今月のお薦め本







  2016年 12月 

“1年って本当に早いな〜”と
毎年師走に入ると
その日々の過ぎる速さに驚きます

今年は読みたいと思った本は読破できたか・・?
または読み逃しているものはないか・・・?

そう考えるとどきどきして
夜になってから目が冴えてしまいま







こちらのページでご紹介したかったな〜と思いながら
時期を逸してしまった1冊もあれば、
これも、あれも!!と思いながら
読みきれなかった1冊・・言え、複数冊・・・

2016年も終わりまじかで
あ、やっぱり今年中にご紹介したい、と思ったのは
この1冊

ここ数年間は毎年訪れていた場所が
今年は行けなかったことが
この1冊でちょっと救われたもの

それはこの年末に
その場所をご一緒に訪れて
改めて「良い場所でしたね」と
皆さんの笑顔がほころぶ様子を見たからかもしれません


バタミア湖周辺
バタミア湖周辺の山々


イギリス屈指の美しい景観を見ることができる湖水地方と
常にその名が出る
ビアトリクス・ポターの世界

この場所についての本も数え切れないほど!
(こちらでも関係の著作本を紹介してきました!)

そして、私にとっては忘れらない海辺の小さな町
Sidmouth(シドマス)が
この1冊に登場していたことも
懐かしさで一杯になりました

世界中から訪れる人も多く、
また何度訪れても新しい発見と感動を与えてくれる
湖水地方

この場所を抜きには語れない
世界1有名なうさぎのおはなし
“ピーターラビット”のすべてを
美しい写真が彩られている1冊をご紹介いたします










:: ピーターラビットのすべて ::
ビクリトリクス・ポターと英国を旅する


ピーターラビットのすべて

文・写真 辻丸 純一 監修 河野 芳英 発行所 小学館 ¥1,600+税 2016年9月21日発行



“辻丸さん”と言えば
今までも湖水地方の著作本や写真担当をされた本は
数冊あります

特にお客様をお連れしてのこの場所へ行く前は
必ず、と言ってよいほどページをめくる1冊は
これ!

イギリス湖水地方
伝農 浩子著 辻丸さん写真担当


湖水地方の観光については勿論のこと
お客様が皆様大好きなピーター・ラビットについてのお話や
それにまつわるナショナル・トラスト、
それに賛同した著名人達、と
実に盛りだくさんな内容で
何度読んでも毎回楽しいガイドブックとして
活用しています

それを文章と同じくらい楽しませてくれる
数々の美しい写真は
こちらの辻丸さんご担当

同じく写真を担当された1冊

ロンドンから南へ
地球の歩き方GemStone

この「ロンドンから南へ」も
辻丸さんのまるでスクリーンを見るような
次々と美しい町の様子を紹介している写真から
幾つか訪れた町があります

ライ、カンタベリー、ブライトン、バースなどなど・・・

でも、やはり御自身のターニングポイントとなった場所
湖水地方の本の写真は
また格別に光って見えるのは何故なんだろう・・と





今回ご紹介の1冊で解った気がしました!

この本の巻末にある
「ビアトリクス・ポターの人生を追い続けて」を読むと
思ってもみなかった長い年月

湖水地方とポターさんはセットで写し続けた
辻丸さんの思いに改めて
感服の気持ちがこみ上げてきました


ダーウェント湖
ダーウェント湖を望む



実は当初この今年最後のページでは
監修をされていらっしゃる河野芳英さんの著作
「ピーターラビットの世界へ」
-ビアトリクス・ポターのすべて-を
ご紹介する予定でした



こちらの1冊はとても膨大な資料を基に
ビアトリクス・ポターを取り巻く
全ての人たちについての考察と
ポターさんのお話についての時代考証や研究結果を
ぎゅっと詰まった内容のもの

さすがに大学教授「ビアトリクス・ポター研究家」
読み応え充分な1冊でした

写真はこれでもか!と言うほどの量と
ポターさんご本人のご両親のみならず
2代まで遡って
また関係者の家族家系図や写真まで・・


ノーマン・ウォーン
ポターさんの編集者でもあり婚約者でもあった
ノーマン・ウォーンと甥のフレッド



同じ時代に生きた
ポターさんが影響を受けたとする
当時の著名人達との関係及び彼らの写真

ローンズリー牧師とノエル少年&ポターさん
ローンズリー牧師とノエル少年と・・



確かに「湖水地方」と「ポターさん」は
常に一緒に語られることの多い中

ポターさん、という一人の人間についての世界をまとめた
河野さんの著作は
正しく思い起こせば大学の教科書のようでした

以前カピバラを見に行った
埼玉県こども動物公園内に
ポターさんの資料館があって(何故ここに?びっくり!!)
こちらが大東文化大学の資料館で
この河野さんがご教授として研究をされていらっしゃる
大学のもの

著作の河野さんは大東文化大学の文学部教授

やっぱり、あながち教科書に近い著作は
さすが・・・

と、いう訳で今回は旅をするにあたっては
美しい写真も文章同様に物語る
辻丸さんの
「ピーターラビットのすべて」をご紹介いたします
*但し、文章の監修は河野さんになります





先ず最初のページを開くと
真っ青な空に白い雲
下三分の一は黄色でうめつくされた
菜の花畑のスコットランドの写真

こんな印象的なページから始まる本は
写真家である著者ならでは・・
正にこの1ページ目でイギリス好きは参ってしまうのです・・

そして、そのページ右上に5行書かれた文は
ポターさんの語り

それから2ページ見開きは
縁の場所
湖水地方の湖のほとりに佇む古い納屋と羊達、
海辺のカラフルな家々が続くデンビーの海岸線

そして、本文の目次
全編に描かれている各ページに因んだ場所を記すMAP

このイギリス全土のMAPから
懐かしいシドマスが載っていたので・・・

シドマスの町
6週間この町で暮らしました
Devonの海辺の小さな町 Sidmouth(シドマス)




