今月のお薦め本






  〜2011年 3.4月〜


2011年7月に何年振りかで
お客様とご一緒に
ロンドン&湖水地方への旅に出ます

湖水地方の丘



折りしも3月11日の東日本大震災が起こる前に
この旅の計画はたてられました

湖水地方でもやや北西に位置する小さな街
Cokermouthコッカマスに程近い場所にある
Higham Hallという17世紀の館では
通年250コースにも及ぶ様々なアダルトスクール講習が開かれています

その中でも夏の講習会の中に2人の日本人講師による
「焼き物」と「書道」のコースがあります

その「書道」コースの先生に師事をしている元上司から
今年のその夏の講習会に
先生御自身から生徒さんをお連れしたい、とのこと・・
何か旅を作ってくれないか?とのご依頼を受けました

先生は御自身のお住まい近くと
東京では数箇所で書道を教えていらっしゃいます

先生は毎夏湖水地方のHigham Hallからお招きを受けて、
その講習会講師や遠くから訪れる生徒達のために
宿泊施設と食事を提供している
広大な土地に立つ大きなお屋敷にご滞在しながら
約2週間の書道教室を開きます

英国に住む方々を日本古来からの文字を
何と!墨と筆で教えていらっしゃる・・・・
毎年人気のコースの一つで
生徒さん達もすぐに集まってしまうそうです

先生御自身も英国が大好きでいらっしゃり、
何度も訪れているお国と伺いました

今年2011年夏には
この湖水地方のワースワーズ美術館に於いて
先生の書のデモンストレーションが行われるそうで
先生の生徒さん数名をお連れして
私にとってにも初めての
Higham Hallでの滞在&数名の生徒さん達とロンドン観光をいたします
(旅を作っている内に私も参加したくなってしまいました

震災後にいらっしゃれなくなったお客様もいらっしゃいましたが、
英国で先生を待ってくださっている生徒さん達や
こんな時期だからこそ!
普通に“生活”を希望されるお客様に支えられて
約10年振りに私も湖水地方へと向かいます

もし、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、
是非ページ最後メールへお尋ねくださいませ!

ロンドンでの滞在はアン宅&ミセス・ハリガン宅です!
すでにトップページでご紹介しております
“満室”は今回の旅で滞在する期間もございます

私的なツアーなので
数名のお客様には是非B&Bをご体験していただきたくて
両お宅にもご協力いただくことをお願いいたしました

アン宅のダイニング
アン宅の朝食スタート前
ミセス・ハリガン宅のダイニング
ミセス・ハリガン宅のスタート前


そんなことから早速今回ご紹介する本は
久しぶりに以前何度か訪れた
大好きな湖水地方を改めて
“予習”のためにもお薦めする1冊です

また、これからの季節に訪れる場所としてもNo1!
英国屈指の国立公園としても
これからのご計画にいかがでしょうか?








英国湖水地方

〜ナショナル・トラストの聖地を訪ねる〜



英国湖水地方



小野 まり 著 発行元 河出書房新社 ¥1,800+税 2010年3月初版





「湖水地方」と言えば私にとっては
大好きなピーターラビットにつながります

この本の表紙もピーターラビット生みの親
ビアトリクス・ポターの家Hill Top





このピーターラビットとのお付き合いは
まだ日が浅いとも言えるかと思います


20数年前に始めて訪れたロンドンで初めて出会った食器からでした

現在持参している中でも1番の宝物は
すでに本国でも探せない、と言われた
毎朝朝食に使っているウェッジウッド社の旧シリーズのサンドウィッチトレイ


ピーラー・ラビットのサンドウィッチトレイ
1980年代最初に旅し始めた頃に偶然買い求めたものでした


3月11日の東日本大震災時、我が家もかなり揺れました

国産のナルミなど母のティーカップ&ソーサーは殆ど全滅・・
食器棚から同じように飛び出したにも関わらず
1つとしてヒビも入らなかったのは
1980年から1990年代に買い捲って日常大活躍している
旧シリーズの数々の食器たち

プレート&ティーセット

 本当に有難いほど丈夫でございました!




