカンショートヘヤーのミックスです)


もう1匹は6歳くらい、という難しい年齢で我が家の一員になった、
“女王様”猫のまあ


三毛猫のまあ

とにかく家族の中で唯一甘えるのが私にだけ
(と、言うよりは私については“召使い”と思っている節があります・・

三毛猫ではありますが、
生まれつきの歯槽膿漏、とアレルギー体質を持ち
そのため触られるのは嫌いなのにブラシが大大好き!
ほっそりとした体に小さな顔(歯が殆どないから)、
長い手足の持ち主です


今年の猛暑には彼ら「長毛」と「短毛」ということもあるのでしょうか・・?

リキはエアコンなしでは居られず、
まあはエアコンかけるとお布団の中に入ってしまう・・という
見ていて何とも暑苦しい所業・・・


ここ9月に入っても衰えない残暑に
ついつい外出時にも
リキのためにエアコン、まあのためにはお布団・・・と・・・





そんな日々に今回は発行仕立てほやほやの
英国の猫達と旅にまつわる1冊をご紹介いたします

こんな旅も良いな〜と思わず彼らに会いに行って見たくなりました

英国は犬天国とも言われますが、
「猫」にも幸せなんだな〜とつくづく思います


どうぞ、まだまだ残暑続く日本で
次ぎの旅を構想しながら・・・
遠い国の猫達に思いを馳せてみてはいかがでしょう!












【しろねこ】

〜 英国の古城に暮らす猫を訪ねて 〜



しろねこ



石井 理恵子(執筆)&横山 明美(写真) 著 発行元 新紀元社 ¥1,600+税 2010年8月初版





こちらでももうすでにお馴染みご紹介させていただいている、
英国&猫!と言えば
石井理恵子さんと横山明美さんお二人の最新刊です!




執筆の石井さんは今までも英国の旅についての著作を毎年生み続け、
その随意所で猫の居るお宿や観光場所(スコッチウィスキー蒸留所などなど・・)を
ご紹介していらっしゃいました

写真ご担当の横山さんは英在中20余年でいらっしゃる
金融シティで勤務するかたわら
フォト・ジャーナリストとしてもご活躍中、とのこと

そして、表ページには私も大好きな銅版画家(&ミュージシャン)でもいらっしゃる
松本里美さんの銅版画イラストの猫たちです

今までもこのお三方が組んでの英国旅本は
常に私にとっては次ぎの旅への後押しにもなってくれています

go to uk !


と、言うのも彼らの御本ではその場所への行き方が紹介されているので
ついついその行き方を挑戦してみたくなるのです

石井さん達の旅は当然の如く
車での移動が多くていらっしゃることと思うのですが、
しかし、鉄道やコーチという公共交通手段や
どうしてもタクシーを利用する場合であっても最小限度、という
ご紹介に嬉しくなります


今回の1冊は今まで多数の著作本で登場してきた猫たちの
正にその集大成とも言えるべき、
「猫の居るお城」をご紹介する
この“しろねこ”=“城猫”なのです

英国の旅好きも猫好きもお楽しみいただける、
そんな1冊で2粒美味しい!

先ずはぱらぱら開いてみてください、
きっと目が離せなくなることと思います





本の帯の一文はこんな風に描かれています

〜“しろねこ”を訪ねて、英国の美しい古城や貴族の館をめぐる旅
そこには飼い主との強い絆、そしてシンデレラ・ストーリーがありました 〜

動物との出会いは本当に出会うべくして出会った、と常に思います

偶然出会ったのではなく、“出会うべくして”なのです

この本に納められている13のお城や館に住む猫たちは
彼らの意思でその場所を選び、
そして、そこで出会った人たちは彼らと共存できる一時に
お互いに喜びも共有している

彼ら(猫たち)は私達人よりもその一生は短いので、
一緒に居られる時は一刻一刻が本当に至福の時間なのです





ここに紹介されている13のお話には
そんな貴重な“時”のそれぞれが描かれています



さて、本文には先ずはそんな彼らの居所を教えてくれる
英国のマップから始まります

しろねこの城、館の場所は北はインヴァネスを遥か北上したダンロビン城から
南はランド・エンズ近くのペンザンス郊外のセント・マイケル・マウントまでの広範囲に渡っています


