今月のお薦め本






  〜2011年 11.12月〜


早いもので今年残すところあと半月余りとなりました

2012年は私達日本人にとっては未曾有の年になってしまい
ここからどんな風にして立ち直ることができるのか?
何が私達に出来るのか?・・が
問われる正に「分岐点」の1年になりました

起こってしまったことは結果として
ここからの再生にどんな方向へ進まなくてはならないのか、を
人任せにはできないことを
私達日本人が自分達の為に考えなくてはならないことを
「自然=地震&津波=原発」という図柄から
突きつけられた気がします

先日陸前高田市を実家に持つ友人から
『希望の一本松』のクリアーファイルをいただきました

高田松原、という全長2kmの及ぶ海岸の松林が
3.11の津波で7万もの松林はほぼ壊滅・・
奇跡的に1本倒れずに残った雄雄しい松の木です

今年の猛暑で新芽に被害が出ている、とのこと
その後の情報がわからないままですが、
是非とも残ってほしい、と願わずにはいられません




そんな2011年でしたが、
振り返れば冬・夏と2回の渡航が叶いました

夏の渡航はお客様とご一緒だったこともあり、
一人では経験のできない旅になりました

そして、一人ではないことで様々な本も参考にしていたように思います

旅は出発前の楽しみ半分、
行って半分だと思っています

今年最後にご紹介する1冊も少しでもご参考になれば嬉しいです








【ウィリアム・カーリーのチョコレート・マニュアル】



ウィリアム・カーリーのチョコレート・マニュアル


ウィリアム・カーリー 寿々枝・カーリー著 
発行元 誠文堂新光社 ¥2,400+税 2011年1月初版



  


私が初めて「ウィリアム・カーリー」の名を知ったのは
「ロンドン、とっておきのティープレイスへ」という
1冊の本からでした

チョコレート専門店のオーナー・パティシエであり、
日本人の奥様も同様にパティシエで
一緒にお店を切り盛りしている、という紹介ページから
若いご夫婦の笑顔がとても印象的でした


その後ロンドンの郊外リッチモンドまで
彼らのショップに行きたくて足を延ばしましたが
あいにくとその期間はホリデーで、
閉店を告げる案内にがっかり・・・
・・その後わざわざ訪ねて行くこともなく数年が過ぎてしまいました

そんなことも忘れかけていた昨年の冬
偶然ピムリコ地区スローン・スクエア駅から行く
「デイルズフォード・オーガニック」の新しい大きなショップへ向かった先に
偶然飛び込んできた文字「WILLIAM・CURLEY」を見つけました

デイルズフォード・オーガニック ウィリアム・カーリー

ここはロンドンでも一等地の高級住宅街

正直なところチョコレートオンリーのショップを構えるには
かなりの実力がなければ・・と旅行者の私でさえ驚きました!

目的であったデイルズフォード・オーガニックへは早々に引き上げて
数年前諦めたチョコレートショップへ向かったことは言うまでもありませんでした





今回はそんな彼らご夫婦が出した初べき1冊を見つけた時には
この高級住宅街での2店舗目を見つけたような驚きがありました



    



さて、この本は大きく6章に分けて
彼らの余すことない「チョコレート」について語っています

第1章
「チョコレート・デザート」では、
5種のチョコレート・デザートのレシピです
ここで彼らは自分達のオリジナルでもあるレシピを惜しげもなく公開しています

しかし・・・私のような素人ではいくら公開されても・・・
簡単には作れそうにもない技や材料などが記されているように思います

でも、いただく方は一瞬にして口の中で溶けてしまうデザートの
美味しい秘密が解って面白い

是非腕に自信のある方はプロのデザートに挑戦してみてくださいね!

そして、第2章は
「チョコレート・パティスリー」
ここではチョコレートを使用した
チョコレート・ケーキのレシピ紹介です

ショップの中で人気のケーキです



そして、現在2店舗のショップ紹介もしています
ここで彼らがロンドンの中でも
高級住宅街にショップ展開を考えた経緯が記されていて
成功の秘密の鍵が読み取れました

ベルグレイビア店
2店舗目のチェルシー地区の「ベルグレイビア」店


チェルシー地区の2店舗目は正面手前はショップになっていて、
奥はティールーム

ショップ奥でティールームの手前にあるのは
この第2章で述べている
ウィリアムがレストランで長年修行をしていた時の経験から
作りたかった、というデザートバー
一人の女性が本を読みながら寛いでいる風景が見て取れる


第3章
「チョコレートの焼き菓子」

実は私のが1番好きなチョコレート菓子になります
ケーキのムース系が苦手で、
トリュフよりも冷蔵庫で固めたパリッとしたチョコの方が好きな私は
ここで紹介してくれているチョコレート・ブラウニーやチョコレート・サブレ、クッキーは
よだれものでもあります

元々イギリス菓子はどちらかと言うと
この焼き菓子の方がお得意のよう思います




第4章
「チョコレートの基本と技術」

この章ではウィリアム・カーリーで使用している
チョコレートの原型や専門用語を教えてくれています

掲載されているレシピを見て解らない用語など
また彼らのショップで使っているカカオ原料についても詳しく説明しています

ここを読むと如何に繊細で手の込んだものであることが解ります


第5章
「チョコレートボンボンとその他チョコレート菓子」

一粒一粒は宝石のようにショーケースに並べられている
このショップオリジナルのチョコは
日本人パティシエでもある奥様の影響もあると思います

使っている材料が“黒酢”“ゴマペースト”だったり
サントリーのシングルモルト“山崎”だったり・・・

僅か2〜3cm角くらいの一粒のチョコレートが
至福を与えてくれる、というのは
正に感激の一言にしかなりません


ショーケースの宝石
ウィリアム・カーリーのチョコレート


そして、様々な可能性を秘めたチョコレートは
こんな風に可愛らしくディスプレイされています


店内のチョコレートバスケット
チョコレートバスケット&チョコバー


そして、最後は第6章「ウィリアム・カーリーとは」
このショップのオーナー兼パティシエである
ウィリアム・カーリーと寿々枝・カーリーお二人についての章です

それぞれ自身のことを綴っています

ここで彼らの生い立ちや出会い、思いがそれぞれ交差していながら
やはりお二人は出会うべく出会って
こうしてここまでの実(ショップ展開)を作ってきたのだな〜と解ります


店内のチョコレートたち
「ベルグレイビア」店のショーケース


一つの「チョコレート」

これほどまでに様々なお菓子があり、
夢のような味、見目、香りを作り出す彼らの世界は
ロンドンのみならず・・
いずれは世界中で展開されることもそう遠くないのでは・・・?と思うのは
きっと私だけではないはず

何時か彼らの作品が多くのロンドンナーや
私達旅行者を楽しませてくれることを心から願っています


チョコレートの数々
棚に並んだ目移り満点のパッケージチョコレート菓子達


そして、寒いこの時期に彼らの願いの叶ったデザート・バーで
暖かいほとチョコレートで体を温めに立ち寄るのもお薦めです!


カプチーノ
これはカプチーノです



是非ロンドンへいらっしゃる際には
彼らのチョコレートを目指す前にご一読をお薦めしたい1冊です






    



1冊の本から旅が数段にも広がることがあります
それは個々それぞれに感じることも違うことだと思っています

それでもほんのちょっぴりご紹介している本が
何かのきっかけになれば
こんなに嬉しいことはありません


ご意見、ご感想をお待ちしております




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