今月のお薦め本







  2016年 8月 


今年6月に市民のための無料市民講座なるものを
初めて受けてきました




偶然4月の期が変わる頃に配布された
市のお知らせのような紙新聞に掲載されていた数ある講座の中で
「行ってみたいな」と思い
そのまま申し込んだら偶然4倍もの倍率抽選で
運良く受けることができたものです

生涯学習推進課・春の成人講座
「世界遺産(ヨーロッパ編)を巡るー画像とお話しー」
3回講座


ロンドンの世界遺産 国会議事堂
ロンドンの世界遺産群 国会議事堂とビッグベン



NPO法人世界遺産アカデミーから
研究員の方がびっちり2時間
ヨーロッパの世界遺産についてお話をしてくださる

講師の方は偶然にも歯医者さんと同じお名前
本田先生





今まで市民税を払ってきて
図書館だけでも充分元が取れるほど活用してきた私に
こんな楽しそうな講座にも参加させてくれる・・

払って良かった市民税

と、いう訳でつい先日東京は上野の国立西洋美術館が
めでたく世界遺産登録されたこともあり、
また一旦断ち切れになったかにみえた
長崎の教会群の登録申請も蘇り・・

今!正に世界遺産が注目!

たまたま手に取ったこの1冊が
今読むに値する?!






英国にも全部で23個のもの世界遺産登録があります

その中の一つ
本書ではストーンヘンジが挙がっていました

英国だけの案内ではありませんが、
旅をする中でやはりどこへ行くか?という選択肢の中で
せっかく時間をかけて、お金をかけて、行くならば
いいもの見ましょう!と誰でも思うもの

世界遺産と聞けば無条件で“見る価値あり!”と多くの人が思います

しかし・・・

実はその世界遺産は項目別に分かれています
“観光”として見るべきとして値するか、
どうかは1052件全て
本当に見たいものか・・・??

今年の猛暑の中で読む1冊としても
痛快無比!



とっても愉しい1冊です

是非旅を計画する前にご一読をお薦めいたします









:: 行ってはいけない世界遺産 ::






著者 花霞 和彦 発行所 海CCメディアハウス ¥1,300+税 2015年7月10日発行


先ず日常でもよく耳にする「世界遺産」とはなんぞや?

6月に受けた講座の第1回目は
「世界遺産」というものについての教えを乞いました

ご承知の通り
世界遺産は“ユネスコ”
すなわち国際連合教育科学文化機関を縮めた名称機関によって
登録が決まります


ユネスコマーク
ユネスコマークはギリシャ神殿を模しています



このユネスコ世界遺産委員会によって
登録されたものは2016年7月現在で1052件

その内訳は3つの遺産に分けられます

   文化遺産 
   A  自然遺産 
   B  複合遺産 

我が国日本は圧倒的に文化遺産登録が多く、
全20件のうち16件を占めます

まだ日本にはその登録がない
Bの複合遺産とは
その名の如く、文化遺産と自然遺産が一緒になったもの

Bに登録されているのは
例えば、南米ペルーのマチュピチュ


ペルーのマチュピチュ
天空都市 Machu Picchu

インカ文明の遺跡とこの天空の自然と両方が登録されています

他にもオーストラリアの旧名エアーズロック(現名ウルル)は
オーストラリアのアボリジニの聖地(文化)でもあり
世界での1枚岩としての自然、ということで
複合遺産に登録されています


ウルル
オーストラリアのアボリジニの聖地 ウルル



毎年加盟国が@文化遺産、A自然遺産と
それぞれに申請でき、
最終的にはユネスコから世界遺産委員会へと
審査されます

現在加盟国の中で
その世界遺産を最も多く保有している国は
イタリア、フランス、中国と続きますが、
おそらく数年のうちに国の大きさと長い歴史を持つ中国が
その数を上回るだろうとの予測になります
(毎年律儀に文化、自然、複合と一つづつ申請してきますからね)


イタリア・フィレンツェ
町全体が世界遺産 イタリア・フェレンツェ
イタリアは元々文化に非常に多く、
強いては国のほぼ全体が保護されてもいいような場所が沢山あります



さて改めて本書を開くと
先ず表紙の裏右折り返しに
工事現場のJIS規格に基づいた「危険」マークの下に
“世界遺産は、素晴らしい観光地にあらず。”




世界遺産のバース ローマンバス
イギリスの世界遺産 Bathのローマンバス



そして、タイトルの次ページには
個人の感想によるもの・・略・・と注意書きがあります

確かに「感動」というものは
個人差があり、
それぞれに思うところに違いが出てくるでしょう

現在どのガイドブックにも
旅行代理店のツアー目玉にも
この本書で語られているように
みな一様に認定された場所、建物、風景は褒めちぎられています

世界の名だたる観光名所は
ほぼ「世界遺産」と言っても過言ではないでしょう


エディンバラ
街ごと世界遺産 エディンバラ



しかし、私の市の生涯学習講座で
世界の文化遺産、自然遺産登録までの長い道のりは
各国がおらが国のここはこんなに凄い!と鼻息荒く申請しても
ユネスコ世界遺産センターへを経て
各国の推薦状をもらい、
それから文化、自然と別れますが
文化ならICOMOS(国際記念物遺跡会議)
自然ならIUCN(国際自然保護連合)を通り、
調査が始まり、進み
またユネスコへ戻り、
最後は年に1度の21カ国の委員会へと進む・・・

こんなにハードルも多く、
また越えるための調査やリストの提出はそれはそれは長い道のり




しかし、旅する者にとっては
世界1052箇所(国内含む)を一生のうちに全て網羅をするのは
現実的に難しい

ならば、その中から選んでみてから
旅を計画したい!