ダンロビン城 セント・マイケル・マウント

今回の1冊は如何に石井さんと横山さんのお二人が
英国中のしろねこたちに会いに奔走したかが伺えます





トップバッターの猫はコッツウォルズとウェールズの間に位置する
19世紀始めに建てられた比較的新しいお城である
イーストノア城に暮らす2匹の猫
ナトキンとミッドナイト

ピーターラビットのお話に出てくる
赤リス・ナトキンに由来しているかのような赤毛の猫がナトキン

もう1匹の猫はその名の通り黒いまだら猫の
ミッドナイト

2匹は当初ねずみ取りのためにお城へ呼ばれました

このように英国では今でもネズミ捕りのために
猫を住まわせる場所は少なくありません

そして、ナトキンもミッドナイトもやはりネズミ捕り!

しかし、困ったことに館の中でのハンティングではなく、
外で捕まえた獲物を中に持ってきてしまうそうです

この城は現在は結婚式場やロケ地に使われたり、
4月〜9月の間は公開されているので
そんな来場者達の人気者になっている、とのこと・・
広い城内で彼らの姿に出会えたら、嬉しい偶然ですね!




次ぎは本書のカバー拍子にもなっている
最年長猫のボリスが住む
スキップトン城

バーミーズ、という種の20歳になるという
ボリスはこの城の城主のセバンスチャンさんとたった2人暮らし

元々ご主人と一緒にロンドン暮らしでしたが、
セバンスチャンさんがこの城に住むことになり
一緒に引っ越してきてすでに10年が経つそうです

このお城はイングランドの中でも現存する城の中で、
中世城壁建築の姿を最も完全に残している歴史的建造物のひとつです

1090年にノルマン人の男爵がここ北ヨークシャーに木造の砦を建てたのが
この城の始まりでした

その後は石造に立て替えられて
現在まで城主が変わりながら、家系とは異なる城主になったとは言え
この歴史ある城を二人は守っています

ロンドンから鉄道で約3時間、
最寄駅からは徒歩でも行くことが可能なこの城は
次回の旅へ行って見たい場所の一つになりました


御年20歳(約96歳)になる、というボリス・・何時までも元気でいてほしいです・・・



さて、現存する英国の古城や館は居住になっているお城もありますが、
やはり共通しているのは
歴史的な建造物を保存し続ける・・ということ

そんな事柄からこの国には世界に誇れる
「ナショナル・トラスト」という保存団体があります

そのナショナル・トラストの管理下の元
維持されている古城や歴史的建造物の館などが多々あります

その中の一つイングランドの中央部に位置する
ウェッジウッドで有名なストーク・オン・トレントに程近い場所に
シャグバラ、と呼ばれる領地と館があります

こちらは現エリザベス女王の従兄弟にあたる
アンソン家のリッチフィールド伯爵家のお屋敷になり、
現在は6代目に当たる伯爵がご当主様になります

元々前領主5代目の伯爵が生前に
このお屋の一角に家族が住むことを条件に
ナショナル・トラストへ譲渡しました

ですから、現在はそのナショナル・トラストの管理下の元、
19世紀の英国を再現した時代村に生まれ変わり
お屋敷内では写真家でもあった前ご当主の60年代ロックスター達の写真や
ヴィクトリア時代の衣装を身につけたスタッフが
当時の生活や文化を紹介するアトラクションなどを楽しむことができます

シャグバラ時代村
ヴィクトリア時代の生活を紹介するスタッフたち
年間を通して様々なアトラクションを催しています
“シャグバラサイト”より


そんな広大なお屋敷に住むベンガル猫のイヴィーは
前当主5代目伯爵の飼い猫で、
こちらでそのご主人様と一緒に暮らしていました

ベンガル猫
ベンガル猫 注)イヴィーではありません wikipediaより


しかし、その5代目のご当主が亡くなり、
ロンドンに住む現ご当主(6代目伯爵)に引き取られ、
暫くはロンドン暮らしでしたが・・
やはり慣れない場所での暮らしは肌に合わず
この館へ単身戻ってきました

このベンガル猫という種類は
元々野生のベンガルヤマネコと家猫との交配により人の手で作られた種になり、
性格は温厚ですが非常に多い運動量を必要とするそうです

ですから、ロンドンでの暮らしよりも
広大な敷地とお屋敷の中でのびのびと暮らす生活が
彼女にとっても理想な暮らし、ということになるのでしょう

今ではご当主の留守にお屋敷を守っている
日常の世話や遊んでくれる優しい執事さんや
ロンドンから時折訪ねてくる6代目伯爵、
もしかしたらまだお屋敷に残っている前5代目ご当主・・と・・・
イヴィーにとっても
このお屋敷での生活はまるで正真正銘のお姫様暮らし!!
何でも用事のある時は執事さんが来るまで泣き続けるらしい・・・