「湖水地方」から大分離れてしまいましたが、
それ以後は実際過去に3度ほど
この地を訪れた時もポターさんのピーターしか目に入りませんでした

ですから、後年後になって知ったのは
湖水地方とは自然をそのまま残した
「ナショナル・トラスト」が管理、保存している地であることが・・・

ナショナル・トラスト (National Trust) とは、
歴史的建築物の保護を目的として
英国において設立されたボランティア団体です

正式名称は
「歴史的名所や自然的景勝地のためのナショナル・トラスト」
(National Trust for Places of Historic Interest or Natural Beauty)
一般に略してナショナル・トラストと呼ばれています

1895年にオクタヴィア・ヒル、ロバート・ハンター、
ハードウィック・ローンズリー牧師の三者によって設立されました

特にローンズリー牧師は
ピーター生みの親
ビアトリクス・ポターさんがまだ少女だった頃に
ポター家が避暑地としていた湖水地方の教区の牧師さん

ポターさんがこの牧師さんとの出会いによって
大きな人生の転換を迎え、
現在にまで残る湖水地方の自然を守った一人であることは

周知によるところです

しかし、この地方の自然に大きく影響を受けた著名人は
桂冠詩人のウィリアム・ワーズワース、
ジョン・ラスキンと時代の顔があります

1770年湖水地方中心地、
鉄道駅があるウィンダミアから北西に位置する
Cockermouth/コッカマスに生まれた詩人のワーズワース

彼の生家に程近い場所に立つ
Higham Hallへ訪れるため向かい

今回の旅はそのワーズワースが中心となります

そこで、今まではポターさん絡み中心だった
湖水地方巡りだったことから
参考となる書籍にこの1冊を選ばせていただきました


湖水地方



著者の小野まりさんは
すでに資料としても常に常備している
「英国コッツウォルズ」「英国ナショナル・トラスト紀行」の
著者さんでもあります

英国ナショナルトラスト紀行と英国コッツウォルズ
左:英国ナショナル・トラスト紀行 右:英国コッツウォルズ

NPO法人ナショナルトラストサポートセンター代表
及び同英国事務局長でいらっしゃいます
現在画家でいらっしゃるご主人様と息子さんと
日本人のみならず本場英国でも憧れの地
コッツウォルズにお住まいで
2009年から(財)ロングスティ財団公認海外サロン責任者様でも
いらっしゃるようです


そんな小野さんのこの1冊は
これから湖水地方を訪れる旅行者にはもってこい!

先ずは
「第一章湖水地方へのアクセス」
日本から出発して向かう方法と
英国内で滞在をしてから向かう英国内からの行き方をご紹介しています


この地は地図でご覧になってもお解りのように
英国内では最大の広さを持つ国立公園です

東西53km、南北64km、総面積2,292kuあります
(東京都よりも広いです・・東京都面積は2,187.42kuです)

通常の旅行者が数回訪れただけでは
その地での楽しみ方を甲羅できるはずもありません


但し、時間の限られた旅は私達の多くが抱える悩み・・・

第二章から始まるこの地の旅のスタイルを選んでみてはいかがでしょう!

「第二章湖水地方を守るナショナル・トラスト」
小野さんの著作でこの章ははずすことはできません
と、言ってもこちらではナショナル・トラストのご紹介ではなく
(とは言え半分はそうなのですが・・・)
広大な公園の中には移動手段の一つとして
ドライブが挙げられています

何故ならば“鉄道”が存在しない訳は
このナショナル・トラストと切っても切れないお話になるので
この第二章はそんなタイトルになったのでしょう



「第三章湖水地方文学散歩」
今回次ぎの旅に備えて最も参考になった章でした
ワーズワース、ラスキン、ポター、ランサムと
4名の文学者に因んで湖水地方の観光が解り易く解説されています

