～2012年 6･7･8月～
今年2012年の8月は先月から始まった
ロンドンオリンピックで観光客、というよりも
観戦＆観光で例年以上に混みあった月になりました
先月そのオリンピック前に訪れたロンドンは
昨年以上に人が多く、
やっぱり“オリンピック景気って凄いな～”と
つぶやいていたら・・・
タクシーの運ちゃんが一言
「たった2週間ばかりの大会に揃えた人員の数が尋常じゃあない、
それが大会が終わったら、全て仕事がなくなるんさ・・」
それって・・・
・・・確かに・・・円高もそれほど変わらないし、
（現在ポンドやユーロなど日本人観光客には嬉しい価格）
オリンピック大会って長く思っていたけれど
確かにおおよそ2週間余り
ロンドン市内のホテル、宿泊施設は軒並み
通常価格の少なくとも2倍から3倍以上・・なんて聞いていました
オリンピックが閉幕した今になれば
普段と変わらない
“観光シーズン”並みになるのか？どうかは解りませんが、
やっとその最大のスポーツ大会が終わり
通常の旅をする人たちで
ちょっと落ち着き・・・そして・・・
夏が完全に終わっていないロンドンは
何時のもようにまだまだ賑わうことでしょう
この陽が長い1日の恩恵はもう少しありますから！
外でいただけるパブのビールはこの時期だけ！！
しかし、日に日にその明るい時間が短くなることに気づき始めるのも
あともう少し・・・・
猛暑続く日本を脱出して
オリンピック後のまだ熱気覚めやらないロンドンへ行くも良し！
夏の終わりと秋の初めを感じにカントリーサイドへ行くも良し！
人が快適だと感じる丁度良い気温の国・・・
へ（何しろ人の体温よりも上昇する日本って一体・・・
）今年の夏休みをまだ満喫していない方々へ
ご紹介する1冊が旅のお供になってくれれば、と思っております
今回は沢山お世話になっている
ロンドンのベテラン・ガイドの裕子さん
初著作をご紹介いたします
ロンドン観光には欠かせないギャラリーへ興味のある方、
または英国史をちょっぴり垣間見てから旅をしたい方など・・
またすでに帰国してしまったけれど
目にした絵画について興味をお持ちになった方々へ
特にロンドンのギャラリーへいらっしゃる予定の皆様へは
お読みになってからだと
ロンドンご自慢のコレクションを鑑賞される際には
数倍楽しめること！請け合いです！！
【 英国王7人が名画に秘めた物語 】
～ ロイヤル・コレクション500年の歴史 ～
ライト 裕子 著 発行元 小学館 ￥1,100＋税 2012年7月初版
日頃大変お世話になっている
ロンドン在住ブルーバッチお持ちの
正規ベテランガイドさんライト・裕子さんの初めての著作本です
裕子さんは現在ロンドンのみならず
英国中ご依頼があれば、どんなガイドもされますが、
彼女が1番強みにしていらっしゃるのは
バッキンガム宮殿で公開される
ロイヤル・コレクション絵画のガイド資格をお持ちでいらっしゃること
特に夏の時期は夜の公開時間も設定されていて
その時間帯に宮殿内でのガイドを許されている
数少ない各国ガイドの中でも
日本人として
その資格を保有していらっしゃいます
ジョージ4世が購入した最も高価なオランダ画家
レンブラントの「造船技師とその妻」
バッキンガム宮殿サイトより
ロンドンは様々な見所が満載とありますが、
その中をガイドできる資格を持つことは優しいことではありません
中でも国が管理、
または王室管理のミュージアム、ギャラリーは
観光客として観覧できても
その中でのガイドは資格なしではお客様の案内はできません
そんな資格を保持していらっしゃるガイドさんの案内ほど
心強く、また確かな知識と案内は
旅行者にとって確実で安心できる観光時間はないと思います
気さくで大らかな気質を醸し出している
そんな頼もしいガイドの裕子さんの1冊をご紹介いたします