本書の本編は大きく3部に分かれています

ほぼ半分以上を占めているのは
「ストーリー」とされるポターさんのお話について、
次ぎは
「ビアトリクス・ポターの記憶をたどる旅」
最後が
「ビアトリクス・ポターの生涯」

全ページには辻丸さんの写真が
ポターさんのお話と平行したものが飛び込んできます

その
第1部ともいうべきお話のスタートは
もちろんノエル君に送った
最初の絵手紙「ピーターラビットのおはなし」から始まります



それからおはなしは「こねこのトムのおはなし」、
「あひるのジマイマ」、
21篇のおはなしを1篇づつ見開き2ページから
4ページに渡り
ポターさんの可愛らしい絵の数々と
湖水地方の一瞬と捉えた美しい風景写真は
ページをめくる毎にわくわくします

また、そのページに綴られた文章は
おはなしにまつわるものであったり、
出てくる登場人物(?)の由来であったり、
舞台となる町や場所、
現在も見ることができる風景を案内してくれています

ダーウェント湖
りすのナトキンのおはなしの舞台となったダーウェント湖


この最後のおはなしとして載っているのが
「こぶたのロビンソンのおはなし」

このおはなしはポターさんの絵本シリーズの最後を飾る作品で
64歳の1930年に出版されたそうです

しかし、物語の原型は彼女が17歳の1883年に生まれ、
その時に南イングランドのインフラクームに
家族で滞在した際だったそうです

このインフラクームという町は
シドマスの向かい側にあたる海岸線にある町
(マップから)

私は初めてこの町の名前を知り、
いつかシドマスへ戻った時には絶対に行ってみよう!と思いました

そして、長い年月をかけて
このロビンソンのおはなしが世に出た時には
その反対側にあるシドマスに滞在した時に出来上がったそう・・


シドマスの海岸線のプロムナード
シドマスの海岸線は賑やかなプロムナード
夏には沢山の観光客が集まります




実際にはおはなしの中のロビンソンは
スタイマスという架空の町で買い物をしますが、
その町はシドマスが舞台となっているそうです

まさか大好きなロンドンから遥か遠い海辺の小さな町、
Sidmouthの名前がこのようなところで目にするとは!!
本当に嬉しい発見でした


第2部はポターさんの生涯を通じて旅をした
英国を紹介しています

スコットランドのカントリーハウス、
バーダー地方、南西ウェールズの海岸線の避暑地、
最愛の婚約者が亡くなったことを癒しに滞在した
北西ウェールズの小さな町

それはポターファンにとっては
巡礼地のような旅をするガイドブックとしても
わくわくするページになっています


ウィンダミア湖
湖水地方最大の湖
ウィンダミア湖




また、家族の避暑や旅行場所は
当時ヴィクトリア時代の富裕ファミリーの典型で
学校に行かなかったポターさん始め
その旅や滞在で知り合った方達が
彼女の生涯を大きく変えていった指針にもなっているようです

特に余り日本の旅行者が行けない(?)
南西イングランドは私の大好きな州
Devon(デヴォン)、
Cornwall(コーンウォール)の
ライム・リージス、シドマス、インフラクーム、ファルマス
風光明媚でとても美しい町ばかり

是非、この1冊から
その場所へ行ってみたくなる旅する人がいたら良いな〜と・・


最後はもう様々な本や映画でも紹介された
第3部はポターさんの生涯

ここはもう語りつくされた感もあり、
ページ数としても10ページ余り

しかし、最後のページは
僭越ながら写真家さんの本だな〜と思ったのは
ポターさんは御自身の遺灰を
湖水地方のお気に入りでもある秘密の場所へ
散骨されたことは周知のこと

その場所が「ジマイマの丘」とささやかれ
見開き2ページの写真と
右上のジマイマのおはなしの一節があります

“・・・あそこならしずかで、じゃまをするものもなさそうだ・・・”

ジマイマの気持ちがポターさんは最後に眠る場所として選んだことが
リンクしていて
その美しい1枚の写真に涙が出そうになりました





自身でも数冊の湖水地方&ポターさんの本の中で
第一人者としても著名な辻丸さんのこの1冊は
副題の通り
「ビアトリクス・ポターと英国を旅する」

この1冊を持ってポターさんと一緒に旅をしてみてはいかがでしょうか?

折りしも今年2016年も
もう残りわずか
ポターさんの生誕150周年にあたる今年最後に
ご紹介できて・・・良かった・・・



結構好きなお洒落なジェレミー・フィッシャーどん









このページでのご意見、ご感想をお待ちしております
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです







03年 9月 10月 11月 12月

04年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

05年 1月 2月 3月 4月 5月 6・7月 8月 9月 10月 11月 12月

06年 1・2・3月 4.5月 6月 7月 8・9・10月 11月 12月

07年 1・2月 3・4月 5・6月  7・8月 9・10・11月

08年 1月 2・3・4・5月 6月 7・8月 9・10月 12月

09年 1・2月 3.月 4.5月 6月 7.8月 9・10月 11・12月

10年 1・2・3月 4・5・6月 7月 8・9月 10月 11月

 
11年 10年12・11年1・2月   3.4月 5・6・7・8・9・10月  11・12月

12年 1・2・3月 4・5月 6.7.8月 9.10.11.12月



13年 1・2・3月  4・5・6・7月



  14年 1・2・.3月  8・9・10月


   
   16年 2月 7月

 


Top New ページのTop 雑貨wilko