このイヴィーの住むシャグバラへ
ヴィクトリア時代の生活や文化を見る事ができる時代村、とも言うべき場所へ
私もいつか訪ねてみたい、と思いました




ロンドンから気軽に訪れることの出来るお屋敷としては
ノーサンバーランド伯爵が所有する
元は修道院だっという邸宅のサイオン・ハウス

ロンドンから鉄道で約30分、その駅から徒歩15分、という立地は
ロンドンから1日のんびりと歴史的建造物でもある
お屋敷と80ヘクタールもある大庭園を見に出かけてみてはいかがでしょう

ここでは住み込みガーデナーのマッケンジーさんが
あわや安楽死寸前、という猫を引き取り
現在はお母さん猫となっているエンバという黒白猫が住んでいます


4匹の可愛い子猫を生んだエンバは
彼らの愛娘まだ赤ちゃんのファーンちゃんが上に乗ってつぶされそうになっても
怒ることもせず好きにさせてくれているそうです

また、庭仕事をするマッケンジーさんの近くや
散歩をするファーンちゃんのベビーキャリーの物入れにも入って
一緒に移動したり・・・と
とにかくマッケンジーさんの家族が大好き!

元気一杯の子猫も里子に出す予定だということで
この紙面でしか親子が揃った様子は見られないことになりそうです

こねこ達


さて、この80ヘクタールの敷地の中のサイオン・ハウスの見所は
お屋敷も然ることながら・・庭園もお薦めだそうです

1830年に出来た金属とガラスの大温室は
当時としては珍しく、
またその美しさは今も変わりがありません

是非マッケンジーさんのお仕事場でもある
このガーデン巡り&お屋敷見学はいかがでしょうか・・?




さて、本書それぞれの古城、お屋敷にまつわるお話が載っています
こうした説明があると俄然その場所へ行って見たくなります

そして、その合間にはおそらく石井さん達も滞在されたであろう、
お薦めのお宿もご紹介されています

英国の旅には外せないB&Bには
家族として良くその家庭の動物達に接することができる場合があります

犬であったり、もちろん!猫であったり・・
古城や館を訪れる際に利用するお宿にも
そんな猫に遭遇できるチャンスや猫グッズが手に入るショップなどの紹介も充実しています

13の最後はナショナル・トラスト管理のベルトン・ハウス

この館に滞在するにあたってお薦めのお宿としては
何と!6本指を持つ猫の姉妹がいるお宅
クロディゲート・ファーム

車がないとちょっと不便なお宿ではありますが、
ファームスティには素敵なお宿だな〜と思いました

そして、その6本指を持つ姉妹猫!
毛色がまったく違っても1本多い指のせいで
姉妹はデカイ手の持ち主です

うちの子の指もつい数えてしまいましたが・・やっぱり6本はありませんでした

 



あとがきには“しろねこ取材を終えて”という
全てご紹介している場所のコラムは
本当にご苦労されての取材だったんだな〜とつくづく思いました

確かに猫は本当に自由気まま
いろんな性格の子がいますが、
こちらの思うようには決して行動してくれないのが彼らです

家族でさえその場所に居てね、ということすら
彼らには通じません・・・
彼らの行動は彼ら自身が決めるのです

そんなことからも良く比べられる犬たちとは違う魅力を感じるのでしょう

“猫”と“旅”という2つがお好きな方でしたら
是非お薦めの1冊です

また、猫に限らず
英国でしか見ることの出来ない古城やお屋敷にご興味のおありの方でも
こんな見所があったのか!という指針にもなります

どうぞ、次回の旅に備えた1冊と
猫好きには癒しの1冊にもなりましょう

残暑続く日本でちょっぴり“ほっこり”できる瞬間を
この1冊からお約束できることでしょう・・・








1冊の本から旅が数段にも広がることがあります
それは個々それぞれに感じることも違うことだと思っています

それでもほんのちょっぴりご紹介している本が
何かのきっかけになれば
こんなに嬉しいことはありません

ご意見、ご感想をお待ちしております




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