         
ちょっと待ったーーっっ!!  



その場所の選別をする一つの手段として
お薦めしたい本書です


荷造り前に読みましょう



さて、最初に著者のご紹介をさせていただくと
40歳前までは飛行機恐怖症により
海外への渡航が出来ず、
39歳に意を決したバンジージャンプに挑戦

そこから飛行機恐怖症を克服し、
現在までに訪れた国は60カ国以上、
世界遺産は185件と・・
物凄い勢いで40歳前までの時間を取り戻すがの如くの勢いで
飛びまわっていらっしゃいます





その内本書でご紹介しているのは厳選した20箇所

その場所を見ると誰もが行ってみたい観光場所に挙がる
有名どころが多い

但し、全ての場所を「行ってはいけない」としているのではなく
これこれを頭においた上で行ってください、という場所や
この季節に行くとこんなデメリットもあるよ、という
とても有益で旅する者側に立った明確な案内が記されています


冬行くのはNG!とか・・


そして、ご丁寧なことに紹介している世界遺産を見るための
アクセス(日本からの行き方。フライトスケジュール)と
日程&費用の案内と採点表が明記されています

これは大体の目安になって
これは行った方でないと解らない情報

但し、採点表についてはあくまでも
著者の感じ方なのでさらっと見るだけでも面白い!

いずれは行ってみたいと思っている場所へ
こんな経路と予算で行けるんだ・・と現実味を帯びてきます







では、20箇所の中から幾つかピックアップさせていただくと
2つ目には唯一載っている
ストーンヘンジ

キャンプションは
「空想好きな人しか行ってはいけない」
おススメ度の星はわずか一つ・・・

さて、何が星一つになってしまったのか・・

最初にストーンヘンジとは何か?の説明があります

ストーンヘンジとはイギリス南部のソールズベリー近郊にある、
古代の環状列石で・・中略・・
紀元前2500年から2000年前の間に立てられ・・略・・
未だにどんな目的で作られたのか、結論は出ていません

1986年にこのストーンヘンジは世界遺産登録がされ、
それから世界中にある巨石群としては
メジャーになりました

中世以降の世界七不思議の一つにも挙げられ
世界中の旅行者の目を長い間惹きつけてきました

ストーンヘンジ
ぽっかりと平原に立つストーンヘンジ


著者がこのキャンプションをたてたのは
誰もがこの風景を見ると思うことは
「誰が何の目的で巨石を組み立てたのか?」
空想好きにはたまらないフレーズです!

と著者も綴っています

しかし、それに続くのが敢えて文章を太字にして
波線でその部分を強調させて述べていらっしゃるのが・・

“入場料を払わずとも、石積みは車道から丸見え・・略・・
入場料(£14.5/2016年現 予約制)を払って敷地に入っても
ロープが張られていて石積みには近寄れず、
遠巻きに眺めるだけ・・”

また、石の大きいもので7mほどなので
“それほど大きな石ではありません・・中略・・・
この程度の石なら、頭のいい力持ちが10人もいれば組み立てられそう・・”
と思ってしまったそうです

そうなると人間て勝手なもので
今までわくわくしていた気持ちがしゅ〜としぼんでしまうのでしょう

それなら、日本のお隣韓国にも似たような
史石墓が同じようなサイズで似ているのでは・・・と・・


ストーンヘンジ
実は環状列石だけではなく
ソールズベリー平原の中離れた場所に立つ巨石
車で行くしか見ることが出来ない




確かに私も初めて訪れた1980年代には
このロープで張られた柵はありませんでした

そして、入場料もあったか・・どうか・・・
あったとしてもとても安かったのでしょう

2度目に友人達と行った時に
この柵が出来ていてびっくりした憶えがありました





採点表には残念ながら、
絶景、満足度、コスパについては
厳しい判断がされてしまっていますが
行きやすさ、安全度(これ重要ですよね?)は
良いとされています

でも、まだ行ったことのない方へは
このソールズベリー平原のすかっとした空の広さ、
そこにすっくと立つ巨石群は
1度は見てみる価値があると思います

是非お時間があればお立ち寄りくださいませ



因みに私はここへ3回訪れています
初めて見た時は感動ものでしたが・・・



1度は行って見たい夕暮れ時
夕暮れ時のストーンヘンジは多分怖いと思います
ミステリアス感満載!!