日々のガイドさんのお仕事でも充分お忙しい方なのに
絵画についての御本を執筆していると伺った時から
心待ちにしていた私としては
書店で本当に（裕子さん、ごめんなさい！）
裕子さんのお名前が入ったこの1冊を見て
思わずレジを打つ店員さんにも
宣伝したくなってしまいました
美術絵画の本を書いているのよ～と伺ってはいたものの
内容やプロットなどは解らず
ただただシリーズものの本なんだ～としか聞いていなかったので
思わずタイトル（これも裕子さんに聞くまで知らなかった）には
顔がほころんでしまいました
歴史ある国を旅するには
やはりその国の歴史に興味を持たないと
街を歩いていても、
観るものの意味や面白さが半減してしまうので
多少なりとも歴史を知っておいた方が良いな～と・・・
これは自分で何度も勉強せずに
国や街を歩いてみて後悔したことの一つでした
しかし、そうは言っても学生時代の苦手な教科の一つには
（最大弱かったのは“英語”でしたが・・・
）“世界史”
“欧州”という一くくりの中で
おフランスも英国もﾄﾞ・独逸、スペイン・・と・・
何もかもがごっちゃだったあの頃
チャールズもシャルルもカールも皆どれが誰だか判りませんでした・・
しかし、唯一好きだったのは
“英国海軍”ホレイショ・シリーズを貪るように読んでいたのもこの頃で
私の中では“英国史＝海軍の英仏戦争”
それ以前はまったく興味も名前もわきませんでした・・
それが、時を沢山経て・・まさか、英語で旅をして
英国史も人様並みに頭に入ったのは
旅のお陰でした
教科書で詰め込むよりは
少しでも自身の興味のあることから入り込むと
わくわくしながらページをめくることにより
自然と憶えていくのよね～と
・・・学生時代に知っておけば・・
・・というのはお勉強嫌いの常套句
親が涙を浮かべるくらい学生時代は
授業よりもクラブ活動や自分の好きなことに専念していた私は
大人になってから自力で学ぶ方法を
今回の1冊！
裕子さんのような本から知りました
今回ご紹介の御本はタイトルからして
英国の歴代王にまつわるものであろう、ことは想像がつきます
英国史の中で最も名を轟かせているのは
かの6人の妃を持った“ヘンリー8世”
そのヘンリー8世（テューダー朝1485年～1603年）から
第一章として始まります
ヘンリー8世 wikipediaより
この時代はまだ写真というものがなかったので
肖像画としての絵画の意味は非常に大事でした
歴史をひも解く始点はこの肖像画で語ることは
興味を引くものでもありました
6人ものそれぞれの妃を娶ったヘンリー8世の栄華は
この1枚の絵画からも醸し出されています
そこから歴史を学ぶにあたり、
彼の人となりから様々な史実が掴み取れます
裕子さんのこの1冊は英国史最も興味深いこの時代から
第二章はヘンリー8世の跡継ぎとして
エリザベス1世を経て
チャールズ1世の統治したステュアート朝（1603年～1714年）、
第三章はジョージ2世からのハノーヴァー朝（1714年～1830年）、
第四章そのハノーヴァー朝から現在のウィンザー朝（1830年～現在）へと続きます
“ウィンザー朝”現在のロイヤルファミリー wikipediaより
英国史のこの“何々朝”と言われる時代は
統治する国王の時代ですが、
思うように世継ぎが出来ない場合は
王位継承権のある血筋へと広がるため
（これはどの国もそうですが・・・・）
その婚姻関係によって変わってきます
著作の第一章から現在の第四章まで
英国史を交えながら
その時代時代に王家がコレクションとして集めた絵画を紹介しています
その世界から集められた名画は
英国史なくしては語れない・・・
そんな物語がこの1冊にぎゅっと詰まっています
今まで教科書で目にしてきた絵画や
東京にたまたま行った絵画展で印象深い名画が