今回ご依頼を受けた書道の先生は
ワーズワース・ミュージアムで「書」のデモンストレーションを行うため
6月にもそのセッティングに向かうそうです

また、特に滞在するHigham Hallは
ワーズワースの生家があるコッカマスに程近く
ワーズワース・ハウスとしてナショナル・トラスト管理の元
世界中からの見学者を迎えています

今まで不勉強ながらダヴコテージ以外で様々な見所があったことは
今回の旅の依頼で解ったこと・・・

また、この4名の文学者は
それぞれに違う作風を持っていることにも興味を感じました

「第四章湖水地方を歩く」
これからの季節にはもって来い!のこの地ならではの楽しみ方です
鉄道で向かうならがウィンダミア&ボウネス辺りは必須です
また、終日滞在できるなら路線バスでアンブルサイドへ、
またはケズィックやケンダルへ向かい、
小さな村を楽しみながらのウォーキングは言わずもがな!
取っておきの数日になります
ランチにはここでしか味わえない名店レストランや
ティールームでのお茶、
ローカルビールの美味しいパブが
それぞれお料理の腕を競いながら
ゲスト達を待ち構えている様子も紹介しています

但し、夏でも急に変わる天気には必ず長袖の防寒着を!

「第五章湖水地方を味わう」
前章にリンクして、
ファームの多いこの地ならではの“食”をご紹介

ポターさんが後年保存に最も力を入れた、と言われる
この地方独特のハードウィック種の羊は
タフで、農作に不向きな地形の湖水地方でも住む事ができ、
長命かつ体が丈夫な事で有名です

ハードウィック種の羊

子供の時から体が黒く、顔が白く生まれてくる者もいれば、
真っ黒なカラーから徐々に顔だけが白くなる者も居る、という
とてもユニークな羊です

そのお味は肉が苦手な私には計り知れませんが、
1953年現女王のエリザベス2世戴冠式晩餐会でも食されり・・と
高い評価を受けているそうです

また“ベルテッド・ギャロウェイ牛”、
塩分を含んだ草を食べて育つ“ソルトマシュ・ラム”、
“カンバーランド・ソーセージ”、
“カンバーランド・チーズ”などの酪農産物に続き、
英国が誇るパブに欠かせない地ビールのブルワリーは3社など・・・

そんなパブ大好き人間の私には嬉しい情報も載っています

そして、著者お薦めの滞在先としては
ファームコテージやB&Bの案内も有難いです

「第六章魅惑のカンブリア史」

最後は湖水地方の歴史です

本書より・・・中略・・・過去、現在、そして未来を探ることで、
湖水地方の真の魅力を見出せるかもしれません・・・

確かにその場所のちょっとした歴史をひも解いていくと
以外な側面が見出せて
実際その地に自分の目にした時に
何故このような自然がこの時代まで残されたか?という
感動にも似た疑問を解くにもヒントになります

それは得てしてこの国の歴史の1面にも当たります

長い章ではありませんが、
ちょっと目を通しておくと更に興味が深くなるかもしれません





今回は自身の旅計画に欠かせない資料本としても
大いに役立ってくれている1冊をご紹介いたしました

旅のガイドブックも勿論必要ですが、
訪れる目的地が解っていると
その“専門書”としてこのような1冊は大変助かります!

どうぞ、この夏に湖水地方をご計画されていらっしゃる方々へ、
また行ってみようかな〜とお考えの方々へ
一つの指針として
是非お薦めします

“復興支援”とまでは行かないにしても
「普通に無理なく」出来ることととして・・
例年以上に良い旅をなさっていただくことを節に願っております










1冊の本から旅が数段にも広がることがあります
それは個々それぞれに感じることも違うことだと思っています

それでもほんのちょっぴりご紹介している本が
何かのきっかけになれば
こんなに嬉しいことはありません

ご意見、ご感想をお待ちしております




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