さて、このストーンヘンジのように
次々に人気の旅する人が誰もが憧れそうな場所が
一刀両断、こんな見方もあったのか・・・と思うような
著者の厳しい目で時には笑い、
時にはもっともだー
と首を大きく前後にうなづきながら
他19箇所が続きます

キャンプションだけで笑えたのが、
“ご当地グルメに目がない人は行ってはいけない”
モン・サン=ミッシェル

おそらくイギリスとフランスの両国を旅する方々も多いことでしょう

言わずと知れたフランスの数多い遺産の中でも
最も人気の高い
あの!モン・サン=ミッシェル


朝霧のモンサンミッシェル
朝霧の中のモン・サン=ミッシェル


確かに海上に浮かぶ小島が修道院である風景や
このような場所に作られた修道院は見栄えも良く
一見の価値があると思います

しかし、観光地=ご当地グルメは
何も日本の観光地での海の幸、山の幸を期待してしまうように
フランスでもこの地では「オムレツ」が有名なご当地グルメとして
必ず取り上げられます

昔長い旅をしてきた巡礼者をねぎらうために
おなかに優しいオムレツを・・というから始まったもの


オムレツの材料
有名レストランのオムレツを作るための材料

私も数年前に母と一緒にこの地へ向かいました

そして、世界中から訪れる観光客と同じように
やはりここまできたら出来る限り
(パリから片道早朝3時間半往復7時間弱)
名物を言われるものは逃すでないっ!とばかりに
目が光ります

そんな気持ちを持ちながら歩く小島内で
これほどまでに多くの人を吸い込んでいる
オムレツのレストランへ素通りできるはずがございません

早速ガイドブックにも1番最初に案内のある
有名レストランへと足早に向かいました




しかし・・2人共同じものを頼むこともないと
レストランのその日のおススメメニューを私はオーダー

その後スタッフさんがうやうやしく持ってきたのが
下の名物オムレツ


有名店のオムレツ
確かにふわふわオムレツです
付け合せはキャベツとキノコでこれ一皿


おススメコースの前菜 おススメコースのメイン チキン
左はおススメココースの前菜のサーモンと右はメインのチキン

母は正直自分で作ったオムレツの方が美味しい・・
おススメにすれば良かった・・と・・

これにパンがつくのですが
高齢の母でさえ、
フランスに来て最も物足りない食事がここだった、と
今でもTVでモン・サン=ミッシェルが映る度につぶやきます・・

パン
さすが、フランス!パンもお洒落に持ってきます
しかし、取り立ててお味の印象はありませんでした




しかし、レストランの周りを見渡すと
お客さん達はほぼオムレスオーダー!

そのためスタッフさんもオムレツ専用のテーブルでサーブしておりました


オムレス専用サーブテーブル
このテーブルでオムレツの付け合せを盛り付ける


まあ、観光地の名物だから
来た!見た!食った!でいいよね?と
おススメ料理で満足の私は母にそう言った憶えがあります

そして、ここからは帰宅してからみた写真ですが
どうも島の小道に並ぶ左右のショップを見ると
江ノ島を思い出すのは何故なのでしょう・・・


モンサンミッシェルの小道
修道院までの小道


それでも、バスから徐々に見えてくるモン・サン=ミッシェルの修道院は
イギリスのコーンウォールにも
同じように海上の小島にある
修道院のセント・マイケル(同じ名前)より
迫力あるな〜と思ったのは忘れません


バスから徐々に近づく
バスから徐々に大きくなるモン・サン=ミッシェル
この道は現在変わっています



もしかしたら、世界遺産として見るならば
余り考えず
「すごいね〜」とつぶやくだけで充分なのかもしれません
なにしろ“世界”という冠が付くのですから・・


そして、本書はその他

グランドキャニオン、ガラバゴス諸島、オペラハウス、
泰山、アマルフィ海岸、ダンブッラの黄金寺院、
ナスカの地上絵、アンコール、キジ等の木造教会、
コモド島、アクアポリス、ラ・ロンハ・デ・ラ・セダ、
パリ・セーヌ河岸、テトゥアン旧市街、パムッカレ、人類化石遺跡群、スオメンリンナ


本書から下記の3つの場所が私の死ぬまでに行きたいところです

ガラバゴス諸島
ここでのキャンプションは
「野生のカメが見たい人は行ってはいけない」・・??




アクアポリス
「古代を感じに行ってはいけない」・・??

ギリシャ パルテノン神殿
これが「古代」でないならなんざんしょ?



テトゥアン旧市街
「人の助けなしでは行ってはいけない」
・・これはわかる気がします・・

迷宮テトゥアン
モロッコの旧市街はきっと、絶対に迷うでしょう


3つの行きたい場所について本書で読んで良かった、と
心から思ったのはいうまでもありません

とても良いアドバイスと心構えができました!




これから海外旅行で「世界遺産」が一つでも目的の一つに入っていて
本書にその場所があれば
是非ご計画の前にご一読を!

そして、これからこの20箇所の内の一つでも行きたい!と思ったら
先ずはこの1冊を眺めてからでも遅くはありません





私のように「あ!ストーンヘンジが載ってる!」というだけで
手に取ったように
旅読書としても十二分に楽しめるでしょう!










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少しでも楽しんでいただければ嬉しいです







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