実は英国ロイヤルファミリーが貯蔵していた1枚だったり・・・
逸話を沢山経てきてロンドンのギャラリーなどで偶然見た1枚だったり・・・
スコットランド女王 メアリー・ステュアート
エイリザベス1世の天敵でもあった
バッキンガム・コレクション サイトより
今までロンドンのギャラリーで観てきた
名画にまつわるお話と
実は歴史上の国王達の波瀾万丈の生き方が
とても面白く・・尚且つ裕子さんの語り口は柔らかいので
本当にさくさくと読み進んでしまいました
そのくらい興味深く、楽しい“物語”です
小さなバックにも収まるくらいの大きさなので
これからロンドンのギャラリーを計画している方々にもお薦めです
また限られた時間の中で
膨大な絵画の中からこれだけは見てね！という
1枚を決める指針にもなります！
英国史を知るためにも
絵画＆名画の逸話を知る楽しみと
取っておきの1枚の絵を知るためにも・・・・
こちらの1冊を今回はお薦めします
どうぞ、お手にとってみてはいかがでしょう！
*ちなみに表紙は在位1番長いヴィクトリア女王
また巻末にはそれぞれの王朝の略系図付き！
英国王家が非常に解り易いです
【 公認ガイドが語るスコットランドこぼれ話 】
日本人ブルーバッチガイド共著 発行元 Luath Press ￥1,926 2012年5月初版
先月エディンバラを訪れた際に
御会いしたブルーバッチをお持ちのガイドさん
渥美興子さんから購入させていただいた
裕子さんお薦めの1冊です
7名のベテランガイドさん達による共著作になりますので
皆様それぞれの語り口も変わって
非常に中身の濃い1冊になっています
（小さい割にはずっしりと重たい・・・）
この国の国家試験にも通じる
このブルーバッチ資格をお持ちのガイドさん達の知識は
非常に造形深く、
また広範囲に渡り・・・何を質問しても答えが返ってくる、という
頼もしい方々です
現在スコットランド観光ガイド教会に約300名の
ブルーバッチガイドさんとして登録されていらっしゃいますが、
日本人ガイドさんはその内
わずか15名のみ
彼らがガイドする範囲は
北はオークニー・シェットランド諸島から
南はイングランドとの境界・ボーダー地方まで
スコットランド全域にわたり、
個人のお客様から企画ツアーなど幅広い観光案内をしているそうです
そんな皆さん達が集まって
スコットランドにまつわるお話がこの1冊にぎゅっと詰まっています
「豊富な知識とプロの接客態度」
これをモットーに活躍なさっていらっしゃる
スコットランドの日本人ガイドさんたち
普段お客様へ接していらっしゃる時間はどうしても限りのあるもの
観光が終わり、お別れの時間間際によく聞かれるお客様からの言葉に
まだまだ聞き足りない、
これも質問してみたい・・などなど惜しまれる言葉から
この1冊が出来上がったそうです
従来のガイド話では聞けない裏話やエピソードが
それこそ、たっくさん詰まっています！
現在日本の書店での購入は難しいのですが・・・
Amazonからのみ購入可能です！
スコットランドを訪れる際には
こちらを著作されていらっしゃるガイドさんへ依頼することも可能
どうぞ、機会がありましたら
1冊お手元に！
もしくはAmazonでも購入ができなくなった場合は
ご一報いただければ
現地のガイドさんへお尋ねしてみます
どうぞ、ご遠慮なくお申し出くださいませ
では、今回は偶然にも現地で活躍されていらっしゃる
ガイドさん達の著作本です
皆様の旅のお役に立てば・・と願っております
1冊の本から旅が数段にも広がることがあります
それは個々それぞれに感じることも違うことだと思っています
それでもほんのちょっぴりご紹介している本が
何かのきっかけになれば
こんなに嬉しいことはありません
ご意見、ご感想をお待ちしております
